カセットテープとは、磁気テープをプラスチックケースに収めた、オーディオ用メディアのことである。
概要
日本では、70年代から90年代初期にかけて録音ができるオーディオ用メディアの主流であった。レコードと共に音楽などのコンテンツの販売にも多く利用された。かつてはレコードに匹敵するダイナミックレンジを持つメタルテープやハイポジション、高級ノーマルテープなどが販売されていたが、CDなどのメディアに押されて現在ではノーマルポジションのベーシックなモデルのみが細々と製造・販売されているのみである。
iPodなどのデジタル系のメディアに比べて取り扱いが簡単なため、現在でも高齢者など利用者はいる。また発展途上国や一部の先進国でも、音楽・音声用メディアとして今なお広く使われている。
80年代にはマイコン(今で言うパソコン)用の安価な記録メディアとしても利用された。
ニコニコ動画では、Airの鳥の詩をテープに録音し、それを個々の再生機器で音質などを競う鳥の詩音質バトルなどがある。
カセットテープ方式の音楽プレーヤーは、航空機の離着陸時にも使える(デジタル回路が無い、または限定的にしか使われていない=航空機の電子機器に悪影響を与える電波を出しにくい)数少ないオーディオ機器の一つである。アナログの勝利。
飛行機に乗る機会の多い人は持っていて損はないかもしれない。テープに録音するための機器としては、今でもCDラジカセがあるしね。
え、MP3やAAC、WMA等の「音楽ファイル」?それは…まあ、その…アレだ、光デジタル出力端子経由で録音するなど工夫をしてください。
参考:国土交通省 - 「航空機の運行の安全に支障を及ぼすおそれのある電子機器等を定める告示」の一部改正について
カセットテープのタイプ
過去にはカセットテープも様々な種類が各社から販売されていた。使用する磁性体の種類によりテープの種類は大きく4種類に分けられている。タイプの番号はIEC規定。
- Type I:ノーマルポジション(NORMAL)
磁性体には酸化鉄、すなわち錆びた鉄を使用している。当初は赤茶色のテープでまさしく錆色だったが、現在は素材の改良などにより黒めの色になっている。
2017年現在、販売されているすべてのテープがこのノーマルポジションである。
音質は中低域が強いのが特徴。
また、ノーマルポジションのテープの中でもランクによりLN(Low Noise)、LH(Low noise High output)、SLH(Super LH)に分けられている。
- Type II:ハイポジション/クロムポジション(CrO2)
当初は磁性体に二酸化クロムを使用していたことからクロムポジションと呼ばれたが、様々な理由からコバルトを主にした磁性体に切り替わった(が、何故かデッキ側ではCrO2と表記され続けた)。「ハイポジ」と略されて呼ばれることが多い。
ハイポジションの由来は、録音時のバイアスを「HIGH」に設定することから。
誤消去防止爪のすぐ内側にポジション検出孔があり、デッキ側はこの孔の有無でタイプを判別しているものが多い。
音質は高域が強いのが特徴。各社とも後期はCD録音に強いことをアピールしたデザイン・謳い文句で宣伝していた。
- Type III:フェリクロムポジション(Fe-Cr)
他の3種類に比べて大幅に認知度が低いであろうタイプ。内側にノーマルの磁性体を、外側にハイポジの磁性体を塗布した二層塗りで、まだメタルポジションが無かった頃、最高級カセットとして登場した。
が、二層塗りは煩雑でコストがかかり、カセットテープの大手メーカーであるTDK・マクセル・富士フィルムが採用せず、さらにメタルテープが登場したことにより存在意義がなくなると早々に姿を消してしまった。
Type IIIのカセットテープではSONYのDUADが有名だが、初代のDuadは製造技術が確立しておらず、経年によりハイポジ層が剥がれてしまっていることが多い。
音質はノーマルとハイポジのいいとこ取り。
- Type IV:メタルポジション(METAL)
磁性体にメタルを使用し、広いダイナミックレンジを確保した最高級ランクのテープ。
保持力が強く、対応機種でないと消去すらできない(消去しても音が残ってしまう)。また、デッキへの負荷も大きいため、登場当初はメタルテープへの対応を行うためにヘッドや回路が一新されたという。
ポジション検出孔はハイポジの位置に加え、中央にもう一組ある。
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関連項目
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