建設予定地

当面はやったことの備忘録

フロントエンドカンファレンス北海道2024 実行委員長をしていました

はじめに

全くの余談ですが、このブログの下書きは高度11300mから書かれています。

フロントエンドカンファレンス北海道2024が、2024年8月24日(日)にDeep Tech CORE SAPPOROで開催されました。

www.frontend-conf.jp

オープニング(撮影:nrsさん)

フロントエンドカンファレンスは、沖縄や福岡でも過去に開催されていますが、北海道ではまったく別の実行委員会の運営による初開催となります。

なぜ僕が主催をすることになったのか?という経緯については、ツナギメエフエムで詳しくお話させていただいているので、気になる方はよければこちらをご視聴ください。

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実行委員長をやった

「きみが実行委員長だったんだ」という声を当日各所からよくいただいたのですが、ある意味これは思惑通りでした。

今回、僕はあまり「実行委員長が誰か」というのを表立って出さないようにしていたためです。

というのも

「カンファレンスはあくまでセッションが主役である」

「実行委員長だから偉いわけじゃない。一人の力ではなく、スタッフ全員の力があって初めて成り立つもの」

という思いがあったためです。

僕の存在がカンファレンスそのもののノイズになってほしくない、という気持ちがあって、あくまで自分は黒子でいたいと思っていました。

また僕の中で三つ決めていたことがあって

1. 絶対に業務に支障をきたさないこと

僕はまだ新卒二年目の、事業会社に所属する一エンジニアです。

同僚や先輩達に支えてもらいながら、多くのユーザーさんがいるtoCサービスの運用・保守の仕事に関わっています。

カンファレンス業はあくまで趣味の範疇(弊社もスポンサードしてくれていましたが)。

「絶対に業務に支障をきたさないこと、会社に迷惑をかけないこと」を信条に、極力有給は取らずに、あくまでもカンファレンススタッフ業は業務外でやる、のスタンスを徹底していました。

2. スタッフさんに仕事や責任を「押し付け」ないこと。信頼して、あくまで「お任せする」

フロントエンドカンファレンス北海道2024実行委員会は、完全善意の有志のボランティアスタッフによって運営されています。

スタッフの皆さんは普段のお仕事と両立しながら、休日や日々の隙間時間を縫ってイベント運営に尽力してくださいました。

東京や釧路など、遠方から参加してくれたスタッフさんや、家庭を持たれて小さなお子さんがいるスタッフさん、学業と両立しながら参加してくれている学生スタッフさんもいます。

交通費・宿泊費も満足に出せない。(ボランティアなので、所属組織からお金が出ているわけでもない) 皆さんはそんな中で集まってくれています。

だからこそ「僕ができないことを(ある程度言語化・整理した上で)託してお任せる」ことはしますが「やりたくないことをお任せする」ということは絶対にしない。 また、実行委員長の仕事は矢面に立つことであり、イベント開催における全責任を引き受けることだと考えています。

僕が行動の基準としていたのは一つで、「これが欠けると、イベントが絶対に開催できない」という見落としがないように終始気持を配ることでした。

イベントを「大成功させること」ではなく、「絶対にリカバリーが効かないような致命的な見落としをしない」ことでした。

そのため、イベントの資金繰りやスポンサーさんとの対応などは自分が責任を持って行うようにしていました。

3. 途中で投げ出さない

イベントの開催はノリと勢いで決まったようなものでしたが、言い出した以上は「絶対に途中で投げ出さない」ということを信条としていました。

基本的には各担当スタッフの方に予算以外の最終決定権は基本的に全任する、というスタンスでしたが、(そんなことはありませんでしたが)スタッフさんの誰かが万が一なにか問題を抱えてしまったとしても、言い出しっぺの僕が全責任を負うぞ、というつもりでいました。

実行委員長としてやったこと

開催までには主に以下のようなことを行いました。

  • イベントの開催計画
  • イベント協賛資料の作成
  • イベントの予算組み
  • 当日までのガントチャートの作成、必要なタスクの洗い出し
  • 準備期間中のスタッフさんのロール決め
  • 広報記事の執筆・スタッフさんに書いていただいた記事のレビュー
  • イベントページの作成
  • チケット販売プラットフォームの検討、準備とそれに伴う関係ステークホルダーとの調整
  • 会計処理(委託先のLOCAL様との調整)
  • CfPの採択基準の作成(※僕自身にCfP採択の決定権はありません。採択会議でイベント全体のバランスを考慮し、スタッフの総意のもと決定しています)
  • その他イベント資料作成、外部との調整
  • アンケートフォームの作成
  • その他必要なレビュー

