「コスト増の吸収きつい」中小の悲鳴 賃上げ波及、カギは価格転嫁

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片田貴也 木村裕明
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 物価高が続くなか、大幅な賃金アップは実現するのか――。暮らしを大きく左右する今年の「春闘」が22日スタートした。賃上げの大きな課題は、労働者の7割が働く中小企業への広がりだ。

 「人手不足のなか、人材の獲得や定着を考えると賃上げしたいが、これからもできるかは分からない」。金属プレス加工「丸善」(神奈川県海老名市)の中沢憲一社長は自信なげだ。

 同社は昨年10月、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)を数年ぶりに実施し、従業員32人の基本給を2~3%上げた。こうした賃上げを持続できるかは、労務費の増加分を取引先に価格転嫁してもらえるかにかかっているという。

 同社はトラックメーカーの2次下請けで、大手と中小の取引先2社が売り上げの9割を占める。このうち大手の取引先には昨年、労務費分の値上げを初めて依頼し、応じてもらえた。中沢社長は「社会的に価格転嫁しやすい環境にはなってきた」と感じている。

 一方、中小の取引先は、物価…

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この記事を書いた人
木村裕明
経済部|財界・民間企業担当
専門・関心分野
企業経営、働き方、ダイバーシティー、企業による社会課題解決、障がい児・者との共生社会
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