2025年2月7日金曜日

84FXSB。

 みなさまごきげんよう。

さてウチはただの改造屋さんなので

ハッキリ言ってエンジン組めません。

組むという言葉の内容にもよりますが。


今回お預かりしたのは84FXSBさん。

シリンダーベースガスケットからのオイル漏れで

ガスケット交換のご依頼です。


開けると色んなものが見えてきちゃうのが怖いんですが

ウチはエンジンについてレベルが低い事を承知いただいた上でのご依頼です。


以前にヘッドガスケットは交換されたとの事ですので

交換すべきガスケットと未交換のものだけを交換して

元通りに戻しまして。


マフラーのステーが合っていなくてボルトが折れたりするとの事で


ブラケットを加工して正規の位置に装着できるように修正。


精密なエンジンオーバーホールは無理ですが

こういうのはむしろ得意です(笑


液体ガスケット盛り盛りだったフランジも

細々と修正してしっかり密着するように。

Fバンクはどうしても隙間が出来てしまうので

ガスケット2枚重ねで対処しました。


Rバンクは通常通り1枚で。

ヘッドワークの際に修正される事をオススメします。


マフラーの吊り具は適当な処理ですと

特に固定ボルトが1本のショベルなんかは

EXスタッドを傷めるだけでなく

ヘッドまで壊しちゃう事になるので

ガチッと固定は絶対条件ですね。


オイル漏れも無くなりマフラーもしっかり固定されましたので

気持ちよく走ってくださいませ。

ご用命ありがとうございました!

ではさらば!





2025年1月29日水曜日

ブレーキ引きずり。

 みなさまごきげんよう。

まったくリアルタイムではないうえに

インスタ既出の内容ですがこんな事もあります的な。


出先でリアブレーキがロックしたままになってしまったということで

前回同様レッカーされてまいりましたFLHCさん。

まぁバナナキャリパーで土瓶マスターですしね。

って事はアレかコレだろうと。

とりあえずキャリパーのガタ確認。

あれれ、かなりしっかりしていて

これまで見た中でもマトモな部類です。

そうなるとアレですね。

新品のワグナータイプのマスターにありがちな

例のバルブが入っちゃってるのかと。


とにかくバラして確認って事で蓋を開けてみますが、、

錆びてますね。


例のチェックバルブは入っていませんでしたが

中がサビサビ(汁


まだ新品のはずなのに汚ったねぇ。。


シリンダーボアが錆で固着気味になっていました。

ご丁寧にピストンプッシュロッドにリターンスプリングが設けられていましたが

なるほど戻りが悪いロッドを戻す役割だったワケですね。

ロッドが戻ってもピストン戻りませんが。


幸いインナーはダメージ少なかったのでホーニングで処理。

アメ車にもよくある鉄製のマスターですが

こうやって錆びている事もあれば組み間違いもあるので

新品は基本組む前に分解して確認しないといけません。

新品だからっていうのは全然信用できないんですよねぇ。


ロードテストしてお渡しとなりました。

それにしても綺麗にまとまったバイクだなぁ。

しばらくは膿出しが必要ですね。

後日またお預かりする事になるのですが

それはまた別の話。

ではさらば!




2025年1月23日木曜日

71XLH。

 みなさまごきげんよす。


エンジン圧縮抜けでヘッドオーバーホールの71XLHさん。

車検は無事に合格しまして

試乗していると腰下から気になる音が。


音の元はフロントエキゾーストタペット周辺と

プライマリーカバー内からのようで

まずタペットから分解検証していきまして。


4本全て抜いてみたところFバンクEXのみ社外品。


その社外品は横方向にガタがありまして

サイドクリアランスが規定より0.9mmオーバー。

と、言うか支柱がハの字なので最初からダメだったっぽいです。

ローラーは腰上やった時に確認していたのですが

自分のボンクラぶりに泣けてきます。


せっかくなのでタペットは全交換としました。


プライマリーの音は定番的に

ダルダルのプライマリーチェーンが暴れてケースを切削。


アイアンは構造上外部からプライマリーチェーンが調整できず

いちいちカバーを開けないといけないので面倒です。

後にカバーを開けずにテンション調整できるようになりましたが

TC96にもなるとオートテンショナーなんですね。

アレはオートと言っても張る方向にしか作動しないのでちと怖いですが。


うーん、コンペンセーターもヘタり気味かな。

一先ずプライマリー関係は次の機会に

トランスファーバルブ含めてメンテしましょうってなところです。


その後もう少し走り込みまして

無事オーナー様の元へ戻りました。


早速奈良の針テラスまで走ってこられたようで

名阪国道をちゃんと走れるなら合格ですね。

お楽しみくださいませ!

