Vampire Weekend(ヴァンパイア・ウィークエンド) 5年の沈黙を破る5作目のアルバム『Only God Was Above Us』
2006年の衝撃デビュー以来、2作目から4作目のアルバムが3作連続で全米アルバム・チャート1位を獲得、更にグラミー賞<最優秀オルタナティブ・アルバム>賞2冠を誇る、米オルタナ・バンド最高峰=ヴァンパイア・ウィークエンドの5年ぶり5作目となる新作アルバム『Only God Was Above Us』。エズラ・クーニグ(Vo/Gt)と、長年のコラボレーターであるアリエル・レヒトシェイドがプロデュースを手掛けた同作は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、東京でレコーディングされ、5年という年月をかけて完成したアルバム。20世紀のニューヨークに大きなインスピレーションを受けた、コンセプチュアルな内容になっている。2019年~2020年にエズラが歌詞の大部分を書き、そこからじっくり歌詞とメロディーの構成のリワークを重ねて完成した、バンド史上最も大胆な作品でありながら、最もメロディックでもある作品に仕上がっているという。ジャケット写真は、ニューヨーク出身の写真家=スティーヴン・シーゲルが1988年にニュージャージー州の地下鉄の廃墟で撮影した写真シリーズからの一枚。写真に映っている新聞は、実際に1988年5月1日に付の<ニューヨーク・デイリー・ニュース>紙で、航空機の屋根が剥がれるという事故が起きた、「アロハ航空243便航空機事故」を報じたもの。見出しにある、生存者の「ONLY GOD WAS ABOVE US (=私たちの上には神しかいなかった)」という言葉が、そのまま今作アルバムのタイトルに起用されている。
発売・販売元 提供資料(2024/02/09)
ザック・ブライアンとの全米1位ヒット"I Remember Everything"でグラミーを受賞したのも記憶に新しいなか、『Star-Crossed』以来となる約3年ぶりのニュー・アルバムが到着。録音はNYのエレクトリック・レディ・スタジオで行われ、基本は彼女自身とダニエル・タシアン、イアン・フィチャックが共作/共同プロデュースにあたっている。アンナ・ナリック"Breathe(2AM)"を引用したフォーキーな"Too Good To Be True"やJIDの"Kody Blu 31"をサンプリングした"Lonely Millionaire"など、芯と品のあるモダンな意匠も奏功した聴き心地は今回も素晴らしい。繰り返し聴いてしまう傑作。
bounce (C)轟ひろみ
タワーレコード(vol.484(2024年3月25日発行号)掲載)