消費税増税法案の衆院採決での造反をめぐり、民主党の混乱が収まらない。党代表である野田佳彦首相が「厳正に対処する」と明言したのに、輿石東幹事長がなお処分の軽減・先送りを画策できるのはなぜか。背景を探ると、幹事長に絶大な権限を与えながら、重要政策では党の意思決定をできない-など奇妙な党規約の存在が「決められない政治」の元凶として浮かびあがる。(加納宏幸) 幹事長の絶大な権限は、民主党規約と自民党の党則を比較すれば一目瞭然だ。 まず大きな違いは、自民党には「党大会・両院議員総会に次ぐ党の意思決定機関」として総務会があり、総裁、幹事長らは総務会から一任を受けた上で党の重要方針を決める。重要法案も総務会の了承をもって党議拘束がかかったとみなす。派閥抗争が激しかった昭和37年に総裁・幹事長派閥の専横を防ぐ狙いもあってこの制度が導入された。 民主党で総務会にあたる組織は、「党務の執行に関する重要事項を承