【目次】
前書き
2024年8月6日に発生したSUGAの飲酒運転の摘発と、その後の報道についてまとめました。
「実際に起きたこと」に比べて、本人への「社会的な制裁」が不当に過酷、特にマスコミ報道は問題が大きいものでした。「飲酒運転は絶対ダメ」というとき、それは未来の行動への戒めであるはずです。すでに起きた、起こしてしまった飲酒運転については、それぞれのケースにおいて「悪質性」と「結果の重大性」の違いが個別に考慮されます*1。
今回のケースは
- 「結果の重大性」としては、人的被害も物的被害もなかった
- 「悪質性」としては、飲酒量を示す血中アルコール濃度は免許許取り消し相当の「酩酊・泥酔状態」
ただし
- 初犯である
- アルコールの測定など調べに素直に応じている
- 謝罪、反省している
- 交通法規を勘違いしてもおかしくない状況があった(法的区分の混乱など)
- 飲酒運転以外の規則違反はしていない(ヘルメット着用/信号無視、スピード違反、逆走などは確認できず)→本人の謝罪文(上記の規則の勘違い)の信憑性
などを考慮すれば「罰金及び免許取り消し」以上でも以下でもないと思っています。
そして社会的な制裁に関してですが、芸能人の影響力を考えると、一般人より大きな責任があるのは確かで、ニュースになって責められるのもある程度は仕方がないと思います。今回被害者がいなかったことは「運が良かった」に過ぎないといえば、その通りです(確率がいくら低くても起きるときは起きる)。なので、大いに反省すべきことではあります。
しかし、だからといってメディアや世論が「実際にはなかった被害をあったかのように」さらには「推測で『噓や矮小化』を無理やり作り出し」ながら、すでに謝罪や反省を繰り返し述べ、罰則はすべて受け入れると表明している人を「飲酒運転は絶対ダメ」という原則で責め立てるのは、過剰なバッシングである、というのがブログ主の立場です。
★韓国の報道に関しては、韓国の記者でアミのチョン・ジェフンさん*2のYouTube放送を参考にしました。
タイムライン
2024年8月6日午後11時15分ごろに発生
8月7日最初の報道と謝罪文
第一報は7日午前11:47の聯合ニュース。「電動キックボード」というキーワードは警察取材によるもの*3でした。
【BTSのSUGA,電動キックボード飲酒運転の嫌疑で警察が調査】정윤주記者
同日 SUGA本人の謝罪文発表(Weverse)
08. 07. 13:12
こんにちは、シュガです。
皆さんに失望させることでお伺いすることになって、とても重く申し訳ない気持ちです。
私が昨夜食事の席でお酒を飲んだ後、電動キックボードに乗って帰宅しました。 近い距離という安易な考えと飲酒状態では電動キックボードの利用が不可能だという点を認知できず、道路交通法規に違反しました。家の前の正門で電動キックボードを止める過程で一人で倒れることになり、周辺に警察官の方がいらっしゃって飲酒測定した結果、免許取り消し処分と反則金が賦課されました。
この過程で被害に遭った方、または破損された施設はありませんでしたが、弁解の余地がない私の責任なので、皆様に頭を下げてお詫び申し上げます。
不注意で誤った私の行動に傷ついたすべての方々に謝罪し、今後このようなことがないようにさらに行動に注意します。
事務所のお知らせ
[お知らせ] BTS、SUGA電動キックボード事故に関する立場
2024.08.07こんにちは.
ビッグヒットミュージックです。BTS メンバーのSUGAの電動キックボード事故についてお詫びします。
SUGAは6日(火)夜、飲酒状態で帰宅中にヘルメットを着用した状態で電動キックボードを利用しました。 500メートルほど移動した後、駐車時に転倒し、周辺にいた警察を通じて飲酒測定した結果、反則金と免許取り消し処分を受けました。 該当事件で人命被害や財産被害が発生することはなく、警察の引継ぎの下で家に帰宅しました。
弊社はアーティストの不適切な行動により、多くの方々に失望を与えたことをお詫びいたします。 社会服務要員の身分で社会的物議をかもした行動に対しては勤務先からいかなる処分も受けます。
今後はこのようなことが発生しないよう、さらに注意を払っていきます。
ありがとうございます。
8月7日 JTBCが「SUGAの映像」としてCCTV公開
※別項で詳述
8月8日 事務所から2度目のお知らせ(Weverse)
[お知らせ] BTS、SUGA関連 心よりお詫び申し上げます
2024.08.08
こんにちは.
