ロシアのウクライナ侵攻により、「核戦争」や「原発へのミサイル攻撃」が徐々に現実味を帯びはじめています。いざ緊急事態となれば、私たちも放射性物質に対処しなければならなくなるでしょう。 日本では、2011年の福島第一原発事故後に広く知られるようになった放射線の「被曝線量」や「避難指示基準」は、ICRP(国際放射線防護委員会)という組織の勧告に沿って定められています。しかし、日本の行政にそれほどの影響を与えているICRPは、IAEA(国際原子力機関)のような国連関係の国際組織ではありません。いったいどのような団体で、何を目的としているのか……? 原発事故後の福島を注視し続けるジャーナリストの黒川祥子さんが明らかにします。 福島第一原発事故後の除染作業(福島県伊達郡川俣町山木屋地区、2014年) 事故後の福島で聞いた耳慣れない言葉、「放射能防護」 「放射線防護」という言葉を初めて聞いたのは2012
正式名称は「サイバー戦に適用される国際法に関するタリン・マニュアル」。2013年3月に、北大西洋条約機構(NATO)の専門委員会であるサイバー防衛協力センター(CCDCOE)が公表した、サイバー戦争と国際法との関係性について記載した文書。国連憲章第51条は、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と規定し、武力攻撃の被害国が、反撃を行う権利を認めている。しかしながら、サイバー戦において、どのような場合が「武力攻撃」であるのかは国際法上も定説をみないため、タリン・マニュアルは、その解釈例を示そうと試みるものである。07年に世界初の、国家を標的とした大規模サイバー攻撃をエストニアが受けたことから、08年にエストニアのイニシアチブで、首都
刑務所は罪を犯した人がその罪を償うために入る場所。この定義は間違いではないが、実態を知れば違和感を覚えるだろう。塀の中には、本来福祉の手が差し伸べられるべき人々――知的障害があり軽微な犯罪で入退所を繰り返す「累犯障害者」が多数収監されているからだ。秘書給与詐取事件により実刑判決を受け、433日間の獄中生活を送った著者が見てきた現実とは。 「累犯障害者」とは 「ボク、あのお猿さんみたいだったよ」 動物園の猿類舎の前で、横にいる男性が屈託のない笑みを浮かべながら言った。さらに人目もはばからずに、鉄格子の中にいるマントヒヒに向かって叫ぶ。 「こらー、チョーバツだぞー」 彼の右手は売店で購入したばかりの動物のオモチャを、そして左手は私の手をしっかりと握りしめていた。 彼、Aさんは41歳の知的障害者。生まれながらに染色体異常という障害があり、義務教育の9年間は特別支援学級、そして高校は特別支援学校の
(すばらしい兎(うさぎ)が捕り尽くされれば、猟犬は不用になって鍋(なべ)で煮られることから) 人も不用になれば惜しげもなく捨てられることをいう。中国の春秋時代、越王勾践(こうせん)を助けた功臣の范蠡(はんれい)が、のちに勾践を見限って野に下ったとき、もとの同僚の大夫の種に書簡を送り、越にいては危険であるから、あなたも野に下りなされと勧誘したときに用いた句。 〔類〕飛鳥尽きて良弓蔵(かく)る 〔出〕史記(しき) 〔会〕「かつてのホームラン王も、守るポジションがないという理由でポイ」「狡兎(こうと)死して走狗烹(そうくに)らるか。おれたちサラリーマンも同じ運命なんだろうな」
人はポジティブな情報よりも、ネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶にも残りやすい性質を持つ、ということを表す心理学用語。たとえば個人の過去の記憶でも、幸福な思い出よりは、辛い経験のほうが鮮明に記憶される傾向がある。有名人が善行を長年行っても、それほど世間の関心を集めないが、スキャンダルや失言には世間の関心が集まる。そういったことから、メディアの流すニュースは、悪いニュースのほうがよいニュースよりも圧倒的に多い。ネガティビティバイアスは、リスク回避のために、生物が進化の過程で身につけたものではないか、といわれている。生物が生き抜くためには、目の前のリスクやトラブルに注意を向けることが重要だからである。アメリカの心理学者ダニエル・カーネマンらは、ネガティブな変化に敏感な人の性質が、様々な経済行動に影響を与えていることを明らかにし、2002年のノーベル経済学賞を受賞した。
ある海外旅行ツアーに参加した時のことだ。朝食も夕食もバイキング形式がほとんどで、他の参加者が食べすぎに留意する中、筆者は「食べないのは損だ!」とほとんどの料理を皿に取った結果、体重が急増してしまった。料理が多めに並べられているのがバイキングの通常であり、その全てに手をつけていたら太るのは当然なのだが、経済でも同じような状況が起こることがある。 「過剰流動性」は、バイキングで並べられた食べきれないほどの食事だ。「流動性」とは貨幣のことで、経済活動に必要な量を超えて供給されているのが過剰流動性。中央銀行は、経済状況を見ながら貨幣を過不足なく供給しようとしている。もし、必要以上の貨幣が供給された場合には、インフレになって物価が上昇する。経済が貨幣を食べすぎる結果肥満になり、血圧に相当する物価が上昇してしまうのだ。反対に貨幣の供給量が不足するとデフレに陥る。貨幣が不足するため、人々は空腹となってや
かねて問題視されてきたコンサートチケットの高額転売。厳密な個人確認を行うなどの対策を取るアーティストもいるが、インターネット上の転売サイトをのぞいてみれば、定価の何倍もの値段でチケットが流通しているのが実態だ。こうした事態に経済学はどう応えることができるのだろうか? 経済学の中でも「マーケットデザイン」という新しい学問分野の専門家である坂井豊貴教授は、「ダフ屋は悪くないが、ダフ屋を必要とするいまのチケット市場の出来はひどく悪い」、「適切にデザインされたオークション市場でチケットを売れば、アーティスト側は儲かるし、ファンはダフ屋に仲介料を払わなくて済むようになる」という。 チケット転売に反対する音楽業界 「私たちは音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対します」――。日本音楽制作者連盟、日本音楽事業者協会、コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会ら4団体は、2016年
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く