2016年08月01日
ニュージーランド空軍、幻のF-16戦闘機
ニュージーランド空軍が2001年に戦闘機部隊を廃止し、A-4攻撃機の後継としてF-16戦闘機を導入しようとした計画を破棄したことは、F-16マニアやマイナーな中小国空軍好きには有名な話ですが、その導入しようとしたF-16はどのような物だったのか、ブログに書いていこうと思います。
ネットで見つけた幻のニュージーランド空軍のF-16の塗装。前任のA-4の最後の塗装と同じくオリーブドラブ一色ですね。イカロス出版の世界名機シリーズのF-16(シリアルナンバーの項)によるとF-16の内の何機かは先にリースされており、その内の1機と思われます。↓
まず、導入しようとしたF-16のタイプはA/B型のブロック15 OCU(オペレーションキャパビリティーアップグレードの略。すなわち作戦能力向上の意味)というタイプで、ブロック15をベースに1987年から改修を開始しC/D型で採用された広視野型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)を装備したことや、中央コンピュータの能力を拡張、新しい兵器としてAIM-120アムラーム空対空ミサイルやAGM-65マーベリック空対地ミサイル、AGM-119ペンギン空対艦を搭載できるようにしたタイプである。
それらの兵器を運用できるようにするために機体の構造を強化し、新しいエンジンであるF-100-PW-220に換装、最大離陸重量も17010kgにまで増加した。その他にもAN/ALE-40 チャフ/フレアディスペンサーとAN/ALQ-131 ECMポッドの搭載や、電波高度計、データ転送ユニット、AN/APX-101 IFFなどの装備も可能にした。C/D型で例えると、ブロック30もしくは32型相当の機体になったものである。
対艦ミサイルであるAGM-119(最大射程40km)を搭載できる点は島国であるニュージーランドにとっては大きな利点かもしれないですね。AGM-65にも艦艇攻撃型(F型)はあるけど、最大射程が25kmと短いんだよなー。できればAGM-84ハープーン(最大射程120km)とか積みたいのだろうけれど、F-16ではC/D型のブロック40/42もしくはブロック50/52しか搭載できないし、F-16でAGM-84を運用することは、あまり実用的じゃないらしい。って何かの本に書いてあった記憶がある。
導入予定だった機数は28機と決まっており、シリアルナンバーも既に決まっていた。28機の内訳は単座のA型が13機に、複座のB型が15機だった。シリアルナンバーは単座のA型はNZ6521〜6533で、複座のB型がNZ6541〜6555である。
ここで不思議なのが28機という中途半端な導入機数で、ニュージーランド空軍が最後に使用していた近代化改修を施した20機のA-4より、やや多い機数であること。複座型であるB型の方が機数が多いことの2点が上げられる。
A-4とF-16を比べたら、機体価格は明らかにF-16の方が高いのに、導入予定だった機数は8機も多いのである。もしかしたら、アメリカから「28機まとめて買ってくれたら安くするよー。」とでも言われたのかな〜?
※この28機は元々、パキスタン空軍への輸出用だったが、核兵器関係でのゴタゴタがあり、輸出禁止になってアメリカ国内で保管されていた物。
機体バリエーションの面から見ても教習用の複座型の方が多いのも気になる。通常は何処の国でも戦闘機部隊は、ガチ戦闘用の単座型の方が多くなるのだが、ニュージーランド空軍が導入予定だった機数は、複座型の方が単座型よりも5機多い。
自分が調べた中では他のF-16導入国で、複座型の方が多いのはシンガポール空軍のみだった。参考はイカロス出版で、石川潤一薯の『世界の空軍』。この本もちょっと古いので、もしかしたら、今では違うのかな? 保管していた機体が、ちょうど複座型の方が多かったってのも要因かもしれない。
いやーしかし、太平洋戦争中にニュージーランド空軍に配備された1番好きなレシプロ戦闘機であるF4Uコルセアが原因で色々調べているうちに、他のニュージーランド軍(陸軍&海軍)やニュージーランド自体が好きになったのに、今では空軍に戦闘機部隊が無いのは悲しいですな〜。特にF-16やF/A-18などの第4世代のジェット戦闘機が好きだし……。
ニュージーランドの政権が1999年から2008年に労働党になってしまった事により、時の首相ヘレン・クラーク(下の写真)の一言によって空軍は戦闘機部隊を廃止することになってしまった。1999年から今でも国民党だったら、戦闘機部隊はあるだろうし、逆に2008年から労働党が政権を握っていたら、2010年ぐらいに戦闘機部隊は無くなるかもしれないけど、配備は完了していたと思う。
そして、ニュージーランドに今でも当時の編成のままの戦闘/高等訓練部隊&軽攻撃/中等訓練部隊(第75&第14飛行隊)があったら、ちょうど軽攻撃/中等訓練部隊に配備されているMB-339CBの後継機選定が始まっているころか。
※F-16は2030年代まで運用すると思います。
そしたら、どんな機種が候補に上がるのかな〜? MB-339と同じイタリアのアエルマッキのM-346か、イギリスのBAeホークの最新型か、アメリカの斬新なテキストロンのスコーピオンか、妄想は膨らむばかりです。※ちなみに第14飛行隊は去年、初等練習機であるT-6CテキサンⅡを配備して復活しました。
