2024年10月14日号
誌面ビューアーで読むINDEX
PART1
主要国の4割以下という人材難 激化する博士争奪戦 TSMCは全国を行脚
企業はビジネス改革やイノベーション創造の戦略と常に向き合う。優秀な博士人材ほど、その中心で期待される役割は大きい。目の色を変えて確保を進める海外勢に、日本はどう対抗するのか。
PART2
エンタメから製造業、VCも頼る ゼロからイチを創出 博士生かす3つの道
「博士は使えない」、そんな通説に拘泥していては人材戦略で劣後する。ゼロからイチを生む創造力と専門性を兼ね備えた博士をどう生かすか。舞台さえ整えれば、高度な潜在能力を遺憾なく発揮させられるはずだ。
PART3
博士学生、ゴルフ場の集客を分析 企業で「輝く博士」 育成へ大学も変わる
産業界で活躍する博士が少ない日本。責任の一端は大学側にもある。博士はアカデミアの人材という風潮が定着し、キャリアパスは限られてきた。その能力を求める企業との接点をつくれば、博士は様々な場所で輝ける。
EPILOGUE
ジョブ型雇用で博士人材の才能を引き出す 「ポスドク」、負のイメージを払拭せよ
「才能のある研究者が、周囲の環境やレピュテーション(評判)が悪いという理由だけで研究をやめてしまうのはすごくもったいない。それはかねがね思っていた」──。こう語るのは、筑波大学助教の櫛田創氏だ。物理化学を専門とし、ドイツの大学で自然科学の博士号を取得。2024年に配信された恋愛リアリティー番組に出演し、アカデミアの外でも広く名前が知られることとなった。
校了乙
10月14日号特集「博士を生かせ」を担当記者が解説
10月14日号特集「博士を生かせ TSMC・富士通・ポケモンの知恵」の読みどころを、担当した鳴海崇記者が3分間で解説する。
聞く校了乙
10月14日号特集「博士を生かせ」を鳴海記者に聞く
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。10月14日号特集「博士を生かせ TSMC・富士通・ポケモンの知恵」の読みどころを、担当した鳴海崇記者に聞きます。
PROLOGUE
第2特集
人
経営者リレー対談
中外製薬奥田社長CEO VS DeNA南場会長「起業で人生を面白く 去る者は引き留めるな」
ディー・エヌ・エーの南場智子会長が指名したのは、中外製薬の奥田修社長CEO。中外製薬は2023年、米ボストンにコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を設立。奥田氏の下、自前主義から外部連携でイノベーション創出を加速する方向にかじを切った。そんな奥田氏に、米国で活躍するベンチャーキャピタリストを紹介したのが南場氏だ。そのときが初対面だった2人。日本をスタートアップ創出の舞台にしたいとの思いで一致する。話題は社員のキャリアアップ支援やダイバーシティーを通じた組織の活性化策に及んだ。
経営教室
モノタロウ・鈴木会長 「定期異動が新規事業の壁になる」
MonotaRO(モノタロウ)は2000年に住友商事の社内ベンチャーとして設立された。間接資材のECというビジネスモデルを確立。時価総額1兆円を超す成長を遂げた。その道のりに新規事業やスタートアップを成功させるためのヒントがある。
連載
グローバルインテリジェンス
従業員インフルエンサーが変えるマーケティング 人材育成の7ステップ
従業員がインフルエンサーとして成功すれば、企業にとってブランド価値を飛躍的に高めるチャンスとなる。ソーシャルメディアで人々の心をつかむ人材を育てるための7つのステップを紹介しよう。
連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第4章 四面楚歌(8)
オードリーは、早朝から、叔母のスージーの別荘がある新竹市南寮地区に向かった。羽田からのチャーター便で高雄に着いたのだが、新幹線も在来線も止まっていて、レンタカーを借りたものの、大渋滞に捕まってしまった。結局、新竹市内に到着したのが、昨日の午後だった。
BOOK
『ことばの番人』~文字と向き合う深遠な校正の世界
編集者に「これまでで、もっとも青ざめた誤植は何ですか?」と尋ねると、顔をしかめながら失敗談を聞かせてくれる。私もかつて編集者をしていたが、ある小説の刊行後、電車から降りたはずの男性が、なぜか車内の会話に参加しているとの指摘を受けた。ホラー小説ではなく、青春小説。複数の目が通っていたのに、彼はまだ電車に乗っていた。
世界鳥瞰
FINANCIAL TIMES
クアルコムの攻勢にあえぐインテル 再建計画、正念場迎える
米インテルが製造部門の子会社化を発表した。競合他社の半導体製品の受託生産が容易になると見られる。設計と製造が統合されていることがインテルの強みだったが、いまやそれが足かせとなっている。過去3年間の再建努力で製造プロセス技術での失地は回復できた。次の新製品が試金石となる。
FINANCIAL TIMES
インド、全世界株指数で中国抜く 構成比率で世界第6位に浮上
全世界株指数「MSCI ACWI」でインド株の構成比率が上昇して中国株を抜き、世界第6位に浮上した。中流世帯が貯蓄を投資に振り向けているインドでは、今年すでに約380億ドルが株式市場に流入。一方でインド市場への投資価値評価は高すぎるとの声もある。果たしてインド株人気は今後も続くのか。
緊急特集 新政権の宿題
緊急調査で「賃上げ」期待鮮明