ビッグヒットミュージックです。BTS メンバーのSUGAに関して追加の立場をお伝えします。
まず、かんばしくないことで多くの方々に失望感を与えたことをもう一度深くお詫びします。
色々な情況を細かく確認できず、急いで立場文を発表し混乱を引き起こした点についても申し訳ないというお言葉を伝えます。1) 電動キックボードの用語使用に関して
当社ではアーティストが利用した製品をサドルが付いた形のキックボードと判断し、「電動キックボード」と説明しました。 追加確認の過程で製品の性能と仕様によって分類が変わり、事故に対する責任範囲も変わることがあることを認知するようになりました。 一部でおっしゃるように、事案を縮小しようとする意図は全くありませんでした。 より綿密に観察できず、結果的に性急に申し上げたことについて、重ねてお詫び申し上げます。 今後、該当製品に対する捜査機関の分類が決定されれば、それに伴う責任を忠実に履行します。2) 反則金の賦課及び免許取り消し処分に関して
今月6日、アーティストは現場で警察の飲酒測定に応じた後、すぐに帰宅措置されました。
当社とアーティストは、今後の手続きが残っているという点を把握できず、該当事案が終結したと誤って認知しました。 事案の深刻さに鑑み、内部のコミュニケーションミスで誤った情報をお届けしたことを申し訳ありません。何より兵役の義務を履行する期間に模範的な姿を見せることができず、不祥事を起こしたことについて、アーティストと会社ともに頭を下げてお詫び申し上げます。 がっかりされたファンの皆さんにも、 心から申し訳ない気持ちです。
今後、警察の追加調査に誠実に協力し、調査結果を謙虚に受け止めます。
- 「電動キックボード」としたが、該当車両は法規制上は違う分類の可能性があること
- 捜査は正式にはまだ終わっていない
8月12日 警察定例会見で調査経過の説明
【警察「シュガの飲酒運転の移動経路確認…召喚日を調整中」】(ニューシス)
【「電動スクーター飲酒運転」シュガ、警察のフォトラインに立つか…召喚日程調整中】(ソウル経済)
- 事故が発生した場所から動線を逆追跡し、移動経路を確認
- 免許取り消し(0.08%以上)数値だった
- 飲酒の測定だけして帰宅させた
8月14日 転倒時の本人CCTVが公開、「誤報」判明
【(独自)「飲酒運転」BTSのSUGAの動線確認…居酒屋→作業室→自宅 移動時に転倒】東亜日報 주현우記者
【(独自映像)BTS SUGAの動線確認…作業室から移動時に自宅正門前で転倒】TV朝鮮 조유진記者
→8/7のJTBCの映像が他人のものであることが判明。
【「ニュースルーム」が報道した道路走行スクーター、BTSのSUGAではなかった】TVデイリー 김종은記者
※別項で詳述
8月23日 取り調べ/フォトライン
勤務後の7:45PMごろ出頭 3時間ほどかけて取り調べ
【「電動スクーター飲酒運転」BTSのシュガ警察に出頭…「心から反省」】
注目されていた「フォトライン」に結局立つことになりました。マスクや帽子なし。
署に入る前に謝罪の言葉
非常に申し訳ないです。多くの方々に本当に大きな失望を抱かせた点を心より反省しています。 誠実に調査に臨んできます。
調査後
大いに反省し後悔しています。二度とこのようなことがないようにします。
記者の質問には答えず。
8月 25日 本人の自筆謝罪文を公開(Weverse)
08. 25. 19:31
こんにちは、シュガです。
恥ずかしい気持ちで皆さんにお詫びを申し上げたいと思います。
私の誤った行動でファンの皆さん、そして私を愛してくださるすべての方々に失望と傷を与えた点を深く謝罪します。
これまで私が受けた愛にふさわしい行動で報いなければならないという責任感を忘れ、大きな過ちを犯しました。8 月 6 日の夜、私は飲酒後に電動スクーターに乗って歩道を走行するという過ちを犯しました。
また、7日に性急に投稿した最初の謝罪文で、多くの混乱をおかけして申し訳ありません。
もっと深く考えて慎重になるべきでしたが、そうすることができませんでした。すべて私の過ちです。 私の軽率さが私を大事にしてくれるすべての方々を苦しめています。
二度と間違った行動をしないように努力して悔やみながら生きていきます。今回のことで私はメンバーたち、ファンの方々と一緒に作った大切な思い出に大きな傷をつけ、BTSの名に迷惑をかけました。
メンバーたちとチームに被害を与えることになって表現できないほど、あまりにも申し訳なくて苦しい気持ちです。
いつも私を信じてくれたメンバーたちが、私のせいでつらい時間を経験することになって申し訳ありません。