ではさらば!








2025年1月20日月曜日

09FXSTB。

みなさまごきげんよう。

と、言うかあけましておめでとうございます(遅

さらにはBlogを放置してしまいまして申し訳ございません。

ただでさえ低迷しているBlogを

これだけ長期間放置してしまったダメージは 大きいかと思いますが

Blogストップ期間のアレコレをぼちぼちアップしていきます。


さて、こちらはウチとしては高年式の09FXSTB。

TC96のナイトトレインってヤツですね。

長年民間車検で検査通しておられたようで

この度久しぶりに免許取り立ての妹さんが乗りたいという事で車検を依頼したところ

どこもかしこもお断りされてお友達に「アソコ持っていってごらん」と

ウチを勧められたらしくお預かりとなりました。

うん、これじゃお断りされちゃいますな。


まず目につくのはサイドの縦ナンバーですが

もっと気になるのは斜めなリアタイヤ。


タイヤ削れまくってますね。

タイヤ交換時にきちんと作業されていない。


まぁタイヤはもう古くてカチカチなので交換。

どうやら整備はオイルとタイヤ交換のみで車検整備もロクに受けていない模様です。

車検時の点検でこういうところも見るワケですから。


高価な純正オプションのLEDテールなのに配線がガムテープどめとはいかに。


本来のルーティングにする事はそんなに難しい事じゃないと思うんですが。


ブレーキパッド交換にあたりキャリパーを綺麗に。


毎度のシンタード。

パッド残量ももちろん点検項目です。


普段綺麗にできない所を綺麗にも毎度の作業ですね。


2007年から保安基準が違うのでミラーは車検に通るものに交換。


1度も交換されていない雰囲気満点。


この年式はDOT 4なのでフルード代が安くてよろし。


リアも然り。

ウチは車検毎にブレーキフルード交換が基本です。


フルードの劣化は見過ごされがちで

劣化していても油圧はかかるのでそれなりに機能しますが

イザっていう時に命に関わります。


タイヤも新品に交換してナンバーも純正位置に。

ちなみにナンバー灯が付いた一般的なテールランプのままサイドナンバー化する際は

ナンバー灯を潰しておかないと車検通りません。

尾灯および制動灯は赤という決まりですので。


当たり前ですがタイヤも真っ直ぐに。

このボブフェンダーだとセンターナンバーの方がカッコいいと思いますよ。


どう考えても車検に通らないマフラーは

純正をお持ちでないという事で中古の純正品をステー含めて一式購入して交換。

純正マフラー無しでよく今まで車検通してきたもんです。


個人的には純正のテーパードサイレンサーは美しいと思うんですが

確かに音は寂しいんですよね。

排ガス規制関連のせいかトルク感もちと薄い。

サンダーマックス搭載車なので、今後はサイレンサー交換程度で楽しめばよろしいかと。


ウインカーが機能しませんよっと。

バルブソケットが脱落していました。


ドライバー1本で直ります。

ってかいつからこの状態なんだ(笑

この車両、基本はノーマルですが

後から手を入れてるところと

整備すべきところがことごとくダメでした。

当方がちゃんとしてるとは言いませんが

手を入れる人によって出てくる差って馬鹿にはできません。


プラグや油脂類全交換して継続検査受けてロードテストしたらお渡し。

もちろん毎度毎度ピカピカ洗車で積年の汚れも綺麗スッパリ。


まだ免許取り立てですから、些細な整備不良で切符切られると初心者講習行きです。

まずは100%合法な状態で乗ってくださいなってなところです。

それにしても初の大型二輪が1580ccってナナハンの倍以上の排気量なワケですね。

まぁ基本はトルクあるEgですし6段もあるギアの選択が身につけば

サラサラっと乗れる事でしょう。

とにかくご安全に!

ご依頼ありがとうございました🎶

ではさらば!