石破茂首相は10月9日に衆院を解散し、衆院選挙を15日公示、27日投開票とする方針を明らかにした。本誌は次期政権に期待する経済・財政政策について緊急調査を実施。最多回答を集めたのは「賃上げ促進」だった。前号に続き、デフレ経済からの脱却を実現し経済を好循環に乗せるための提言を11人の経営者と有識者に聞く。
不自由な規制では大谷翔平は生まれない 経営共創基盤グループ会長 冨山 和彦氏
岸田文雄政権は「スタートアップ育成5カ年計画」をとりまとめ、スタートアップ支援に取り組んできた。長年、スタートアップ育成のエコシステム(生態系)づくりに携わる冨山和彦・経営共創基盤(IGPI)グループ会長は、残る課題として労働規制の硬直性を指摘する。
バランスの取れたエネルギーミックスを 日本貿易会・会長 安永 竜夫氏
非常に難しい課題だが、日本の競争力を維持するため、エネルギーについては現時点で技術的に可能なありとあらゆる手段を講じるべきだ。そのためには、原子力発電所を再稼働させることは不可避だと思う。
グリーン鋼材普及へ優先調達や需要喚起を JFEホールディングス社長 北野 嘉久氏
岸田文雄前政権はグリーントランスフォーメーション(GX)実行会議の設置やGX経済移行債の発行など、GXを推し進める政策を打ち出した。原子力発電所を活用する方針も打ち出し、エネルギー政策の転換点となった。JFEホールディングスの北野嘉久社長はこうした実績を評価し、新政権には「踏襲と加速」を求める。GXでは環境価値の高い製品を評価する市場の形成が不可欠だと語った。
インバウンド特需、地方に恩恵薄く 日本百貨店協会会長 好本 達也氏
円安を追い風にインバウンド(訪日外国人)が増加。百貨店大手は新型コロナウイルス禍の落ち込みから立ち直った。日本百貨店協会の好本達也会長に新政権への提言を聞いた。
ターゲットを明確にした訪日客拡大戦略を 森トラスト社長 伊達 美和子氏
「登山で言えば6、7合目」。ホテル開発、運営を手がける森トラストの伊達美和子社長は、「観光立国」実現は道半ばだという。訪日客による消費拡大につながる規制緩和や制度見直しを機動的に進められるかが、新政権に問われている。
日本とEU、協力深めるチャンス ストックホルム商科大学 パトリック・ストローム氏
スウェーデンのストックホルム商科大学に、欧州日本研究所という名の組織がある。設立から30年超、日欧間の政治経済問題などを深く研究してきた。所長のパトリック・ストローム氏は、米国で台頭する保護主義や、中東における紛争激化などを念頭に「今こそ日本とEUは補完関係になれる」と説く。
通称は無駄が多い、経済合理性を考え導入を サイボウズ社長 青野 慶久氏
自民党総裁選の争点の1つだった「選択的夫婦別姓の導入」。自民党新総裁に当選した石破茂氏は導入に前向きな姿勢だ。経団連をはじめとする経済界からも導入を求める声が上がっている。婚姻による改姓を経験したサイボウズの青野慶久社長に経営者・企業から見た導入の必要性を聞いた。
資本市場の整備はまだ足りていない ブラックロック・ジャパン社長CEO 有田 浩之氏
岸田文雄政権の「資産運用立国実現プラン」で再起した日本市場を評価する海外投資家は多く、改革の継続が期待されている。世界最大の運用会社で1500兆円規模の運用残高を誇る米ブラックロックの日本法人社長、有田浩之氏は、日本経済の活性化のため金融市場改革を継続し、海外マネーを呼び込むことが必要だと説く。
着手した制度改革の流れを止めるな 日本製薬工業協会(製薬協)会長 上野 裕明氏
薬価制度改革をはじめ、岸田政権下では革新的な医薬品の研究開発を後押しするような諸施策が打ち出された。日本製薬工業協会の上野裕明会長は、これら施策は第一歩に過ぎず、継続が不可欠だと唱える。
解雇規制は学び直しや転職支援とセットで マネーフォワード社長CEO 辻 庸介氏
岸田文雄前政権は「三位一体の労働市場改革」を進めてきた。マネーフォワードの辻庸介社長CEO(最高経営責任者)は、前政権の労働市場改革の結果を評価する一方で、「令和の新しい価値観にアップデートできる新しいリーダーが必要で、フレキシブルに働いてもらうための制度が足りていない」と指摘する。
大阪万博の目玉、「空飛ぶクルマ」を世界に スカイドライブ代表兼CEO 福澤 知浩氏
電動垂直離着陸機(空飛ぶクルマ)を開発するスタートアップのSkyDrive(スカイドライブ)。空飛ぶクルマは2025年4月開催予定の2025年万国博覧会(大阪・関西万博)でデモ飛行が予定されている。万博の目玉の一つとされ、注目が集まる同社の福澤知浩代表兼最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。
EPILOGUE
ニュースを突く
セブン、「割高」払拭に動く 「うれしい値!」で値ごろ感
インフレによって人々の財布のひもが固くなる中、セブンイレブンが低価格戦略に打って出た。「割高」イメージを払拭できるか。
編集長の視点/取材の現場から
博士の「解放」は企業の使命
最高峰の頭脳を有効活用できない企業と国家に未来はない。特集「博士を生かせ」はそんな問題意識から始まりました。日本は人口に比べて博士人材の数が少ないだけではなく、分布の偏りも課題といえるでしょう。文部科学省によると、企業に所属する博士号保有者は米国の約4割に対し、日本はわずか14%。75%が大学などに籍を置きます
賢人の警鐘
長谷川眞理子氏「心と体に合う働き方を模索すべし」
ホモ・サピエンス以前のホモ属を含めると、我々人類の心と体は250万年もの歳月をかけて形作られている。急速に発展した都市文明での生活や働き方は、人類にとって決して「心地よい」ものではない。人間本来の姿に適した組織づくりが求められている。