北海道の恵みはもちろん、和の食材が随所に盛り込まれた「日本ならではのフレンチ」を体験！ : レストラン・モリエール

［北海道札幌市］
2021/12/6（月）
円山公園近く、宮ヶ丘にあるフレンチレストラン。
食べログBRONZE、百名店2017-2021。

場所は… 地下鉄東西線・西28丁目駅の3番出口を出て、そのまま大通りを南へ進む。
2つ目の信号を右折して北1条・宮の沢通を進み、次の信号を越えて右手にある。
西28丁目駅から徒歩8分。円山公園駅からもほぼ同距離。水曜定休。

店舗側面に地下駐車場3台。
満車であっても、店舗のすぐ東側にコインパーキングが出来たので安心だ（最大料金￥900）

食べログスコア★4.25 /262件（2021年12月時点）、道内2位の評価を得るフレンチ。
2008年の洞爺湖サミットでは料理を担当したとのこと。
当然、その予約競争も熾烈なわけだが、同行者が見事に確保してくれた。
なかなか無い機会なので、期待感を高めて入店。

何気ない雰囲気の入口、思ったよりこじんまりとした店内。
2〜4人掛けテーブル×10卓程度（全30席）。
全席禁煙。BGMはクラシック。

シンプルで洗練されたテーブル席。感染症対策だろうか、3人掛けの設定があるのが印象的。
白のテーブルクロスに、暖色系の照明。
褐色のウェルカムプレートは、北海道の大地を示唆しているのだろうか。
卓上に飾られるのは、本物の姫リンゴ。北海道の豊かな冬を象徴するようだ。

ランチコースは4種類。
　Terroir（テロワール￥13640）、Hokkaido（￥9020）
　Moliere（モリエール￥6820）、Foret（フォレ￥5060）

ランチとしては皿数も多く、提供もゆったりとしたペース。
心置きなく堪能するには、十分に時間の余裕をもって伺うのが良いだろう。

------------------------------------------------
■ドリンク
◎「マノワール・デ・サクレ」スパークリング・ロゼ（￥980）
　レンタカーで訪れたので、ワインはお預け。
　ノンアルコールでもお洒落なひととき♪

◎岩見沢市「北海道ジンジャーエール」
　思った以上に、ショウガショウガしている(^o^)
　北海道産生姜の辛味を全面に押し出した、痛快な味わい！

--------------------------------------------------
■ランチコース Hokkaido（￥9020）税込10％・サービス料10％込
◎ごぼうのスープ
　ごぼうが持つ「土の香り」をエスプレッソのように抽出し、
　北海道の大地さえ連想させる力強い一杯。
　エスプーマの下はカフェラテのような色合い、濃厚かつクリーミー。
　塩気強め、明快で迷いのない味付け。

◎帆立と大葉のフリット
　カリッとした次の瞬間、大葉の香りが広がる…
　絶妙に効かせた塩、そして山葵の風味。フレンチの枠を超えて、和食の粋を感じさせる一品。
　ちなみに、下の枝は食べられません（笑）

◎モリエール20種類のサラダ
　じゃがいも・れんこん・カブ・いんげん・人参など温野菜を中心に、
　ブロッコリー・ロマネスコ・ミニトマト・ビーツ、塩味のアクセントとして生ハムが入る。
　銀杏・むかご・ふき・なめこ・白胡麻といった和の食材も、違和感なく溶け込んでいる。

　パレットのように美しい姿だが、必ず「よくかき混ぜて召し上がってほしい」とのこと。
　ごちゃ混ぜにすることで、バジルソースとオリーブオイル、チーズの香りが立ち上り、
　野菜それぞれの個性が際立つ一皿となる。

◎パン
　バゲット1種類に絞り、お替わり自由。
　個人的にハードすぎるバゲットは、食事の流れを阻害するように感じるのだが、
　こちらは硬すぎず柔らかすぎず、「カリふわ」な具合で好印象。
　バターにはスペードマークのような文様が描かれており、
　これは "モリエール" だけに、大木のモチーフと思われる。

◎フォアグラと愛別町の舞茸
　出てきた瞬間に驚かされる、立派すぎる舞茸！
　主役であるはずのフォアグラを食うほどの存在感。天然物なので、個体差があるのも乙なポイント。
　酒精強化ワインのソースに、山椒・椎茸パウダーが散らされる。
　端をカリッと焼き上げたフォアグラのコクが、あっさりした舞茸を包み込む。

◎カスベ
　エイのこと。北海道ではよく食される。
　淡泊な白身だがアンモニアが含まれ、新鮮さと調理技法を試される食材の一つ。

　まず、マッシュポテトとケッパーで彩られた、パレットのようなお皿が登場。
　洒落たデザインだが、このどこが「カスベ」かなと思ったら…
　カートで運ばれてくる、アツアツのカスベ！　
　熱せられた鉄板からバターの香りが漂い、鼻をくすぐる。
　店員さんの手により、カスベがお皿に乗せられて完成！
　バターたっぷり＆レモンの風味、濃厚かつ正統派のムニエルとして楽しむ。

◎レモンティーのソルベ
　お口直し。紅茶の強い主張を感じるが、後からブランデーを加えることで香りが花開く。

◎エゾシカのグリル
　青々としたエゾマツの葉に囲まれ、焚き込められた燻煙とともに登場！
　焼きりんご、アイヌに伝わるスパイス "シケレベ" を散らして。

　すっとナイフが入る、肉質はあくまで柔らか。
　力強いスモークの香りが、ジビエ独特の主張する風味と調和。
　鹿肉はジューシーで、焼きりんごの甘みと抜群の相性を奏でる。
　シケレベ（キハダの実）はピリッと黒胡椒のようでいて、より複雑な風味も感じる。

　後から皿に乗せられる、馬鈴薯（道産メークイン）のグラタンも存在感抜群。
　アツアツでとろけるような味わい。

◎サヴァラン
　サイズが大きめということで、満腹度合いを尋ねられる。
　ハーフも出来るそうだが、もちろんフルサイズでGo (^o^)

　生地はキューブ型。サヴァランとしては珍しく、かつ可愛らしい形状。
　通常はラム酒が使われるが、この店では夕張郡栗山町の地酒「まる田」特別純米を使用。
　枡の中には清めの塩… ではなく、洋酒の香りをまとった生クリーム。
　クリームも生地も甘さ控えめで、くどさを全く感じないままペロリ♪

◎水菓子
　小みかんのゼリーと、レモンのゼリー。ゼリーが 2種類並ぶのは珍しい構成だと思う。
　前者は果実感を残し、後者は果汁の爽やかさが強調された設計。

◎お茶
　新鮮なハーブティーで穏やかにシメ。
　店内最後の客となるまで、余韻を楽しんだ。
------------------------------------------------

お会計はクレジットカード利用OK。

ランチ最後の客となったこともあり、退店時にはシェフ・サービススタッフ総出で、
店の外までお見送りいただき恐縮してしまった。

カスベ・エゾシカ・シケレベ・地酒といった、分かりやすく北海道らしい食材に加え、
和を感じさせる食材が随所に盛り込まれており、
北海道の枠を超え「日本でしか食べられないフレンチ」の世界を見せてくれるレストランだと実感した。