もしかしたら、戦闘機部隊を復活させる兆しかもしれない……。
ネットで見つけた幻のニュージーランド空軍のF-16の塗装。前任のA-4の最後の塗装と同じくオリーブドラブ一色ですね。イカロス出版の世界名機シリーズのF-16(シリアルナンバーの項)によるとF-16の内の何機かは先にリースされており、その内の1機と思われます。↓
まず、導入しようとしたF-16のタイプはA/B型のブロック15 OCU(オペレーションキャパビリティーアップグレードの略。すなわち作戦能力向上の意味)というタイプで、ブロック15をベースに1987年から改修を開始しC/D型で採用された広視野型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)を装備したことや、中央コンピュータの能力を拡張、新しい兵器としてAIM-120アムラーム空対空ミサイルやAGM-65マーベリック空対地ミサイル、AGM-119ペンギン空対艦を搭載できるようにしたタイプである。
それらの兵器を運用できるようにするために機体の構造を強化し、新しいエンジンであるF-100-PW-220に換装、最大離陸重量も17010kgにまで増加した。その他にもAN/ALE-40 チャフ/フレアディスペンサーとAN/ALQ-131 ECMポッドの搭載や、電波高度計、データ転送ユニット、AN/APX-101 IFFなどの装備も可能にした。C/D型で例えると、ブロック30もしくは32型相当の機体になったものである。
対艦ミサイルであるAGM-119(最大射程40km)を搭載できる点は島国であるニュージーランドにとっては大きな利点かもしれないですね。AGM-65にも艦艇攻撃型(F型)はあるけど、最大射程が25kmと短いんだよなー。できればAGM-84ハープーン(最大射程120km)とか積みたいのだろうけれど、F-16ではC/D型のブロック40/42もしくはブロック50/52しか搭載できないし、F-16でAGM-84を運用することは、あまり実用的じゃないらしい。って何かの本に書いてあった記憶がある。
導入予定だった機数は28機と決まっており、シリアルナンバーも既に決まっていた。28機の内訳は単座のA型が13機に、複座のB型が15機だった。シリアルナンバーは単座のA型はNZ6521〜6533で、複座のB型がNZ6541〜6555である。
ここで不思議なのが28機という中途半端な導入機数で、ニュージーランド空軍が最後に使用していた近代化改修を施した20機のA-4より、やや多い機数であること。複座型であるB型の方が機数が多いことの2点が上げられる。
A-4とF-16を比べたら、機体価格は明らかにF-16の方が高いのに、導入予定だった機数は8機も多いのである。もしかしたら、アメリカから「28機まとめて買ってくれたら安くするよー。」とでも言われたのかな〜?
※この28機は元々、パキスタン空軍への輸出用だったが、核兵器関係でのゴタゴタがあり、輸出禁止になってアメリカ国内で保管されていた物。
機体バリエーションの面から見ても教習用の複座型の方が多いのも気になる。通常は何処の国でも戦闘機部隊は、ガチ戦闘用の単座型の方が多くなるのだが、ニュージーランド空軍が導入予定だった機数は、複座型の方が単座型よりも5機多い。
自分が調べた中では他のF-16導入国で、複座型の方が多いのはシンガポール空軍のみだった。参考はイカロス出版で、石川潤一薯の『世界の空軍』。この本もちょっと古いので、もしかしたら、今では違うのかな? 保管していた機体が、ちょうど複座型の方が多かったってのも要因かもしれない。
いやーしかし、太平洋戦争中にニュージーランド空軍に配備された1番好きなレシプロ戦闘機であるF4Uコルセアが原因で色々調べているうちに、他のニュージーランド軍(陸軍&海軍)やニュージーランド自体が好きになったのに、今では空軍に戦闘機部隊が無いのは悲しいですな〜。特にF-16やF/A-18などの第4世代のジェット戦闘機が好きだし……。
ニュージーランドの政権が1999年から2008年に労働党になってしまった事により、時の首相ヘレン・クラーク(下の写真)の一言によって空軍は戦闘機部隊を廃止することになってしまった。1999年から今でも国民党だったら、戦闘機部隊はあるだろうし、逆に2008年から労働党が政権を握っていたら、2010年ぐらいに戦闘機部隊は無くなるかもしれないけど、配備は完了していたと思う。
そして、ニュージーランドに今でも当時の編成のままの戦闘/高等訓練部隊&軽攻撃/中等訓練部隊(第75&第14飛行隊)があったら、ちょうど軽攻撃/中等訓練部隊に配備されているMB-339CBの後継機選定が始まっているころか。
※F-16は2030年代まで運用すると思います。
そしたら、どんな機種が候補に上がるのかな〜? MB-339と同じイタリアのアエルマッキのM-346か、イギリスのBAeホークの最新型か、アメリカの斬新なテキストロンのスコーピオンか、妄想は膨らむばかりです。※ちなみに第14飛行隊は去年、初等練習機であるT-6CテキサンⅡを配備して復活しました。
もしかしたら、戦闘機部隊を復活させる兆しかもしれない……。
Posted by ヒラシン at 20:10│Comments(0)
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