そして私を支持して応援してくださったファンの方々が感じた失望感もとてもよく分かっています。足りない私にいつも過分な愛をくださったファンの方々に申し訳ない気持ちだけです···
どんな言葉でもファンの方々が受けた傷と失望を癒すことが難しいことを知っているので、深く後悔し一日一日重い心で反省しています。
もう一度、私によって傷ついたファンの皆様に心を込めてお詫び申し上げます。今後下される処分はもちろん、批判と叱責を甘んじて受けます。
最後に、社会的物議をかもして多くの方々に失望感を与えた点、もう一度心より頭を下げてお詫び申し上げます。
8.30. 検察へ送致
【警察「電動スクーター飲酒運転」BTSのシュガを不拘束送致】
(単なる手続きですね…不拘束なのは当たり前ですね…)
9月10日 略式起訴(9/10追記)
【「電動スクーター飲酒運転」BTSのシュガ略式起訴】
9月27日 略式命令1500万ウォン(9/30追記)
【「電動スクーター飲酒運転」BTSのシュガに罰金1500万ウォン】
ソウル西部地裁略式7単独のイ·ユソプ判事は今月27日、道路交通法上の飲酒運転の疑いで略式起訴されたシュガに罰金1500万ウォンの略式命令を下した。 これは先立って検察が求刑した金額と同額だ。
これで事件終結。(ユンギ側が7日以内に正式裁判を請求しなければ)
誤報・推測記事
8月7日 JTBCの別人CCTV映像
映像は削除されましたが、こちらの動画のなかで確認できます。
こちらは当日のニュース映像ですが、映像削除後のもの。下段にこのように書いています
※ JTBCが7日に報道したCCTV画面の中のスクーター運転者は、同じ時間にナインワン漢南の向こう側を走っていた別のスクーター運転者であることを警察が知らせてきたので修正します。
13日には聯合ニュースが別の映像を出して
「電動スクーターに乗って歩道を走っていたところ、縁石にぶつかって倒れた」と CCTV映像を公開していました。
【(独自)泥酔状態で歩道を走っていたBTSのSUGA…CCTVが捕らえた事故の瞬間】
聯合ニュースの映像 画面キャプチャ
14日、東亜日報が実際に転倒した場面のCCTVを報道、二つのCCTVは別人のものと明らかに
【(独自)「飲酒運転」BTSのSUGAの動線確認…居酒屋→作業質→自宅 移動時に転倒】
シュガは6日午後11時10分頃、ソウル龍山区(ヨンサング)のナインワン漢南(ハンナム)付近の歩道をパトロールしていた警察機動隊員3人を通り、ナインワン漢南正門前で入口の内側に左折する過程でバランスを崩して倒れた。 警察は、脱げたヘルメットを拾っているシュガに近づいて助けようとし、この過程でシュガの飲酒事実を確認した後、飲酒測定を実施したことが確認された。 飲酒測定の結果、シュガの血中アルコール濃度の数値は免許取り消し水準の0.227%だった。
一方、一部放送などで報道した「電動スクーターに乗って道路上を走る映像」に出てくる人物はシュガではないことが明らかになった。 該当映像の中の電動スクーターは、ナインワン漢南の向い側から南山方向に走っているが、シュガはナインワン漢南側の歩道に帰宅して動線が違った。
「シュガが縁石にぶつかって倒れた」という報道もやはり事実ではないことが明らかになった。
【(独自映像)BTS SUGAの動線確認…作業室から移動時に自宅正門前で転倒】
結果、JTBCと聯合ニュースのCCTV映像が他人のものであることが判明しました。
【「ニュースルーム」が報道した道路走行スクーター、BTSのSUGAではなかった】
ビッグヒットミュージック側は、(東亜日報の)該当映像の中の男性がシュガであることを認めた
削除/謝罪
「誤報」が明らかになり、アミたちはJTBCへの謝罪を要求。JTBCのスポンサー企業にも広告を引き上げるよう要請しました。その結果、JTBCは16日になって放送で謝罪。
「謝罪」部分の書き起こし
저희 뉴스룸은 지난 7일 방탄소년단 멤버 슈가의 음주운전 사건을 보도했습니다 당시 보도 첫부분에 전동 스쿠터를 타고 대로를 지나가는 CCTV 영상을 방 했는데 경찰 조사 결과 영상 속 남성이 슈가가 아닌 것으로 확인됐습니다. 혼선을 드린 점 사과드립니다,
私たちニュースルームは7日、BTSメンバーSUGAの飲酒運転事件を報道しました。当時、報道の最初の部分で電動スクーターに乗って大通りを通るCCTV映像を放送しましたが、警察の調査結果、映像の中の男性がSUGAではないことが確認されました。 混乱させてしまったことをお詫びします。
これ…謝罪ですかね…?
