夏場に弱って温度の冷えない冷蔵庫・冷凍庫を復活させる方法

夏場に弱って温度の冷えない冷蔵庫を復活させる方法

夏場の特に暑いとき、よりによって冷蔵庫の効きが悪い。。こんな経験はありませんか。

こないだまでよく冷えていたのに、今日開けたら冷蔵庫の中身は水滴がついていてぬるい。冷凍庫の氷は表面がうっすら湿っている。でも完全に壊れたわけではなさそう。そんな状況にある人は、買い替える前にぜひこの記事に目を通してください。

記事ではこうした状況にある冷蔵庫を復活させるために、あきれるほど素直な解決方法を、原理の裏付けとともにご提案しています。

よくありふれた、庫内を霜取り掃除したり周囲にスペースをあけたり温度ダイヤルをいじるような方法は無効ではないですがそれだけでは焼け石に水です。原理に足りていないからです。

これから馬鹿みたいに素直な方法をお教えしますが、冷蔵庫が本当に壊れているのでなければ、馬鹿をみるような結果にはならないはずです。費用はわずか、手間も要しません。どうぞお試しください。

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夏の冷蔵庫温度を復活させる方法と原理

結論からいうと、冷蔵庫/冷凍庫の特定の場所に夏の間四六時中扇風機をかけます。これで弱った冷蔵庫の能力は復活します。ただし幾つか条件があるので具体的なコツは記事を参照ください。

小さな子供が思いつくような馬鹿げた方法だと一笑に付されるかもしれませんが、まずは実験結果を見てください。なにより原理的に理に適った方法なのです。

扇風機設置なし 通常使用時冷蔵庫 約9℃

/扇風機設置なし 通常使用時冷蔵庫約9℃

扇風機設置から90分後 冷蔵庫 約9→1℃

扇風機設置から90分後 冷蔵庫約9→1℃

なぜこのような結果になるのでしょうか。それは、なぜ冷蔵庫/冷凍庫が冷えるのかという原理に基づいています。

冷蔵庫や冷凍庫が冷える仕組みと冷えなくなる理由

冷蔵庫が冷える仕組みと冷えなくなる理由

冷蔵庫の中身はなぜ冷えるのか。簡単にいうと、冷蔵庫の中にある熱を冷蔵庫の外に捨てているからです。冷凍庫も同じです。

冷気で冷やしているからではありません。熱を、庫外に捨てているから冷えるのです。これはヒートポンプという仕組みで、身近なところだとエアコンや自動販売機も同じです。

エアコンは屋外の室外機を使って熱を捨てています。自販機は最初から屋外にあります。熱を屋外に捨てることさえできれば、あとは風が捨てた熱を持って行ってくれます。

でも、冷蔵庫は?冷蔵庫には室外機がありません。どこから熱を捨てていると思いますか。
冷蔵庫は放熱板という部分から熱を捨てています。放熱板とは、多くの場合冷蔵庫の側面パネルないし背面パネルもしくは天板そのものです。

さっそく、あなたの弱った冷蔵庫のところへ行って、手で触れてみましょう。機種によって多少部位は異なりますが、正面は常温でも、側面、背面、天板のいずれかはかなり熱くなっていたのではないでしょうか。

冷えないのに放熱板が熱くない時

もし、冷蔵庫が弱っていてなおかつ放熱板も熱くなっていない場合は、故障寸前か、あるいは完全に故障しています。いそいで記事の方法を試し、だめなら故障である確率が高いと思って差し支えないです。

冷蔵庫が突然壊れて焦る、こういう時が冷蔵庫購入で一番失敗しやすい時です。冷凍食品や牛乳のことは確かに一大事ですが、焦って買うと下記記事の筆者のようにすごく単純で愚劣なミスを犯してしまいます。気をつけてください。

冷蔵庫は庫内の熱を、熱くなった放熱板から直接捨てています。ところが、捨てた先の部屋が暑くてこもっていたらどうでしょうか。冷蔵庫がうまく熱を捨てられず、結果として中が冷えなくなって弱っているように見えるということが分かると思います。

ですから、放熱板を冷やして熱を奪ってやれば、弱った冷蔵庫は再び庫内の熱を捨てられるようになり復活するというわけです。

熱を奪うために有効な力は、と、です。

熱い放熱板を冷やして冷蔵庫温度を下げる具体的な方法

とりあえず試すだけなら、あなたのお部屋の扇風機を冷蔵庫の放熱面に向けて小一時間経てば結果がはっきりするでしょう。送風の際は部屋の窓をあけ風通しを良くするか冷房を行い、部屋全体が高温にならないよう注意してください。

でないと冷蔵庫から捨てた熱が部屋にたまる一方でどんどん暑くなってしまい、いつしかいくら風を送っても熱を捨てられなくなってしまいます。

以下では送風によってどの程度熱を奪うか参考に、温度計を側面放熱板に張り付けてみました。とはいえ、風を当てて10分後に手を当ててみた方が実感で早く分かると思います。

