大逆転アレンパを目指す阪神が、クライマックスシリーズ(CS)を前に大揺れだ。昨季日本一を達成した岡田彰布監督(66)が今季限りで電撃勇退し、次期監督候補に生え抜き大物OBの藤川球児氏(44=球団本部付スペシャルアシスタント)が浮上していることが判明。岡田監督は2年契約の最終年ながら来季の続投に意欲を示していた…はずだったが、一体どうしてこうなったのか。舞台裏を探ってみると…。 (岩﨑正範)
球団社長は〝ゼロ回答〟
3日はクライマックスシリーズ(CS)ファーストで激突するDeNAとの今季最終戦。この試合前、報道陣の取材に応じた粟井球団社長は「(一部の)報道は出ていますけど、現時点では申し訳ないけどお答えすることはございません。CSを勝ち抜いて日本シリーズを勝ちたい。戦いが終われば間違いなく公表させていただきます」の〝ゼロ回答〟で明言を避けた。しかし、水面下では球団創立90周年を迎える来季の次期監督の選定作業に着手。球団幹部の話を総合すると、岡田監督は2位が確定した9月29日に杉山オーナーら球団幹部と会談し「今季限りで退任しフロントの要職を用意する。後任には藤川氏」で〝落着〟したという。
いくら2年契約の最終年とはいえ、昨季は18年ぶりのリーグ優勝&38年ぶりの日本一を達成、今季惜しくも2位と善戦した岡田監督の来季続投は基本線で、当の本人も今オフのドラフト構想も漏らすなど前向きとみられていた。ところが、今季限りで勇退とは一体…。
阪神電鉄本社幹部の一人は「今から2年前、岡田監督を強く推した阪急阪神ホールディングスの角(和夫)会長が話した『契約の2年間だけはこっちの言うことを聞いてもらいたい』の文言が大きかった」と説明。別の幹部も「つまりは2年たったら後の監督人事は阪神にお任せする、というもの。ウチにとっては人事権が戻る千載一遇のチャンス。この機会をまた忖度して逃したら、それこそ本当に〝阪急タイガース〟と化してしまう。それを避けるためには監督交代しかなかった」というように、舞台裏で主導権争いが繰り広げられていた。〝阪急色〟のある日本一監督の来季への意欲、契約延長よりも阪神球団としては人事権を返還してもらうことこそが、最優先で重要だったのだ。組織図からすると「〝逆〟大政奉還」とでも言うべきだろうか。