4年前の10月15日、肝細胞がんを腹腔鏡手術により切除するため、 その日俺は、朝から手術台の上に居た。 手術の朝は早かった、夜中の2時には目が覚めてしまった。 入院病棟の廊下を散歩して気を紛らした。 時間が経つのが遅い、モヤモヤした。 08:20 看護師さんが病室まで迎えに来て、徒歩で廊下を歩きエレベーターに乗って手術室へ。 手術室に向かう途中、妻と長女が来てくれていた。 「行ってくるよ」と言い残し、手術室に入った。 08:30 手術台の上へ、 うっかりガムが口に入っていたので「ヤバい」と、慌てて飲み込んだ。 「麻酔を入れていきますね」 CTやMRIの造影剤の時よりも少しピリピリが強いような気がした。 次の瞬間、 手術は終わっていた。 10年前のくも膜下出血の時と同様、執刀医の顔すら見ずに手術は終了していた。 ..