第一三共ヘルスケアは9月25日、「2024年秋冬の感染症への備え」として、感染症の状況や市販の風邪薬の選び方のポイントなどに関する情報を公開。感染症に詳しい谷口俊文医師による解説をもとにまとめている。

  • 2019年1月〜2024年8月のインフルエンザの定点あたりの報告数

    2019年1月〜2024年8月のインフルエンザの定点あたりの報告数

2023年5月に新型コロナの位置づけが「5類」に移行したが、同年秋以降、さまざまな感染症にかかる人が増えている。

例えば、インフルエンザの感染者の報告数は、コロナ禍はそれ以前に比べて激減していたが、2023年秋冬に大幅に増加(国立感染症研究所のデータによる)。また、2023年秋冬はプール熱(咽頭結膜炎)、2024年年明けからは伝染性紅斑(りんご病)、春から夏にかけては手足口病やヘルパンギーナが流行。

谷口医師によると、「コロナ禍で2年以上にわたり他人と接する機会が減ったことにより、ウイルスや細菌との遭遇体験をもとに強化される『獲得免疫』が低下している可能性があります。それに加え、現在、新型コロナ流行時に比べて人々の感染対策がゆるやかになったことが要因で、様々な感染症にかかる人が増えていると考えられます」とのこと。2024年秋以降も、インフルエンザや風邪が流行る可能性があるという。

  • 風とインフルエンザの違い

    風とインフルエンザの違い

では、そもそも風邪とはどういう感染症なのか?

身近な感染症の代表格が風邪。「急性上気道炎」や「急性上気道感染症」といわれる呼吸器の感染症で、鼻腔から咽頭までの上気道に炎症が起こることで、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、発熱などの症状が。また、初期症状は一般的に悪寒や微熱、鼻水、鼻づまりなどで、症状が比較的ゆっくり進行するという。

これに対し、インフルエンザは経過が早く、38℃以上の熱が急激に出ることが多く、倦怠感や節々の痛み、筋肉痛などの全身症状が出るのが特徴的。谷口医師によると、「インフルエンザや新型コロナの場合、上気道だけでなく合併症として肺炎を起こすケースがあり、症状が重くなりやすい」という特徴があるのだとか。

また、新型コロナについては、「『65歳以上の高齢者』『糖尿病などの基礎疾患を持っている人』『膠原病などの病気で免疫を抑える薬を服用している人』『高度な肥満の人』『妊婦や小学生未満の子ども』は重症化リスクが高いので注意が必要」だという。

  • 風邪のステージによる市販薬の選び方と、症状ごとの有効成分

    風邪のステージによる市販薬の選び方と、症状ごとの有効成分

続いて、市販のかぜ薬の選び方について谷口医師にうかがったところ、「風邪のひき始めは漢方薬の葛根湯(かっこんとう)。風邪のひき始めや熱、くしゃみ、鼻水など、いくつかの症状がある場合には、解熱鎮痛成分や抗ヒスタミン成分など、複数の成分がバランスよく配合されている総合感冒薬がいいでしょう」と谷口医師。かぜ薬の使い方の極意は、自分の風邪のステージに応じて選ぶことにあるよう。

また、はっきりした症状が1~2つなら症状に特化した医薬品を選ぶといいそうで、かぜ薬を選ぶ際には、症状に合った成分が配合されているかを確認するとともに、生活習慣に合う服用回数であることや、普段服用している薬との相互作用なども考慮することが大切だという。

ただし、「一般的な風邪なら、市販薬を服用し、ゆっくり静養すれば多くの場合自然に治る」とのこと。だが、高齢者や妊婦、糖尿病などの基礎疾患がある人など、「重症化リスクが高い人についてはかかりつけ医を受診する方がいいでしょう」と谷口医師。さらに、最初から38℃以上の高熱があるとき、市販薬を5〜6回服用しても症状が改善しない場合にも医療機関の受診が推奨されるという。

最後に、谷口医師から感染症に対する総合的なアドバイスをもらった。「風邪はひき始めのケアが大切です。十分な静養に加え、上手に市販薬を活用し、風邪などが流行している時期には人混みでマスクを着用する、帰宅後や食事の前には手洗いをするといった、新型コロナで学んだ感染対策を行うことも大切です」とコメントしている。