未利用魚とは、漁獲され水揚げされながら様々な理由で廃棄されてしまうかわいそうな魚たちである。
未利用魚とは、漁獲され漁港に一旦水揚げされたものの様々な理由で市場流通から外れ廃棄されてしまう魚である。一説によれば世界の漁獲量の30%以上が未利用魚と化し大半は廃棄されている。このためSDGsの観点から未利用魚の活用が求められている。
未利用魚は食用が前提の魚を指すため、バラムツやアブラソコムツ等の食用不適魚やシガテラ等を含む有毒魚種は含まれない。
美味しく食べられる魚が未利用魚になってしまうのには様々な理由がある。
その理由は、日々美味しそうな魚を捌いたり釣ったりしているネット動画を見ている消費者からすればそんな理由であの魚が未利用魚になってしまうのか!? と驚かれるかもしれない。
養殖物ならともかく天然物で規格なんてあるのか?と思われるかもしれないがキッチリ存在する。
日本においては、漁獲された魚は漁港に水揚げされ漁協・JFを通して選別・箱詰・梱包された後に競りに掛けられ、仲買業者を通じて各地の卸売市場に出荷される。この際に市場で取り扱う規格が定められており、1箱あたりに入っている魚の数・魚の重量が厳密に規定されている。
規格が存在するのは、競りに掛けられる単位としてだけではなく魚を直接扱う側の事情もある。
魚は直接消費者に売られるだけではなく飲食業界でも使われ、大規模チェーン店のメニューや旅館ホテルの団体、学校給食などのシーンで数百ものまとまった同じサイズの魚を求められる。
この場合一定のサイズを大量に揃える事が求められるため、小さすぎてダメなのはもちろん大きすぎてもダメである。また、箱単位・出荷単位でまとめる必要もあるため、仮に10箱単位で出荷が規定された魚で9箱分しか揃えられなかった場合は9箱分全部が未利用魚と化す。
そうした市場流通の過程で弾かれた魚が未利用魚の多くを占めている。
その多くはアジ・サバ・タイ・ヒラメ・カレイなどスーパーでおなじみの魚で、その中で比較的価値が高いものは入会箱(様々な魚種が詰め込まれた箱)に詰められ漁港の地元で相対販売されるが、入会箱にも入れられない余りは未利用魚である。
未利用魚としてはもっともな理由であるが、網にハリセンボンが大量に入り込んで他の魚を傷つけた、エチゼンクラゲが入り込んで他の魚が圧死したなどシャレにならない被害を生んでいる。
当然ながらそうして死んだ魚は鮮度の面からも流通に乗せるのは難しい。
近年太平洋岸で急増しているアイゴはそのアンモニア臭で関東近郊では外道とされているが、九州や瀬戸内海沿岸では食用として珍重されている。また近年ではサワラも関東で親しまれるようになったがかつてはもっぱら関西で消費されていた。
地域間でギャップがある魚は仲買業者も手を出しにくく、その地域で馴染みがない魚種は出荷されない。
確かに食べれば美味しいが市場に乗せる需要があるかと言われれば?と付く魚種もまた未利用魚である。
代表的なのはクロダイである。
クロダイは比較的大量に獲れるが味の個体差が激しい上に安価な養殖マダイと競合する。本当に不味いクロダイは悲惨なので価格も安く、市場に乗せても出荷コストを回収できるかが怪しい。
低需要という意味では、本来美味しく食べられるはずのマイワシ・マサバ・ゴマサバも時期によっては未利用魚に入ってしまう。豊漁になったらなったで市場の需要を満たし低価格になってしまうため出荷コストを割り込んでしまう。飼料用に引き取られたとしても処理能力を超える分は未利用魚と化す。
需要以前に食べられる魚としての利用価値が低く見られている魚種である。
磯魚であるニザダイ・イスズミ・タカノハダイは藻食性で独特の臭いがあり、豊富に獲れながらも猫ですら跨ぐと言われるほど食えない魚として外道扱いされている。もっとも釣りたてをすぐに血抜きし内臓を洗い去りすれば美味しく食べられると紹介している人もいるが、市場流通でそんな作業を求めるのは酷である。
ニザダイはくら寿司が中間養殖でキャベツを食べさせる事で磯臭さの改善に成功し寿司ネタとして試験販売も行われた実績がある。イスズミも続くかもしれない。
死後の鮮度落ちが激しく流通に時間を掛けられない魚種もまた未利用魚である。
ソウダガツオは血合いが多くヒスタミン中毒を引き起こすヒスタミン生成がサバ並に早いため、市場で好まれる生食用の流通が難しい。
また、シイラも歩留まりが高く美味しい魚であるが、足が早い上に体表の粘液が弱毒である上に腸炎ビブリオ菌を含みやすい性質を持つため取り扱いが難しい。
未利用魚を捌くのは人間である。
養殖魚や市場出荷で規格サイズに出荷された魚は機械で自動処理できるが、サイズ・魚種がバラバラの未利用魚は人海戦術である。ただでさえ人件費の高騰や新型コロナの影響、外国人技能実習制度の見直しや批判で労働力確保が難しい中で未利用魚を捌くメリットは少ない。
他の地域に送るだけで金がかかる、これは当然である。
消費者側は送料無料だスーパーで買えるだで送料を意識する機会は少ないが、その裏で漁師や仲買業者はキッチリコストを支払っている。箱詰の発泡スチロールや氷、トラックの燃料、そのコストは馬鹿にできない。漁師からすれば損益分岐点を下回れば売れるかどうか分からない未利用魚なんて出荷せず捨てた方がマシなのだ……と言ってしまう。
掲示板
98 ななしのよっさん
2023/09/03(日) 22:20:22 ID: 78G5NJKkMz
アレルギーの原因とか調べるときややこしそう
99 ななしのよっさん
2023/09/03(日) 22:23:02 ID: 78G5NJKkMz
未利用魚というと、昔うちの店で仕入れた箱にリュウグウノツカイの子供が入ってることがたまにあって、それを売ってたけどあれ食べときゃよかったな。夜になると廃棄されたか売られたか不明だけど自分の家で消費したことはなかった。
100 ななしのよっしん
2023/09/03(日) 22:24:51 ID: l6XHPYUchV
肉骨粉にして飼料に、が無難だろうけど
毒とか中毒のリスクもあるんじゃなぁ
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最終更新:2024/10/15(火) 07:00
最終更新:2024/10/15(火) 07:00
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