黒米の酢飯の力強さや野性味が、野菜寿司全体のバランスを保っているのでは : 野菜すし処 ちらしや

この日は北鎌倉でランチ。

やって来たのがこちらの野菜寿司専門店。

場所は、JR北鎌倉駅から鎌倉方面に徒歩2分ほどのところ。

2022年5月5日まではJR鎌倉駅西口で、ちらし寿司のちらしやとして
20年の歴史を持つちらし寿司のお店だったのですが、
心機一転して北鎌倉に野菜寿司専門店としてリニューアルオープンしたんです。

お店は長らく空きテナントになっていた物件ですが、
鮮やかな藍色の壁と、ダーク調の自然木の板が映えるオシャレなファサードに変貌。

まずは店頭掲示のメニューを拝見します。

・おまかせにぎり　3000円
　　サラダ、本日の握り12貫、お椀
・野菜の福よせちらし　2500円
　　サラダ、野菜のちらし寿司、お椀
・二段篭寿司点心　2500円
　　サラダ、小さなばらちらし、本日の握り6貫、お椀
・寿司会席(もどき料理中心の会席料理)　5000円 ※要予約
　　お造り、焼き物、煮物、揚げ物、寿司、お椀、デザート

というラインナップ。

おっとこれはなかなか強気の値段設定ですね（＾＾；
最低ラインでも2500円しますので、財布の軽～い私はビビりまくりぶ～っです。

しかしながらここまで来ましたので引き下がるわけにはいきません。
引戸を開けて店内に入り、まずは手指消毒のセレモニー。

先客はいません。お好きなところにどうぞとの案内。

店内は、入って右手に片面ソファタイプの4名掛けテーブル2卓。
左手に2名掛けテーブル1卓、4名掛けテーブル1卓。
左手前方の厨房の手前にカウンター4席というキャパ。

私は左手奥の2名掛けテーブルに座ることにしました。
ここが一番店内全体を見渡しやすいので。

メニューを頂きますが店頭掲示のものと同じです。
せっかくここまで来ましたので、一番のオススメと思われるものを頼もうと思い、

・おまかせにぎり　3000円
　　サラダ、本日の握り12貫、お椀

を注文することにしました。お時間が掛かりますとの案内があります。

お店は、ご年配の女性お二人での切り盛り。
おそらく家族経営なのではと思われます。姉妹になるのかな？？？

店内もフルリノベーションされて和モダンでスタイリッシュな雰囲気が有ります。

せっかく雰囲気がいいのですがBGMが無いんです。
ジャズとかでも似合いそうな雰囲気ですけどね。
海外からの観光客も多くなりそうなので和楽器のインストでもいいかも。

2分後にサラダがサーブされ、料理は次々と運ばれてきました。

この日のおまかせにぎりの内容は以下になります。

・サラダ
　　かぼちゃと胡瓜のサラダ 最中仕立てです。
　　パリパリの最中の皮の中に、ジューシーなかぼちゃと胡瓜のサラダ。
　　サンド状にしてかぶりついて頂きました。
　　ちなみに有田焼 美染窯の皿を使用していますね。

・本日の握り7貫 桶盛り
　　桶に入っての登場。
　　寿司飯には、藤沢で育った黒米を使用しています。
　　プチプチとした食感と香ばしい味が特長です。

　　この日の握りの内容は、
　　　イカ明太のようなこんにゃくとアマランサス
　　　本マグロのづけのようなパプリカのづけ
　　　山北の濃厚な湯葉とポン酢ジュレ
　　　季節のナスを素揚げにして煮つめをつけて
　　　うなぎのような山芋と豆腐のかば焼き
　　　熊本名物南関あげもっちりいなり寿司
　　　玉子焼のようなかぼちゃ豆腐
　　の盛合せになっています。

　　アマランサスとはスーパーフードの一種で、食感が魚卵に似ていることから、
　　ヴィーガンやベジタリアンの間で「もどき料理」に使われることの多い食材。
　　今回はこれで明太を表現したんです。
　　秀逸だったのが、うなぎのような山芋と豆腐のかば焼き。
　　これは本当にうなぎっぽいコクも出ていて単純に美味しいんです (〃^▽^〃)
　　かぼちゃと豆腐で作った玉子焼きもどきも良く出来ているなあと感心。

・軍艦3種盛り
　　とびっこのような人参キヌア、うにのようなかぼちゃとソイバター、
　　ネギトロのようなトマトのたたき軍艦の盛合せです。
　　それぞれ食感も風味も味も異なっていてもどき料理かも知れませんが、
　　それとは関係なく美味しいと思います。

・トマトの酢漬け
　　ミニトマトの皮を湯剥きして酢漬けにしたものです。
　　なんとサービスで出して頂きました (〃^▽^〃)

・お椀
　　あかもくとトマトのお吸物です。
　　あかもくとは粘りの強い海藻で、地方によってはギバサと呼ばれるもの。
　　それとトマトを刻んだお吸物ですが、お吸物になるとそれほど粘りは感じず、
　　トマトの酸味の効いたさっぱりとしたお吸物になっています。
　　トマトが効いているのでスープにも近いかもね。

・イクラのづけのようなトマトペーストとタピオカ、インドマグロのようなトマトとソイソース
　　ラストを飾る2貫です。
　　トマト尽くしで飾るんですね。

・デザート
　　なんとこれまたサービス (〃^▽^〃)
　　豆乳寒天 黒蜜がけです。
　　豆乳の風味をしっかりと感じ取ることが出来ました。

・熱いほうじ茶
　　これで〆です。

この内容で3000円。お支払いは現金のみです。

3000円は正直高いなあと思ったのですが、食べ終えてみると満足していました。
野菜好きな私だからかも知れませんので、他の方はどう感じるかは分かりませんが。

仕込みの関係などで難しいのかも知れませんが、1000円台のメニューもあるといいかも。
例え観光で来ていても2500円以上というのはハードルが高いと思いますので。

野菜寿司を提供するお店ですのでもちろん野菜寿司なわけですが、
桶が登場してからはそんな考えは吹っ飛んで、単純に出てきた料理を楽しんでいたんです。
それぞれ趣向を凝らした「もどき料理」なのですが、逆に感心もしたりと。

野菜ばかりでしたがもの足りなさを感じなかったのは、
黒米の酢飯の力強さや野性味が、野菜寿司全体のバランスを保っているのでは。
これが白米の普通の酢飯だと弱く感じるかも知れませんので。

ちらしやが野菜を握ることになった訳は、

・海から魚が減っていく。
・大好きな魚と大切な寿司文化を守りたい。
・仕入れは大手に敵わない。
・そこで野菜を握ることになりました。

ということらしいです。

単純でいて深い。なんか応援したくなります (〃^▽^〃)

ご馳走様です！（2022/7現在、ポイント無し）