聯合ニュースの方は、19日になって英語のアカウントで謝罪 該当ニュース映像は聯合ニュースのチャンネルでは引き続き公開されています。
私たちKOREA NOWは、BTS・SUGAと視聴者の皆様に、スターのEスクーター飲酒運転事件と誤ったCCTV映像を結びつけて報道したことをお詫び申し上げます。また、この報道は8月19日付でKOREA NOWのチャンネルから削除されました。KOREA NOWは、正確な報道、特に公人に関する報道の重要性を認識し、今後同様の事件が発生しないよう細心の注意を払ってまいります。ありがとうございました。
しかし、JTBCの8月7日の報道から14日までの間に、この別人CCTVはほかのメディアも大量に記事にして配信しました。
その一例。
8月7日【電動スクーターに乗ってヒュンヒュン···シュガ、飲酒運転当時の監視カメラ:ぐらり】(日刊スポーツ 강주희記者)こちらの記事は削除されていません。
さらに、この別人CCTVを根拠にした推測記事も大量に作成されます。
推測記事①距離の「疑惑」
8月8日【「SUGA500メートル移動」事務所の釈明も騒ぎに…実際の移動距離は2キロ以上か】ソウル新聞 신진호 (削除済み。上記リンクでアーカイブが確認できます)
CCTVに撮られた位置とシュガの自宅である漢南リバーヒルまでの直線距離は、ビッグヒットミュージックの釈明通り約500mだ。
しかし、シュガが車道を利用して電動スクーターに乗って自宅まで移動するためには、江北方向に約747mを移動した後、Uターンして反対側の車線に約1.1kmを戻った後、漢南五叉路で信号を受けなければならない。 Uターン地点まで途中で横断歩道もなく、車道を利用するしかないからだ。
(中略)
移動経路は少なくとも2.7kmの距離が出てくる。 CCTVに撮られた地点から逆方向に自宅に向かったとしても、少なくとも740メートル程度かかる。
同様の記事が数多く出て、「噓」あるいは「矮小化」というキーワードであふれます。
推測記事②車種と法規定
JTBC は8月8日の放送で、 いわゆる「原付きスクーター」の形のものをイメージ写真として報道
こちらは、同日の別の記事で車種が報道されて違う形だったことが分かります。
【(独自)SUGAが乗っていたのは「最高時速30km」の電動スクーター…「処罰可能」】
キックボードにより近いですね。
LULコリアの「BUZZARD」EM-G21らしいのですが…
バッテリ:48V/12AH
最大距離: 50 ~ 60KM
最大速度:25KM/H
最大積載量: 120kg
モーター:350 W
充電時間:6~8時間
重量:30 kg
※スペックを見ると最高速度は25キロなので、「30キロまで出るので、法区分上はより思い罰則が適応される可能性のある『電動スクーター』」という記述とは矛盾するようです。(あとで判明したら追記します)
名称と法的位置づけの混乱
本人が最初の謝罪文のなかで「電動キックボードの利用が不可能だという点を認知できず」としていることを韓国マスコミはもっぱら「矮小化」あるいは「噓」というフレームで報道しましたが、実際にかなり混乱しているようです。その証拠に、最初の報道では各社が「電動キックボード」とししていました。警察への取材ですので、警察も「電動キックボード」と認識していた可能性が高いです。
また、該当車種はメーカーのサイトでは「電動スクーター」としていますが、通販などのサイトでは「電動キックボード」で出てきます。
「有名人のスキャンダル」を契機に、名称や法規の理解が混乱していることについて問題提起するのが、本来の報道機関のするべき仕事だと思うのですが、ほぼ見当たりませんでした。
唯一あったのは、BBCコリアの記事でした。
8月21日【BTSシュガの「電動キックボード」釈明議論···飲酒運転の処罰はどう違うのか】BBC KOREA 이선욱