通常時の放熱板温度 おおむね常時38度
通常時の放熱板温度 おおむね常時38度
送風10分後の放熱板温度 38→31度
送風10分後の放熱板温度 38→31度

効果があると分かったら、もっと都合の良い道具を使ってみましょう。本当にずっと大型扇風機を冷蔵庫に向けていたら不便で邪魔です。

ハンディファン

このような道具を見かけたか、あるいはすでに持っている人もいるのではないでしょうか。なんとなく流行らなくなって外で使っていないなら、今こそ最高の役割を与えられます。

使い方は単純で、放熱板のどこかに向けて20cm程度離してつけっぱなしにします。向きは放熱板に対しできるだけ正面が効果的です。

ただし常時充電しながらずっとつけっぱなしにすると内蔵バッテリーを痛めます。これを回避するには以下の記事にある安いコンセントタイマーを併用ください。

必要最小限な時間帯だけ間欠充電するようにすれば、バッテリー劣化問題を大幅に軽減して運転できます。

理想は全ての放熱板の面全体に送風することですが、冷蔵庫周囲にそんなスペースがあるケースは稀でしょう。熱くなっている面のどこか1か所、ある程度の面積に向かって送風できればそれだけで十分効果を発揮しますので、やってみてください。

復活をとにかく急ぎたい場合は、送風と併用してこまめにペーパータオルなどに水を含ませて放熱板全体を拭くか、霧吹きで濡らすと気化熱により放熱速度が上がります。

機種によっては排気口も掃除する

大型冷蔵庫/冷凍庫など、機種によっては排熱のためにファンや排気口から熱を捨てる構造になっているものもあります。

その場合は、排気口が汚れて詰まっていたり、塞がっていると、同様に冷蔵庫は冷えなくなってしまいます。

目視や説明書などで排気口を探し、塞いでいた物をどかして掃除機でゴミを吸い取るなどして排熱を助けるように工夫してみましょう。横向きに扇風機を当てて、排気口から出た熱を早く流し散らすのも大変有効です。

説明書をどこにやったかわからない場合は、冷蔵庫のどこかに書いてある品番を探し、品番+説明書で検索すれば大抵見つかります。大型冷蔵庫は非常に高コストで入れ替えも大騒動になる代物です。面倒でも一度は全て試すだけの価値はあるでしょう。

放熱面にスペースがまったくない時

冷蔵庫置場の放熱面に向けて扇風機を置けるスペースが無い、置きにくい、置くと邪魔すぎるという時は、冷却送風機の設置を検討してみましょう。

air-blower

冷蔵庫置場がどんなに狭くても、てっぺんにはスペースがあるはずです。どうにか7cmの隙間をつくってあげれば、そこから冷却送風が可能になります。冷却送風機はサランラップみたいな棒型のボディで、外形サイズは65✕67✕長さ296mmです。

設置方法は単に隙間に差して置くだけです。写真のように風量ダイヤルを正面にして、できるだけ放熱面に風が当たるよう角度をつけると効果的です。

冷却送風機は最高80℃近くにも達するパソコン部品を常時集中冷却するために設計されており堅牢で、冷蔵庫の放熱面など空冷を期待された部品を冷やすのに最適な機器です。

usb-charger

国内メーカーの製品であればかなり安定的に動作してくれます。前記のタイマーと組み合わせて隙間に仕込み、夏だけ風量ダイヤルでONにしておけば、あとは放ったらかしで何年もそのまま冷蔵庫のグレードアップパーツとして冷却加速と寿命に貢献してくれるでしょう。空冷DIYです。

なおケーブルは1.5mのロングUSB-Aが付属しますが、コンセントに挿すUSBアダプタは別途必要でした。昔のiPhone用充電器など省エネ低出力品の流用で足ります。

原理を知って道具を使いこなそう

このように、弱って熱くなり壊れたと思っていた冷蔵庫・冷凍庫は、実は熱をうまく捨てられずに困っていただけという可能性があることが分かったと思います。

壊れたわけでないなら、仮に送風しなくても窓をあけるか冷房をかけて長い時間待てば、やがては庫内は再び冷えてくれるはずです。しかし大変長い時間を要すうえ、冷蔵庫にも負担をかけますし、途中扉を開けばまた一から長い時間を待ちなおしです。

この待ち時間を短縮し、冷蔵庫の冷却原理を手伝って負担を減らす方法が、送風というわけです。

記事の方法を実行し、冷蔵庫が復活して、買い替えせずに夏を乗り切れそうでしょうか。

道具の原理を知ると、道具を使うあなた自身のスキルが上昇します。この記事のスキルは冷蔵庫に限らず、すべてのヒートポンプに応用できます。

室外機をもっと風通しの良い向きにしてみたらどうなるでしょうか。水をかけたり日陰に置いたら効果があるといえるでしょうか。夏は空調の無いこもった駅の自販機を我慢して、風通しのよい外に出てからジュースを買うようにしてみたらいいことがあるかもしれません。

道具や家電が壊れて困ったと思ったときは、症状を観察し、原理を知ってじぶんで考えてみると、新しいあなただけの解決スキルをあみだせる可能性があります。ぜひ頭の片隅にとどめておいてみてください。きっと暮らしのオリジナリティーが広がるでしょう。

おまけ インテリアにスキルを応用して家電を隠す

インテリアにスキルを応用して家電を隠す
ワインクーラーなどペルチェ素子式でなければ、原理は同じコンプレッサーによるヒートポンプです

ホテルインテリアでは、冷蔵庫や電子レンジなどの家電は収納の中に隠してあることが多いです。でも、ホテルの冷蔵庫はいつも効きが悪いと思いませんか?

