国語学者の月本雅幸先生のインタビュー第2回です。 前回は漢文訓読についてのお話でしたが、今回はデータ化が難しい国語学における文字データの取り扱い方や、日本語研究のこれからについてお伺いします。 データとして漢文資料を取り扱うには ――普段はパソコンをお使いになられているということですが、レ点をはじめ訓点資料は、パソコンで表記が難しい場面も多いと思うのですが、どのように取り扱われているんでしょうか。 私のように古い文献を扱うものは、大きく二つに分かれます。できるだけもとの文字を保存しよう、忠実になんとかしたい、という人間と、それはあきらめて、細かいところは捨象してしまって、とりあえずできることでやるんだ、という二つです。 もっとも、ひとりの人間をとっても、若い頃はできるだけ忠実にしたかったけれども、今ではだいたいのところでいいだろうと揺れ動くこともあるんですね。私は、パソコンの初期のエンドユ