衆議院と参議院がある日本、世界では二院制が少数派…GHQは一院制を提案

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 国会議事堂を正面から見ると、中央の塔を境にして左右が全く同じ形になっている。向かって右側に参議院、左側に衆議院。二つの議院がチェックしあう「二院制」を表しているが、その関係は全くの対等ではない。

過去の衆院選、与野党どちらかが「圧勝で決着」傾向…票差以上に議席差が広がる小選挙区制の特徴

衆議院の優越

国会議事堂(向かって左が衆議院、右は参議院)
国会議事堂(向かって左が衆議院、右は参議院)

 二院制のメリットは、二つの議院がそれぞれ独立して国政を話し合うことで、より多様な意見を反映でき、互いにチェックしあってバランスを取ることができることだ。

 ただ、両院が同じ力を持っていると、意見が異なった時に決めにくくなる。それを避けるために設けられているのが衆院の意見を重視する「衆議院の優越」だ。

 具体的には〈1〉首相の指名〈2〉予算の議決〈3〉条約の承認の3事項で衆参の意見が異なった場合、原則的に衆院の意見が国会の議決となる。一般の法律案についても、衆院で可決された法案が参院で否決された場合に、再び衆院で出席議員の3分の2以上が賛成すれば成立する。

 なぜ、「衆議院の優越」が認められているのか。それは、衆院の方が参院より世論を反映していると考えられているためだ。参院議員の任期は6年で、任期途中の解散もない。衆院議員の任期は、4年と短く、首相の判断で解散もあり、参院に比べて選挙も頻繁になる。このため、直近の国民の意思をより反映しているとして、衆院の権限が強く設定されている。

 一方、参院は、一時の世論や内閣の動向を気にせず、腰を据えて法律案などを議論できる。参院が「良識の府」と言われるのはこのためだ。

 法律で衆参両院の承認を求めている案件もある。日本銀行総裁・副総裁やNHK経営委員などの国会同意人事は、衆院で認められても参院が否決した場合、政府は新たな人選を迫られることになる。このほか、自衛隊の防衛出動の承認も両院の承認が必要となる。

G7はすべて二院制

 二院制は、多数派を占める政党が両院で異なる「ねじれ」状態になると、政治の停滞を招く恐れがある。意思決定が遅くなるとの懸念もくすぶる。

 海外では一院制を採用している国が多く、世界の議会による国際機関「列国議会同盟」(IPU)のまとめによると、7月11日現在、一院制の国は112に対し、二院制は78だ。アジアや中東を中心に、韓国やインドネシア、サウジアラビア、ウクライナなどが一院制だ。スウェーデンやデンマーク、ニュージーランドのように二院制から一院制に変えた国もある。

 一方、アメリカやイギリス、ドイツなどG7主要国首脳会議(サミット)の参加国はすべて二院制だ。イタリアでは2016年、上院の権限を大幅に縮小して、事実上一院制に改める国民投票が行われたが、大差で否決された。日本は戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が貴族院を廃止して一院制を提案したが、日本側の反発で参院が設けられた経緯がある。(デジタル編集部)

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4346405 0 衆院選 2023/07/14 10:12:00 2023/07/14 10:12:00 /media/2023/07/20230711-OYT1I50083-T.jpg?type=thumbnail

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