今回は、「世界システム論」の基本を紹介した上で、個体をバラバラに見るのではなく、その関係に注目する方法を不登校と学校の問題に適用することを試みます。誤解していただきたくないのは、何も経済体制が学校のあり方を最終的に規定している、などということを主張しようとしているわけではない、ということです。「世界システム」論に触れるのは、あくまでも一種の「たとえ話」としてです。社会的な関係を重視する発想から登校拒否を考えるためのヒントを得たいのです。そのような発想は、社会学やサヨク思想に広く見られるものです。ここで「世界システム論」を取り上げるのは、たまたまそれが比較的わかりやすい具体例であるからにすぎません。 「世界システム論」と反学校 旧来の社会科学においては、「国民国家」が基本的な分析単位となっていました。そして全ての国家は一定の発達段階を通過して「発達」する、とされていました。その際にはイギリス