マツダは10日、大型の多目的スポーツ車(SUV)「CX-80」を国内で同日から販売すると発表した。CX-80は収益性の高い上級SUV「ラージ商品群」と位置付けられ、ラージ商品群の国内投入はCX-60に続いて2車種目だ。

 不具合によるリコール(回収・無償修理)が連続発生してつまずいたCX-60の反省を生かし、CX-80は品質を一から見直して「(問題を)全部潰した」(毛籠勝弘社長)。乗り心地も従来よりもマイルドにした。これらの対応によって発売が当初計画から遅れたが、CX-80の拡販に加え、CX-60も改良して反転攻勢をかける。

 ラージ商品群は米国でCX-70とCX-90が販売されており、これでマツダのラージ商品群4車種のラインアップは出そろった形だ。今後はラージ商品群を着実に販売し、「定番化」を図るフェーズに入る。

年1万7000台が目標

 CX-80はCX-60よりも車体が大きく、3列シートなのが特徴だ。3列目は大人でも十分に座ることができる。直列6気筒のディーゼルエンジンとモーターのハイブリッドタイプは、減速時のエンジンとモーターの切り離しも可能になり、エンジンブレーキによるロスがなくなり、燃費が改善された。高級感あふれる上質なデザインも売りだ。

 車体価格はCX-80のハイブリッド車(HV)が600万円前後、外部充電もできるプラグインハイブリッド車(PHV)は700万円前後。マツダはCX-80を含むラージ商品群について2025年3月期に世界で年約20万台の販売を目指しており、CX-80の国内販売目標は年1万7000台前後に据える。

 ラージ商品群の投入でマツダが狙うのは、売上単価の向上だ。グローバル連結売上高を連結出荷台数で割った売上単価は、23年3月期が1台あたり361万円なのに対し、25年3月期は1台あたり411万円を見込む。底堅い人気のSUVで収益性も高いラージ商品群の投入で利益を生み出し、次世代に向けた電動化投資の原資にもしたい考えだ。

この記事は有料会員登録で続きをご覧いただけます
残り520文字 / 全文1358文字

【11月末まで無料】月額プランお申し込みで…

  • 専門記者によるオリジナルコンテンツが読み放題
  • 著名経営者や有識者による動画、ウェビナーが見放題
  • 日経ビジネス最新号12年分のバックナンバーが読み放題