勘八系の優良店 ＠ 学習院下 : すし屋の魚雄

【平成27年6月　初訪問】

夕刻の高田馬場でJRを途中下車し、目的地に向かうべく慣れない小径を抜けて行く途中で
うに小屋さんというお店が目に付きました。そこそこ繁盛している様子ですね。
機会があったらウニ好きのお友達でも誘ってお邪魔してみたいものです。

写真の長蛇の列はレッドロックさんの待ち客です。ローストビーフが有名なのだそうですが、
こんなに並ぶのでは、ちょっと考えてしまいます。

さて、目的地の玄関先に到着しました。前回振られてしまったすし屋の魚雄さんです。
この度は駅に着いた段階で電話を入れて置きましたので間違いありません。

ビールは好みの銘柄がありました。お通しは毛蟹です。

■鯒　鯒と鰈の大葉焼き
コチの様な小型の白身は身の締まったものも美味しく感じます。
大葉焼きにはコチとカレイのすり身が挟まっていまして、
千葉の海沿いのお土産屋さんでよく見るサンガ焼きを思い出しました。
こちらの方が余程上品に出来ていますけれどね。

■平貝磯辺焼
手渡しのおつまみとしては定番です。指が熱くて写真に苦労するのも毎度のことであります。

■鮪中トロ
マグロは新潟でした、脂が穏やかでしつこくありません。夏の味覚ですね。

■生鳥貝
トリガイは愛知です。鮮度が良く香りが立ち、トロンとした舌触りが何とも言えません。

■水茄子漬物　南瓜漬物
普段はあまり漬物を食べませんけれど、お寿司屋さんの品揃えには楽しませてもらえます。

■縞鰺付け焼き
焼き物シマアジでした。高級ですね。比べるのは野暮なのですが、
その美味しさは銀鱈の比ではありません。

■胡瓜漬物
大好きなキュウリは歯ごたえを残す丁度良い漬かり具合でした。

■冷酒
このお酒の銘柄を尋ねましたら、なんと『底抜け』ということでした。
今は無き築地の小田原屋さんが飲食店向けに販売していたブランドです。
身内の揉め事が原因で惜しまれつつも閉店してしまった酒屋さんなのですが、
ここでそのお酒と再開できるとは夢にも思いませんでした。
酒蔵が『想天坊』の名で販売しているものが、これと同一の品という噂もありますので、
もしかしたらそういうことなのでしょうかね。よくは分かりませんがそんな気がしています。

■小鰭
産地を失念してしまいましたが、確か九州は熊本県辺りだったように思います。
模様の大きさからして狭義のコハダよりは一回り大きいナカズミです。
ほんのりと脂が乗った個体は絶妙な〆加減で供されました。
酢が尖らず、ほんのりと甘みを感じる、極めて口当たりの良い仕上がりでした。

■真子鰈昆布締め
マコガレイは昆布を強く感じましたが、身に甘みがあるので上手く共鳴して美味しく仕上がっています。

■煮蛤
鹿島のハマグリはしっかりと煮込まれていますが硬くはありません。これも技術なのでしょうね。

■〆鰺
淡路のアジは脂がたっぷりで山葵が効きません。

■巻海老
九州のエビは背開きになっています。珍しい仕事ですね。

■穴子
対馬のアナゴはしっかり煮込んであり、あっさりとしながらもふわっと柔らかい仕上がりでした。

■べったら漬け
べったらは味が濃い目の沢庵ですが良い口直しとなりました。

■馬糞海胆　軍艦・つまみ
軍艦の岩手のウニは甘みが穏やかで特有の苦みを僅かに感じます。
焼海苔の助けもあって美味しく頂くことが出来ました。おつまみは四島です。
濃厚な甘みとうま味で満足感があります。

■蒸し鮑
淡路のアワビは弾力がありながらも歯切れが良く、お寿司屋さんならではの仕事かと思います。

■中トロづけ
づけをお願いしましたら中トロを使って下さいました。
この日は赤身の品質が今ひとつだったのだそうです。

■浅蜊の味噌椀
太った大きめのアサリはいいものですね。

■海松貝
ミルガイも愛知です。近年は二枚貝の宝庫の様な印象です。

■葱トロ巻
パリッとした海苔を楽しむなら手巻きですね。

■干瓢巻
カンピョウはかなり濃い目の味付けですが、甘ったるくはありませんので喉に使えることはありません。

■河童巻
キュウリの刻み方が丁度良い塩梅で香り良し舌触り良しの秀逸な出来栄えでした。

■西瓜
日頃、デザートの類は好みませんが、スイカは大好きです。


前回は突然の訪問だったせいか門前払いとなってしまいましたが、
この度は電話を一本入れてから向かいましたので、無事入店することが出来ました。

屋号からして直ちに察しがつくことと思いますが、当店は寿し屋の勘八さんの系列でして、
こちらの大将の修業先は驚くことに、以前行きつけだった飲み屋さんのすぐ近所だったのです。
話が進むにつれ共通の知人がいることも分かりました。世の中狭いものですね。

実を申しますと、食べログの評価がやけに高いのでずっと気になっていたお店なのですが、
実際にお店に伺って見てその訳がよく分かりました。
江戸前寿司の伝統的な仕事が守られていて、
季節感のあるおつまみがテンポよく出て来るのは古き良き銀座の雰囲気なのです。

JRの駅からはちょっと離れていますが、繁華街ではありませんので、
静かに落ち着いた食事が出来そうです。品揃えは名だたる高級店にも引けを取りません。
また、そのうち電話を一本入れてからお邪魔していたいと思います。ごちそうさまでした。