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衆院選(小選挙区選)の投票率は近年、低迷を続けており、50%台にとどまった2012年以降の4回の衆院選が戦後のワースト1~4位を占めている。
戦後最低の52・66%だった14年衆院選は、安倍首相の下で与党が圧勝したが、投開票日は東北や北陸など広い範囲で大雪などの悪天候に見舞われた。53・68%と戦後2番目に低かった17年衆院選でも、台風21号の接近で一部自治体が開票作業を延期した。
ただ、天候ばかりが低投票率の原因とも限らない。岸田首相が臨んだ前回の21年衆院選は、一部地域で降雨があったものの荒天とはならず投票率はやや回復したが、55・93%と戦後3番目の低さだった。
現行の小選挙区比例代表並立制となった1996年衆院選以降で最も投票率が高かったのは、民主党政権が誕生した2009年衆院選で、69・28%だった。与野党が伯仲した政治情勢であるほど、有権者は「自分の1票が選挙結果を変えるかもしれない」と感じ、投票率が上がる傾向があるとされる。近年の投票率の低迷は、支持率の低い野党が乱立する「多弱」の状況が続いていることとも無縁ではなさそうだ。
戦後の最高記録は、「55年体制」下で初めて自民、社会両党が対決した1958年衆院選の76・99%だった。自民党と立憲民主党が新しい党首を選出した直後に激突する今回の衆院選で、与野党の論戦はどこまで有権者の関心を呼び起こせるだろうか。