など

スポンサー担当・会計担当(会計委託先のLOCALさんとの調整)・広報(補佐)担当を兼務しつつ、主に裏方の事務処理や外部との調整に振っていた感じです。

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スポンサーさん対応はほぼワンオペ対応(スタッフの皆さんに都度レビューなどお願いしていましたが)であったこと、手探りでの資料作成、日常の業務との両立もあって、なかなか皆様に満足いただけるような体験が提供できない部分もあったかと思います。

そんな中、皆様からは労いのお言葉や「来年度も協賛したい」といった声も多くいただけていて非常に身に沁みます。 皆様からのフィードバックは重く受け止めて、次年度以降の開催に活かせればと思います。

当日はオープニング・エンディングの司会をやったりもしましたが、緊張で舌が回らず自分のあがり症を思い知らされました(これに関しては場数不足もありそうですが...)。

会期中は主にトランシーバーやDiscordで飛んでくる緊急対応にあたったり、配信の二窓監視をしつつ合間合間でスポンサーさんのブースにご挨拶に行ったりしていました。

セッションは、CfPでご応募いただいた通りのバラエティに富んだ最高に魅力的な内容ばかりでした。

常に気を張っていたこともあり、当日はセッションをほとんど聴く時間がとれなかったため、後ほど配信のアーカイブですべて余すことなく堪能したいと思います。

fortee.jp

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ふりかえり

僕はふだんから一人で抱え込みすぎる悪癖があり、準備をはじめて当初はタスクを抱えすぎて「このままで大丈夫なんだろうか……?」と不安になることも何度かありました。

スーパーマンではないし(むしろ、普段はそそっかしいほうの人間)、実行委員長といってもただの言い出しっぺというだけで、僕の判断がつねに絶対的に正しいわけでもありません。

(むしろ「大事な局面で自分一人の独断で動くと、絶対にコケる」という確信がありました)

そのため、誰もが個の能力を発揮しながら対等に意見(提案や懸念)を言い合える、自律的に動ける組織でありたいという思いがありました。

そのため攻殻機動隊の荒巻課長の「スタンドプレーから生じるチームワーク」に倣って、「各ロールのスタッフさんに決定権を完全委譲して(自律分散させて)、お任せする」というスタンスを皆さんに共有しました。

そこで、スタッフさんの一人が「カンファレンス憲章(MVP)を作ろう。スタートアップ企業のようなMVPがあれば、意思決定権を完全委譲しても、そこから大きくずれることはないはず」という提案をしてくれました。 これをきっかけに、カンファレンスの最初にスタッフの皆で実施したワークショップをもとに、MVPを考えることにしました。

aback-jasmine-06b.notion.site

M(ミッション):フロントエンドカンファレンスが参加者に対して「なすべきこと」:

『誰も置いてきぼりにしないカンファレンスにする』

V(ビジョン):フロントエンドカンファレンス・フロントエンドカンファレンス実行委員会が目指す「あるべき姿」:

『人と人、人と土地、人と情報を繋げる』

V(バリュー):フロントエンドカンファレンス・フロントエンドカンファレンス実行委員会の構成員が具体的に「やるべきこと」:

『無理なく小さく、を本気でやる』

ワークショップを通じてMVPをコアスタッフ間で共有できたことで、各々やりたいことはあれどゴール設定がMVPから大きくブレることなく、役割を分散・委譲できたと思っています。

トラック数の増設・ハイブリット開催について

当初は100名程度の小規模なイベントを想定していました。そのため協賛費用も他イベントに比べるとかなり安いものになっていたと思います。

そんな中でも、急遽トラック数を予定していた1トラックから2トラックに増設したのは、想定を超える多くの(160件もの)CfPの応募をいただき、フロントエンドカンファレンス北海道の開催に対して多くの方の熱量を感じたからでした。

結果的に今回は初開催にも関わらず、2トラック・ハイブリットという相当挑戦的な開催でした。

「ハイブリットで開催したい」というのは、譲れない部分ではありました。

会場の制約上人数に限りがある・地方開催ながら全国各地からスピーカーさんが集まってくださることから、オンライン配信の需要を強く感じたためです。

また僕自身(北海道出身ではあるものの)普段は東京に身を置いており、東京にいる同僚や知り合いにカンファレンスを届けたいという思いもありました。

無理を言ってお願いした中、引き受けてくださった配信担当スタッフの皆さんには足を向けて眠れません。

当日の事前準備・リハーサルについて

今回は予算の都合などで会場のレンタル時間に制約があり、通しでのリハーサルを行うことができませんでした。

配信設備の構築に時間をかける必要があったこと(今回配信卓の構築なども一切外部に委託せず、スタッフさんが持ち込みの機材なども使って自前で行ってくれています)や、当日の発注物が(業者さん側の都合により)時間通りに届かないなどのトラブルもあったことから、前日の事前準備にかけられる時間は限りがありました。