記事の原理を知ったあなたなら、同じことを自宅でDIYするとき、どうすればよいか分かります。

正面を扉などで隠し、放熱面は通風できるように工夫すれば冷蔵庫の能力と美観を両立する方法を見い出せるでしょう。

逆に宿泊先のホテル冷蔵庫をなんとかする方法も編み出せるかも!?

ところで最近、電気代がやたら上がって困っていませんか。それ、対策できるかもしれません。以下を暇な時ご覧ください。

おまけ2 エアコンの冷風をロフトや他の部屋に送ると冷やせるか

エアコンのない別部屋や、暑いロフトに、今リビングなどにあるエアコンから冷風を送りたいと思ったことはありませんか。最も簡単で低コストなのは、仮設用のビニールダクトでエアコンから目的の部屋まで冷風を送り込むことです。サーキュレーターを併用するとより効率よく送れます。しかし、ほとんどの場合無意味なのでやってはいけません。

この記事を読んで冷蔵庫の件を試し、深く理解した人ならば、なぜ無意味なのか分かります。エアコンで部屋が冷えるのは、冷気を送っているからではなく、部屋の中にある熱を吸い取って捨てているからと分かっているからです。

家全体を冷やせるようなお化けエアコンでもないかぎり、普通のリビング用エアコンからダクトでいくら冷風を送り込んでも、全くその部屋は冷えてくれません。

なんなら、スポットクーラーのような高額商品を別部屋の奥に何台配置しても同じことです。スポットクーラーで吸い取った熱をそのまま同じ部屋に捨ててしまっているからです。ダクトの吹き出し口だけ涼しい風がでますが、部屋は冷えるわけがありません。盛大なお金とエネルギーの無駄になると分かります。

スポットクーラーの排気を壁の給気口からダクトで排気する方法も考えられますが、ダクト自体から熱が部屋に漏れて戻ってくること、捨てた空気のぶん部屋の他の隙間から暖気が入ってくることを考えると、恐ろしく効率の悪い、非実用的な結果に終わるでしょう。たいへんなお金と時間の無駄になってしまうとここの読者は分かるでしょうから、変な情報に惑わされず、手を出さないようにしましょう。

エアコンは冷媒というものを使い、熱だけ運んで外へ捨てており、室内の空気は捨てずに循環しています。ですから、捨てたぶん隙間から暖気を吸い込んでしまうといったこともありません。しかし、スポットクーラー+ダクト排気ではそれが出来ません。結果にたいへん大きな差が生じます。

どうしても問題を解決したい場合、最低でも原理に足りるかたちで窓から直接熱を捨てることのできる 置き型エアコン のようなものを検討する必要があると、事前に気づくことができるでしょう。

読者コメント

  1. アキ より:

    放熱板が左右側面にあるとき、両方でなく片方に扇風機をあてるだけでも
    多少効果はありますか?

    • デフラグライフ より:

      相応の効果があります。もちろん両方全体の方がより効果的ですが、夏をしのぐ分には無駄ではないので試してみましょう。
      現に記事写真のように筆者の自宅もそうで、実験も片方だけの送風で行いました。
      また、壁との間の狭い隙間に送風する方法も、大変効果があります。こもった熱を捨てる手伝いができるからです。
      さらに言えば、片方の放熱板全体が無理でも半分くらいまで当てられれば、それでも相応の効果があります。

      放熱板の多くは熱伝導率の高い金属(プラスチックの約100倍)でできており、部分的に冷やしても金属内部で他の部分の熱を風のあたる部分へ伝えてどんどん捨ててくれるためです。
      このように熱伝導率の高い金属を使って熱を伝え捨てる仕組みはヒートシンクといい、さらにそこへ大小様々な扇風機を当てて熱を捨てることを加速する仕組みを空冷と言い、身近なところだとパソコンのCPUや、室外機があります。
      一部の高性能パソコンでは今でも空冷なので、電源ONすると背面や側面から風が出てくる機種がありますが、それには内部にヒートシンクと空冷ファンがついているからです。
      室外機は背後に金属の板が無数にあり、それがヒートシンクです。前部には巨大な空冷ファンがついています。ファンを使って背中から空気を吸ってヒートシンクを通して熱を吸い取り、前面から捨てているわけです。
      要するに原理は皆同じわけです。物体を伝わってくる熱に、風を当てて熱を捨てる。ラーメンをフーフーするのも同じで、効果があります。同じ事を冷蔵庫でやっても、物理的な結果として、部分的でも程度に応じて効果があります