2024年11月12日火曜日

Triumphシッシーバー製作。

みなさまごきげんよう。

当方に入庫されるのは基本的には旧い車両が多く 

私自身もインジェクションだとか何だとかは苦手なんですが

時々高年式の車両がおいでです。


今回はバリバリ新車のトライアンフスピードツイン900さん。

装着するだけで充電できるスマホホルダーの取付と

充電用配線の取り出し、ポジション球のLED化プラス

パッセンジャー用のグラブバー兼、荷物を積みつつ背もたれにもなる

つまりシッシーバー製作のご依頼です。

社外品でグラブバーもキャリアも売っていますが

流石にシッシーバーは無いですからね。


しかし現行車っていうこともあって旧車とは全然造りが違うというか

シッシーバーをマウントするにはフレームと言うかシートレールの強度が無く


シートとフレームの隙間もたったコレだけしか無く


通常グラブバーを取り付ける部分はペラッペラの鉄板で

グラブバー程度であれば十分でしょうが

シッシーバーとなると振動や重さから超不安なので

ついでに社外品みたいに不細工にステーが露出しないように

ギリギリの寸法でナローに造っていく事としまして。


まずはベースの部分から。

曲げ物だと撓みが出そうなので溶接組みで

板厚は取り付け部の強度も考慮しつつ出来る限り確保し


ステーの露出は最小限に。


コレだけしか露出しないように製作。

シートレールの左右4箇所だけでなく

リアショックのアッパーマウントとも接続して

がっちり固定できるようにしていきます。


ベースは16パイの丸棒で、ループ部分は

万一荷物がズレた際にテールランプを隠さない為のガードで

フレームのエンドとテールランプの間がグラブバーになるという塩梅です。


案の定、4点留めの状態でベースのバーを持つと

バーごとシートレールが動きます。

ショックのアッパーマウントから後ろはホントにヘニョヘニョですね。

シートレールに必要以上の強度は要りませんし

きちんと強度計算のうえで設計されている物ですが

それ故に後から手を入れるのは大変です。


次いで立ち上がり部分もベースは丸棒で

左右の渡しは軽量化の為パイプに

センター部分は角棒で、2箇所M8のタップ穴を設けまして。


シートが脱着できるギリギリラインで仮付けしてオーナーに見ていただきまして。


OKをもらったら本溶接。


グネグネした曲げ物は野暮ったくなるので

ちょっとスポーティーな斜め立ち上がり。

角度は伝統の三段シートのソレですね(笑


最後に補強を入れて。


とにかく、こういった造り物は壊れない事、道路に落っことさない事が重要なので

コレでもかと言うほどガッチリ造っております。


そして車体に合わせてメッキではなく半艶のパウダーコート。

ラッカーやウレタンではすぐ剥げてしまいますし

荷物を縛るロープでも擦れてしまううえに

すぐ錆びてきてしまうので

費用はかかりますがしっかりブラストしてパウダーコート。

オーナー氏、カネを突っ込むところがわかってますね。


良い感じですが、ご要望のツーリングバッグの固定を叶えてゆきます。

このシッシーバーですと幅が狭すぎて

本来シートに固定するタイプのバッグではストラップが長すぎて

固定してもフラフラでして。

しかしそんな幅広なシッシーバーじゃダセェだろってトコですね。

とは言え策があってこの形状で造っているんですが。


解決策はこちら。

M8タップ穴を利用してオーバーキャリアの装着です。

コレなら荷物積まない時は外しておけばスタイリッシュなままですし


表にも裏にも荷物を固定できて


ストラップは荷掛けフック間に収まり上下の動きも規制。


左右のズレもなく


万一ストラップが切れても持ち手がこのように固定されているので

脱落の心配が無く

我ながら良く考えたもんです。

ま、物自体は自転車用のキャリアなんですけどね。

もちろん耐荷重もしっかりしています。


ってなワケで設計するのにモノスゲー時間かかってしまいましたが

恐らくシッシーバーをおっ立ててる現行トラは居ないと思われ


中々面白いお仕事でした。

あ、因みにバーはもっとシートに寄せろと目ざとく突っ込まれそうですが

パッセンジャーがリュックを背負うのと

シート脱着が後方スライドなのでこの位置です。


まぁバッグを反対側に取り付ければ隙間感は消えますよ。

だったらそっち向きにバッグを付けて写真撮れやって話ですが(笑


オーナー氏にも大変満足していただけて嬉しい限りです。

ワンオフパーツは高くつきますが

費用対効果も段違いに高いです。

折角造るならカッコ良くて長持ちが良いですしね。

ウチは改造屋ですのでこういった作業は当然承りますが

「安く済ませたい」というご要望には応えられませんので

そういった向きは妄想で楽しむか既製品を買っていただきたく

ご依頼の際は「本気の姿勢」でお願いしますね。

時々あるんですが、既製品の写真が送られてきて

「コレと同じものを」っていうパターン。

売っているのであれば量産品が絶対安いんだからソレを買ってください。

無いものは造る、無いものを造るのが当方のお仕事ですので

その辺りはご承知おきくださいませ( ´ ▽ ` )

そんなわけでさらば!