スマートフォンの不適切使用問題に競馬界が揺れている。この10年間、同様の違反行為で処分が相次ぐ中、日本中央競馬会(JRA)で女性最多勝利を挙げた藤田菜七子騎手(27)に10日、騎乗停止処分が下り、引退届を提出したことが発覚した。違反行為の舞台となったのは騎乗前に騎手が滞在する「調整ルーム」。不正防止のために設置されているが、日本独自で欧米にはないシステムだ。処分が直接的な理由か定かではないが、競馬界のヒロインが第一線を退く決意をしたことにファンの間では動揺が広がっている。 調整ルームは競馬場とトレセンに併設された食堂や風呂などがある施設。騎手は騎乗前日の午後9時までに入ることが義務付けられている。レース前に部外者と情報をやりとりするなどの接触を断ち、八百長を防止して公正を確保することが目的だ。室内ではスマホやタブレット端末など通信機器は原則使用できない。 【競馬調教】 藤田菜七子騎手=7月