兜町：元ロブション料理長のミシュラン一つ星店 : ASAHINA Gastronome

親戚が子供の面倒を見に来てくれ、たまにはゆっくり美味しいものをということで、ポケットコンシェルジュを利用して空いている店の中から相方に候補をいくつか送付。ロブションファンの相方は即断でこちらを選択。

訪問したのは土曜の日。日本橋で降り、土産を購入ししばらく歩く。なんとJPX（東京証券取引所）の向かい、兜町の金融街のど真ん中にあり、建物がシックに街の雰囲気に溶け込んでいる。

入店すると、外が小雨だったためか、店内の眩さに少々目がくらむようだった。ランチは時間を15分刻みで選べる。入店時は店内の厨房がガラス窓から見えるようになっており、料理人チームが男女合わせて10人弱、ずらりと並ぶようにして入店してくる客である我々の方を見ていた。

奥のスペースは間仕切りで個室にもなるようだが、そのスペースの２人席に腰掛けた。ウェイターは皆、細身のスーツを体型に合わせて着ている。店内の明るさに眼と携帯もついて行けなかったのか、メニュー写真がぼやけてしまった。

最初にいただいたのはChampagne Marguetというピノノワールのシャンパン。
オーガニックにこだわったワインだという。辛口で飲みやすくスタートにふさわしい。
飲み物のメニューはないようだ。２杯目、相方がビールを頼んだが、銘柄は不明だ。

アミューズはとても美しく、味もまたアミュージングだ。ひよこ豆にボタンエビののった「ひよこ豆のパニス」からいただくと、エスニックな世界に引き込まれる。「ビーツのメレンゲ・キャビア」はビーツがマカロンのようにほどける食感で、甘さとキャビアのコクなど３重の味変化が楽しめる。そして「ゴーフルではさんだリエット」は豚のリエットが甘いゴーフルに挟まれこれまた楽しい味わい。

グラスの白ワイン「クロ・デュ・ブルイユ」"Montlouis Sur Loire Clos du Breuil"はシュナン・ブラン。ドライだが、シトラス系の果実味とアシディティがかなり強いワイン。

「サーモントラウトのタルタル」のグラブラックス・ソースは北欧で用いられるソースとのことで、マスタードが使われている。これにトラウトサーモンや、トビッコに、キャビアがのったタルタルと、もう一つ果菜類の入った山がある。前者は特別な食材なので非日常感含めて美味しいが、少しえぐみのような感覚があり、トマト等の野菜の方を食べると日常に戻される感じ。引き込まれる感じがなく、どのように楽しむべきか勝手に悩んだ。

「シャラン鴨の生ハム」の軽い燻製は、ねっとりとしたコクがあって美味。甘酸っぱいタマリンドのピュレ（クーリ）が添えられている。ポテトチップスに挟まれている茄子はエスニックな風味がある。細い糸のような飾りは茄子でとても技が細かい。

「活ヒラスズキ」スズキは鹿児島の天然もの。ナージュは貝類の中でも主にあさりを煮出したソースという。勝手に下手すると酒蒸しのような感覚を期待していたところ、やや甘みが強く感じられたが、それでも美味しい。ただし鱸の皮目岩塩のような塩が振られておりこれが少々しょっぱい。

次にいただいたグラス赤ワイン「フルール・ド・クリネ」"fleur de clinet pomerol 2015"はメルロー95%で、セカンドラベルのワインなるも、こなれたタンニンた特徴的とのことでお勧めされた。メルローの割に甘くなく、少し粘性があり、メルローの円さと柔らかさがありながら飲みごたえのあるフルボディだった。

「ブルターニュ産仔牛ロース」は、キノコのパウダー等を使って焼き目のような見た目に仕上がっている。ロゼ色にしっとりローストされていて焼き目部分の風味が彩を添える。季節野菜はオータムポエム（アスパラ菜）で、秋の名称ながら春の訪れを感じさせる野菜。キャラメリゼされたリ・ド・ヴォーとは心臓部分とのこと。なるほど確かにハツっぽいが、食感は柔らかい。
右手前のスターは黒大根のラビオリ仕立て、左手前にはマッシュルームの詰め物。マッシュルームは飾り包丁が入っていてとても造形が細かい。

アヴァンデセールはゆずのムースに、アロエベラを白ワインでコンポートしたもの。あっさりとしているが、同時にさっぱりして良い感じ。
オペラフランボワーズは、ホワイトチョコと共に来る。チョコレート部分はアイスクリームと交換も可能。ビスキュイの間のクリームも上品な味。
ミニャルディーズは、ピスタチオにカヌレ、ラムレーズン。深煎りのコーヒーを味わうころにはすっかり満腹。

すっかり解放感を味わった相方がダメ元で子供が利用できるかについて尋ねると、小学生位であれば（おとなしく出来る子なら）個室利用が可能とのこと。一般の乳児や未就学児にはまだまだ厳しそうだ。
帰りには雨がしっかりと降り、かつ人の居ない寒空のオフィス街であったが、身体はしっかり温まり足早に地下鉄に駆け下りた。