「はうあっ!PCが重要な書類を食ってしまった...」なんていう経験、多かれ少なかれありますよね。重要なファイルを消してしまい、リサイクルも不能、そして空の彼方へと消え...。パニックに陥る前に、現実逃避して泣き寝入る前に、ファイルがハードディスクのどこかで、まだ生きている可能性があることを忘れないでください。正しいツールを使えば、消えたファイルを見つけて救出することが、数クリックで可能となるかもしれないのです。今回は3章にわたって、消えてしまったデータを救出する旅をお送りします。

 ■第1章 ファイルが消えてしまったら

絶望した!重要なファイルを消してしまったことに絶望した...と首をくくる前に、まずは深呼吸をして落ち着きましょう。そして、どうやったら復元できるかを考えましょう。リカバリーモードに突入する前に、保存していたフォルダ、ゴミ箱を見直しましょう。それでも姿が無ければ...。

  1. 直ちに今していることをやめる

     ファイルを消去する=消去するファイルの大きさ分の空き容量を、ハードディスク内に作る、ということだって知っていましたか?要するに消去直後は、ファイルはまだそこにあるということです。単に、そのファイルに上書きする準備が整った状態と言えます。そこでもし、ファイルを消してしまった段階から、何か違うものを保存したりしてしまうと、消してしまったファイルに上書きされる恐れが出てきます。つまり、ハードディスクが情報を書き込む度に、消してしまったファイルの存在はどんどん消えていき、救出できる可能性も当然薄れていきます。重要なファイルを消去してしまったら、まず今している作業をやめて、そのファイルに何かが上書きされないようにしましょう。

  2. 正しいファイルリカバリープログラムを使う

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     Windows:Windowsには、素晴らしい無料リカバリーツールの選択肢があります。例えば、『Undelete Plus』、『 PC Inspector File Recovery』、『Restoration』(リンク先4番目)など。中でも、Undelete Plusが最もユーザーに優しく、消されてしまった多数のファイルから目的のファイルを見つけ出す優秀な機能を持っているかもしれません。しかし、米ライフハッカーのテストでは、RestorationとPC Inspector File Recoveryが、ファイルのリカバリには一番いい働きをしました(もちろん人によって、感想は違うと思います)。Restorationはポータブルアプリなので、フラッシュメモリなどに対しても有効です。他にも、米ライフハッカーの読者推薦の『Recuva』も要チェックです。

     Mac:非常に残念ながら、選択肢は少ないようです...。しかし、有料であれば『Data Rescue』(Amazonにて1万円弱)という、分かりやすいグラフィックインターフェイスを持った優れたツールがあります。

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     全てに可:ターミナルウィンドウやコマンドプロンプトに挑むのに抵抗の無い方は、無料のコマンドラインツール『PhotoRec』を使ってみてください。その名の通り、写真などの画像を復元するのに適したツールですが、他のファイルに関しての復元能力も高いです。
  3. ファイルを復元する
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    ツールを選んだら、ハードディスクから消してしまったファイル、失われたファイルたちを見つけ出しましょう。使用するアプリによって、過程は異なるのですが、基本的な動作は同じです。まず、消えたファイルが元々あったハードディスク、もしくはフォルダを選択して、スキャンします。スキャンが完了したら、ゴチャゴチャとしたファイルの名前群が表示されます。この内のほとんどは、システムファイルなので、気に留める必要はありません。とにかく、目的の消えたファイルを探しましょう。

     目的のファイルが見つかったら、ただちに右クリックを押し、保存先を選択して救出してください

1~3までの工程を踏んでも、ファイルが見つからない、希望はない...。あきらめずに一度試してみたアプリとは違うアプリを試してみましょう。アプリによって、復元方法にかなり違いがあるので、幸運が訪れるかもしれません。それでもダメという方は、この後に続く第2章を読んでみてください。もっと根本的な問題でファイルが失われた場合について書いています。

■第2章 もっと根本的な問題を追求

第1章では、基本的なリカバリーの概観について書きました。第2章では、もっと根本的な問題からファイルを失った際の、救出方法について考えます。

  • ブートできない、消去されたハードディスクから復元

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     早まったわけじゃないんです、ワザとファイルを消したわけじゃないんです、ワザとゴミ箱を空にしたわけじゃないんです...。言い訳をする前に、失われたデータがまだハードディスクのどこかにあるかもしれない可能性を考えましょう。ブートできるPCや、第一章で紹介したツールを使用できる環境であれば、まずはそちらを試してみてください。過去にも、大事なデータを取り戻すツールを紹介しているので、そちらも参照してください(その1)(英文記事その1その2)。

     ブートできないドライブを、違うPCへ組み込む方法が分からない方は、LinuxのLive CDを使ってファイルを救出すると良いです。他にも『BartPE』も使えると思います。

     ハードディスクが上記のツール全てを読み込んでくれなかったら...?最後の手段、苦肉の策ですが、ハードディスクを冷やすという荒業を試してみてください。再び読み込んでくれる可能性があります。もう一度温まる前に、読み込みを試すのがコツだそうです。

  • 失われた画像を復元
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    デジカメの、傷ついたフラッシュメモリ内の写真などを復活させたい場合は、まず第一章で紹介したツールを試してみてください。デジカメもしくはメモリをPCにセットしてから、データリカバリーツールを起動させましょう。第1章で紹介したもの以外にも、Zero Assumption Digital Image Recoveryは画像の復元に特化したツールなので、試してみる価値ありです。
  • 失われたWordドキュメントを復元

    消してしまった書類がWordドキュメントであれば、こちらを参照してみてください。過去の米ライフハッカー記事で紹介した復元方法(その1その2)もご覧になってみてください。

  • 傷だらけでボロボロのCDやDVDからデータを復元
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    CDやDVDなどのメディアからデータを復元したい場合、リカバリーの過程は少々他のケースと異なります。無料アプリ『CD Recovery Toolbox』は、力技で、傷だらけのCDやDVDからデータを読み込むツールで、データレスキューに役立ちます。それでもダメな場合は、米ライフハッカー読者が推薦する、『CDCheck』の30日間のトライアル期間の利用をしてみるといいかもしれません。単純に盤面の傷が問題なのであれば、歯磨き粉でCDDVDを研磨してみると良いかもしれません。

■第3章 二度と過ちを繰り返さないために
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ファイルが消えてしまった理由が何であれ、データのリカバリーに最も効果的なのは一つです。復活の呪文のごとく、しっかりとバックアップをとっておくということ。Windowsであれば、こちらの記事を参照してみてください。そして、二度と悲劇が起こらないようにしましょう。Macであれば、外付けのハードディスクを用意して『Time Machine』(リンク先3.)を、Linuxであれば、『Flyback』や『TimeVault』もしくは、『rsync』を使用してみてください。

誤って消去してしまったファイルを、墓から掘り返して、一命をとりとめた経験ありますか?どんなツールを使って救出劇を成功させましたか?皆さんの勝利の雄叫び、是非コメント欄にてお聞かせ下さい。

Adam Pash (原文/訳:松井亮太)