手水廻しとは、上方古典落語の中でも、かなり有名とされる話であり、単純明快かつ滑稽な話である。落語の門を敲いた手習いレベルが習得する初心者向けの噺でもある。また、得意としている噺家では六代目笑福亭松鶴、桂文珍、桂雀々などがいる。
なお、上方落語のみの演目であり、現在もなお江戸落語には輸入されていない。おそらく噺の肝となる「手水を廻す」という方言が通用しないためであろう。
概要
手水と書いて、「ちょうず」と読む。これは昔の大阪の方言で、洗面道具のことを意味する。話の内容は、人によって多少アレンジされていることもあるが、内容をまとまると以下の通りである。
とある田舎(丹波とされることが多い)の宿に、大阪のお客さんが泊まり、すがすがしい朝を迎え気持ち良い気分で店の者を呼ぶ。そして「手水をこちらに廻して欲しい」と伝えた。
しかし、店の者はおろか、旅館の旦那も「ちょうずをまわす」という意味が皆目分からないので、村の生き字引という、近所の寺の和尚に知恵を借りに行く。そして和尚から「分からないものは、字で当て嵌めて考えること」と言われ、「それは長頭(ちょうず)のことだ」と、その発言を真に受けて帰る。偶然にも、村には頭が長いことで有名な男がいたため、その男をお客さんの前まで連れて行き、頭を回すパフォーマンスを披露し、挙げ句に目を回して倒れてしまった。
当然の如く、お客さんは怒って帰ってしまい、二人は「ちょうず」が何かを知るため、それならばと大阪の宿へ泊まりに行くことにした。翌朝、1つ目の手水が手元に来る。タライに入ったお湯、房楊枝(昔の歯ブラシ)、塩、歯磨き粉(粉タイプ)という内容。
(歯磨き粉が含まれていない場合もあります)
しかし、これが何のためにあるのか、どうやって使うのか分からず、器に入っているから「料理」だと思い込んでしまう。
お湯:汁物 塩:味付け 歯磨き粉:薬味 房楊枝:かき混ぜるための棒 廻す:器を回す作法みたいなもの
塩と歯磨き粉を全部放り込み、かき混ぜ、旦那が先の飲むが、当然のごとく美味いわけがない。そして残りを必至に料理担当の店の者が平らげようとする。ところが、1つ目のタライが空になったところで、「おかわり置いておきます」と2つ目のタライが運ばれて来る。
しかし、結局は2つ目は「お昼にいただきます」と言って返してしまう。
(歯磨き粉が含まれていない場合、味がしないくらい薄いという感じになる)
塩は、歯茎や肌を引き締める為に用いられています。今も、塩入の歯磨き粉があるのは、歯茎を引き締めるためです。
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