当日も9:30開場にも関わらず、会場レンタル開始時間・スタッフ集合が9:00というタイトなスケジュール感のもと、各々で最大限の動きをしてくれたスタッフの皆さんに本当に感謝です。

やってよかったこと:スポンサースタンプラリー

僕が「どうしてもやりたい」と要望を伝えたところ、スタッフの皆さんが台紙や景品の作成などを行ってくれました。

結果的に当日ブースも大盛り上がりを見せていて、やってよかったと思っています。

(オリジナルの素敵なノベルティや楽しい企画でブースを盛り上げてくださったスポンサーの皆さま、ありがとうございます)

スタンプラリー達成特典の抽選会の景品である、幻のアクスタ(今回カンファレンスの顔となるLPサイトの制作もしてくれたのっと(@knot)くんが手作りしてくれました)

幻のアクスタ(撮影:nrsさん)

お盆休みという壁

今回は開催直前期にお盆を挟んでいたため、発注物系に遅れが生じたり、お休み中の業者さんとの連絡がつかず、保険周りの契約がギリギリになってしまった、というアクシデントにも見舞われました。

そんな中でも、可能な限りの手を尽くしながらリカバリーに動いてくれたスタッフの皆さんのおかげで、開催にあたって必要な物品なども欠けることなく当日を迎えることができました。

本カンファレンスのクリエイティブ(映像、タイトルコール)・制作物はデザインから、すべて制作物スタッフの皆さんによる手作りです

最後に

当日は機材トラブルによる開催時間の遅れなどで、参加者の皆様にはご迷惑をおかけしました。

とはいえ大事故や誰かが怪我をするなどもなく、無事に初開催の一大イベントを終了できたのはひとえにスタッフの皆さんと、当日あたたかく見守りながら一緒にイベントを作ってくださったスピーカーさん、一般参加者の皆様・スポンサーの皆様のおかげです。

当日、一緒にイベント運営を支えてくれたスタッフの皆さん

これはイベント終了後の翌日、一人夜カフェで思索に耽りながらスマホで打ち込んだ2000文字の感謝文

僕と多くのスタッフさんを繋げてくれたすべてのはじまりであり、大尊敬するPHPカンファレンス北海道の実行委員長のやまと(@yamato_sorariku)さん

フロントエンドカンファレンスを北海道で開催したい、と今年のお正月にDMをしたところ、親身に相談に乗ってくださったフロントエンドカンファレンス沖縄実行委員長のカンボ(@kanbo0605)さんとスタッフのふじた(@Yuhei_FUJITA)さん

イベントの運営についての悩みをパフェを食べながら打ち明けたところ、僕を家まで送ってくれつつ、深夜2:00まで立ち話で相談に乗ってくれたとみお(@tomio2480)さん

イベント中の救急や火災対応についてなど、運営についてアドバイスをくださりつつ応援してくれていたTech RAMEN 2024 Conferenceスタッフの皆さん

当日も激励のDMをくれたことみん(@kotomin_m)さん(勇気づけられました)

カンファレンスの象徴となるイベントロゴがほしい、という僕の強い希望から依頼をしたところ、快く引き受けてくださったどうけ(@doke)さん

イベント当日まで運営をあたたかく見守ってくださったスポンサーの皆さん

前日準備、当日のイベント運営にご助力くださったDeep Tech Coreの会場スタッフの皆さん

北海道に最高のトークを届けてくださったスピーカーの皆さん

当日会場に足を運んでくださったオフライン参加者の皆さん

オンラインで参加してくださった皆さん

僕が吉祥寺.pmの懇親会の席でダメもとでお願いしたら、二つ返事で快く当日カメラマンを引き受けてくださったnrs(@nrslib)さん

当日のセッションのタイトルコール動画のナレーション、および急遽のお願いにもかかわらず懇親会ナレーションを引き受けてくださったMilia(@xmiliax)さん

期間中、1LDKのマンションに毎日深夜3:00ごろに帰宅する僕を怪訝な眼差しで見つめつつ受け入れてくれた母

皆さんへの多大な感謝とともに

n13u(@n13u)さんに実行委員長を託し

フロントエンドカンファレンス北海道、来年(2025)も開催します!