いま、小津安二郎が流行っている。 もちろん、映画通の方であれば「小津安二郎はここ20年近くずっと評価され続けているのにいまさら何を言っているんだ」と訝しく思うかもしれない。国内は言うに及ばず、すでに世界的な名声を獲得している巨匠に対して、何を周回遅れのことを言っているのかと。 とはいえ、世界的な評価を受けているからといって、世界中あまねくすべての国と地域で評価されているわけではない。当然のことながら、いまだ小津の映画が知られていない国も多数存在する。冒頭で言った小津の流行とは、そうした国のひとつであったベラルーシにおけるものである。 いきなりベラルーシと言われても、ピンとこないかもしれない。一般的に知られているのは、東欧に位置する旧ソ連の構成国のひとつで【図1】、いわゆる「美人」が多いことくらいだろうか。あるいは、原子力関係の問題に興味のある方であれば、チェルノブイリ原子力発電所事故の最大