<浪速風>総選挙、忘れていないか「ペイ・アズ・ユー・ゴー」

有権者と握手する衆院選候補者(右)
有権者と握手する衆院選候補者(右)

大阪・船場の老練な経営者のもとに度々お邪魔して、あれこれ聞かせてもらった時期がある。経営する繊維商社は何度も不景気を乗り切っている。秘訣(ひけつ)は何ですか、と聞くと「扇と一緒や。開いたり閉じたり」。商いの規模を時流に先んじて伸縮させるのだという

▶商売ではないが、政府にも「ペイ・アズ・ユー・ゴー(使った分は支払え)」という財政の規模を縛る原則がある。新しい施策を始めるのなら、別の何かを削って財源を確保せよ、でなければ財政は苦しくなるぞ、と。衆院選の論戦では、この原則を忘れたかのような訴えが目立つ

▶多くが、負担は軽く補助は手厚く、と言う。ではその財源を誰がいつ「ペイ」するのか、判然としない。経済が成長すれば税収も増えるから大丈夫というのはもっともなように聞こえる。が、今までそれでうまくいったためしはない。

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