Voodooとは、
- ブードゥー教。中米や西アフリカで布教されている民間信仰。
- アメリカの3dfx社が発売したグラフィックカードのブランド。ここではこれを説明。
- アメリカのマクダネル社が開発した試作戦闘機XF-88、および制式戦闘機F-101の愛称。
- フランスのスマホ用ゲームのパブリッシャー。
概要
1995年に、3dfx社は3Dグラフィックチップ、Voodoo Graphicsを発表した。
当時はMS-DOSからWindowsへの移行時期であったが、WindowsのグラフィックインターフェースであるGDIは、ゲームの2D描写向けには作られておらず、速度がとても遅かったため、Windows 3.1がリリースされても、ゲームの多くはMS-DOSをベースにしていた。
その中で、DOOMなどのFPSが人気となり、家庭用ゲーム機のような3Dグラフィック機能が求められていた。
マイクロソフトは、Windows 3.1向けにWinGを開発、さらにWindows 95向けにGAME SDK(のちのDirectX) を開発したが、3Dグラフィック処理環境は整っていなかった。
そこで3dfx社は、3Dグラフィック処理に特化したチップを開発、ビデオカードと組み合わせることで、Windowsや2Dグラフィック表示はビデオカードの信号をスルーしてモニターに出力し、対応する3Dグラフィック処理はVoodooで処理してモニターに出力する方法を採用した。
グラフィックライブラリーも、マイクロソフトのDirectXは使わず、Glideという独自のライブラリーを開発、採用することで、初期のDirect 3Dよりも高速な描写を実現した。
また、自社ではビデオカードは販売せず、チップをビデオカードメーカーにOEM供給することで、普及のスピードを速めていった。
その中で、Voodooに対応するゲームとしてid Software社の「QUAKE」や、アイドス・インタラクティブ社の「トゥームレイダー」などが人気となり、Voodooは3Dゲーム用カードとしてデファクト・スタンダードとなった。
しかし、1998年に自社生産を始めるとともに、他社へのOEM供給を止めた辺りから状況が一変する。
マイクロソフトの標準グラフィックライブラリーあるDirectXがバージョンアップされ、Direct 3Dの機能が強化されると、nVIDIA社のRIVA 128やATI社のRAGE 128などの高性能チップが登場し、Voodooシリーズとの性能差は縮まっていった。
しかしその一方で3dfx社はVoodoo3をリリースするも、製品の開発が遅れたことで、Direct 3D対応カードの普及を許してしまった。そして発売されたVoodoo3も、3Dグラフィック処理では上回ったものの、最大65536色にしか対応できなかったことで、画質の面で見劣りするようになった。
そしてDirectX7がリリースされ、nVIDIAがGeForce 256を発表、チップ側でのジオメトリ処理の一部を可能にしたことで、描写スピードの点でもVoodoo3を上回るようになると、形勢は逆転。3dfx社は挽回しようと後継チップを開発するも、またも開発が遅れ、発売するや今度は後継機のGeForce 2に処理で負けてしまった。
発売の遅れによる収益の悪化により、3dfx社が2000年に解散したことで、Voodooも販売を終了した。
その後、nVIDIAが一部資産を買い取ったことで、Voodooの技術の一部はGeForceシリーズに生き続けることとなった。
ラインナップ
Voodoo Graphics
初代モデル。ピクセル処理用とテクスチャ処理用の2つのチップで構成。
2Dグラフィック機能はなく、D-Subケーブルを使って他のビデオカードと接続していた。
DOSやWindowsの表示の際には映像信号をスルーし、Glideを使用する際にはVoodooに映像信号を切り替えるように作られていた。
Voodoo Rush
1996年発売。
別途ビデオカードが必要だったVoodoo Graphicsの欠点を克服するため、2Dグラフィック機能を別のチップとして組み込んだもの。
しかし、2Dグラフィックの画質が悪く、Glideの互換性も保たれていなかったため、ほとんど普及しなかった。
Voodoo2
1997年発売。Voodoo Graphicsの後継機で、3Dのみに特化していた。
テクスチャ処理チップを2つにすることで処理を高速化した。さらに専用のケーブルを使ってもう一枚のVoodoo2と接続することで並列処理することが出来るSLIを採用した。
このSLIは、nVIDIAが一部資産を買収時に引き継がれることとなった。
Voodoo Banshee
1998年発売。
Rushと異なり、2D、3Dのグラフィック機能を統合したチップとなり、Direct 3Dにも対応するようになった。
性能はVoodoo2よりも多少劣る程度で、互換性は保たれた。
Voodoo 3
1998年発売。
性能はVoodoo2をSLI接続した場合と同等の3D性能をたたき出した。
このモデルから自社生産になり、コアとメモリークロックの速さ毎に、1000、2000、3000、3500の4種類のカードが発売された。
また、3500にはテレビチューナーが組み込まれていた。
VSA-100
1999年に、第4世代のグラフィックチップとして開発されたもの。
DirectX 7で追加されたハードウェアT&Lには対応しなかったものの、アンチエリアシングを行っても性能が低下しない特徴を持っていた。
これを1基搭載したものを、Voodoo 4(4500)、2~4基搭載したものをVoodoo 5(5000、5500、6000)として発売した。
しかし、4基搭載のVoodoo 5 6000は、3dfx社が倒産したことで発売されなかった。
関連動画
関連項目
- 0
- 0pt