いつも私たちを楽しませてくれる作家のTim Ferriss氏は、こちらの記事冒頭の動画である楽曲のドラムパートをたった1週間で独学でマスターし、観客の前で披露するのに用いたテクニックを紹介しています。
この離れ業の達成は、ただ楽しいだけでなく、何かをスピーディに習得し、真の意味で役立つ経験則を編み出す方法についてFerriss氏が熟考するきっかけにもなりました。
けれども、Ferriss氏の提案する方法が、学びに関して、もっとも印象に残るハウツーと言えるかというと、それはなかなか難しいでしょう。
相対性理論、シェイクスピアの戯曲、スーパーコンピューターを瞬時で結ぶワールドワイド・ウェブが存在するこの世界で、難解な事柄を手っ取り早く学ぶことについて、説得力を持って論じる資格のある人は誰だろうか……と考えると、同氏以外にも次々と名前が思い浮かぶはずです。
さいわい、驚嘆すべき知的偉業を成し遂げた天才たちは、自身の成功の秘訣を明かすことに、とても積極的です。
実際、最大級の尊敬を集める知の巨人アルベルト・アインシュタインや、アインシュタインと同様にノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマン、そしてスーパー起業家のイーロン・マスクの3人はみな、実用的なアドバイスを残しています。
これを参考にすれば誰もが、好みのテーマについて学びをスピードアップできるはずです。
1. アルベルト・アインシュタイン「とにかく楽しもう」
アインシュタインは確かに、私たち人間を取り巻く世界の見方を完全に塗り替えた人かもしれません。
しかし、彼がこの偉業を達成できたのは、喜びが感じられない、つらい仕事に脇目もふらず取り組んだからではありません。
アインシュタイン本人によれば、「思考の大きな飛躍」と「楽しさ」は両立するそうです。そして、学ぶことを楽しめば楽しむほど、より速く脳に情報を入れることが可能で、これが画期的な発見につながるといいます。
アインシュタインは1915年に、当時11歳だった息子に宛てて、以下のような短い手紙を送りました。「楽しむこと」に関するアドバイスを書いた手紙です。この時、息子のハンス・アルベルトは、ピアノをマスターしようとしていました。
お前がピアノを楽しんでいるようで、お父さんはとてもうれしい(中略)。たとえピアノの先生から課題として与えられた曲でなくとも、自分が楽しいと感じるものを弾くといい。
なぜならそれこそが、いちばん多くのことを学べる方法だからだ。楽しくて、時間が過ぎるのも忘れてしまうようなことに取り組むといい。お父さんも時々、仕事に没頭しすぎて、お昼ご飯を忘れてしまうことがあるよ。
2. リチャード・ファインマン「子どもに説明してみよう」
伝説的な物理学者ファインマンがノーベル賞を受賞した業績は、理解するのがもっとも難しい学問分野の1つ、量子力学に関するものです。
とはいえ、学びのスピードアップに関するファインマンのいちばんのアドバイスは、自分が勉強しているものが何であれ、できる限りシンプルに伝えるべし、というものでした。具体的には、8歳の子どもにも説明できるほどシンプルにするように、と説いたのです。
頭に浮かんだアイデアを最初から最後まで、子どもにも理解できるようなシンプルな言葉(つまり、もっとも一般的に使われている言葉)で書き出してください。
こうすると、より深いレベルでその概念を把握し、概念の間の関係やつながりを、思い切りシンプルに捉えざるを得なくなります。それがなかなかうまくいかない時には、論理的飛躍がある場所が浮き彫りになるはずです。そこで感じられる緊張は良いものです。「ここが学ぶべきところだよ」と教えてくれるからです。
上記の引用箇所は、ブロガーのShane Parrish氏がファインマンのアプローチを解説した記事の一部分です。