2024年12月3日、シャネルの2024-25年 メティエダール コレクションが中国、杭州の西湖で発表された。約12000年前に形成された西湖は、水面を渡る橋や中国建造物などに囲まれ、 その圧倒的な景観は「西湖十景」として2011年に世界文化遺産に登録された。ガブリエル・シャネルは生前、杭州・西湖での古き良き暮らしが描かれた中国漆製でアンティークのコロマンデル屏風を所有し、それは現在もパリのカンボン通り31番地にあるアパルトマンの書斎の壁に飾られている。
パリから杭州・西湖に続く旅 ── シャネルの2024-25年 メティエダール コレクションは、ガブリエルが思い焦がれた東洋の絶景を着想源に掲げ、メゾンのクラシカルなデザインコードと見事に融合した。
ショーは、夕暮れ時にスタート。西湖に浮かぶ橋をランウェイに見立て、幻想的なライティングがあたりを照らした。モデルたちの姿、橋、そして建築物が水面に反射し、まるでガブリエルが愛した屏風の絵柄を現実世界で再現したかのような風景を作り出した。
ファーストルックには、中国を代表するスーパーモデルのリウ・ウェンが漆黒のツイードロングコートをまとって登場。襟のラペルに施されたフラワーモチーフの刺しゅうやハードメタル製のボタン、ブーツまでブラックで統一されたワンカラースタイルで、コレクションの幕を開けた。
その後も、シルクドレスや総刺しゅうのコート、ツイードのセットアップなど、オールブラックのルックが続き、ガブリエルが所有した屏風の木材を連想させた。フラワーモチーフの刺しゅうやニットは、屏風の絵柄を彷彿とさせ、ところどころに散りばめたジェイドグリーン、ピンク、スカイブルーは漆塗りの輝きを表現している。
さらに、 西湖の水面のさざ波を表すライトウォッシュデニムや、トラベル型のバッグとヴァニティーケースなど、パリから杭州への旅をコレクション全体で描いた。
終盤は、夜の官能とロマンティックをテーマに、繊細なレースワークやプリーツ、フラウンスに飾られたドレスウェアを展開。パウダーピンクやグリーンのドレス、メタリックゴールドのセットアップなど、煌びやかなディテールが光る一連のルックは、パリから杭州にたどり着き、西湖の絶景を初めて目にした高揚感を表現しているかのような、華やかな雰囲気に満ち溢れている。