韓国の個人用移動装置(PM)の法規についてまとめた記事です。
本来免許が必要な電動キックボードも、シェア業者は免許がなくても乗れる運用にしている実態や、パリやメルボルンなど、海外でもPMの扱いについては課題があることなどを紹介しています。
法的な混乱についてはこちらの過去の記事。
【電動キックボード、自動車なのか自転車なのか】(交通新聞)
専門メディアに2023年8月に掲載された記事。民事、行政、刑事で事故の判例を分析すると、法的な取り扱いがバラバラなため、「法的地位を明確にしてこそ事故による紛争が予防できる」という問題提起です。
「自動車等」には道路交通法第2条の自動車と原動機付自転車が含まれるが、電動キックボードは原動機付自転車の一つに分類される。
しかし、道路交通法は電動キックボードを自転車と一緒にまとめて「自転車など」に分類し、自転車のように通行するようにしている。
だとすれば、電動キックボードの飲酒運転事故を自動車などの飲酒事故のように適用するのが妥当かどうか、争いの余地が生じる。
9月4日 やっと自動車の専門家からの言及がありました。
訳)BTS・SUGAの飲酒運転、公平性を基にした規定が必要/キホ日報 コラム訳
こちらは過剰報道への批判と一体になったコラムですがここで注目すべきなのは以下の点だと思います。
- 電動キックボードや電動スクーターに対する法規定を熟知している国民は少数であると、専門家が明言したこと
- 現在のPM関連法規の成り立ちの説明と、その批判。「PM関連規定をまとめて新たに構成し、法的処罰の条項も、量刑規定に合わせて新たに構成しなければならない」
推測記事③飲酒量
「噓」「矮小化」と一方的に報道されたのは、当日の飲酒量についても同様です。
「ビール一杯」は既出のこちらの中央日報の記事が初出でした。
[단독] 슈가가 탄 건 '최고 시속 30km' 전동 스쿠터…"처벌 가능"
【SUGAが乗っていたのは「最高時速30km」の電動スクーター…「処罰可能」】
シュガは膝の痛みを訴え「ビールを一杯飲んでしばらく運転した」という趣旨で警察に話したという。飲酒測定の結果、シュガの血中アルコール濃度は免許取り消し(0.08以上0.2%未満)の数値が出た。
こちら「…という趣旨で警察に話したという」とあるように、確度が低い情報であることが分かります。そして、本人の謝罪文と事務所のお知らせを見ると、飲酒量や数値の記述はどこにもありません。
また、韓国語の問題として맥주 1_잔 なのか 맥주 한잔 なのかという問題があるとの指摘もあります。つまり「ビール一杯」というのがグラスなりジョッキで一杯という文字どおりの「量」を示しているのか、それとも日本語でも「一杯飲みましょう」「友だちと一杯飲みました」というときの慣用句としての「一杯」なのか。
血中アルコール濃度「0.227%」
8月9日【(独自)BTSのSUGA 血中アルコール濃度0.227%「泥酔」…最大5年以下の懲役】東亜日報 주현우 記者
・東亜日報がソウルの龍山警察署に取材。呼吸測定を進めた結果、血中アルコール濃度の数値を0.227%と把握したという。
・0.2%以上の場合、2年以上5年以下の懲役や1000万~2000万ウォンの罰金刑に処されることもある。
・当時、シュガは「 맥주 한 잔을 마시고 잠깐 운전했다(ビール一杯を飲んでしばらく運転した)」と陳述したと伝えられた。
飲酒量を巡るこの二つの記述、0.227%と「ビール一杯」を根拠にコタツ記事*4が大量に生まれます。
その一例がこちら。
8月9日【BTSシュガ、嘘「また」ばれた···ビール一杯ではなく「泥酔」のレベル】 スポーツキョンヒャン 서형우 オンライン記者
この記事はCCTVも飲酒量も他メディアの引き写しで、改めて取材した様子はありませんが「また噓」と断定したセンセーショナルな見出しになっています。
ちなみに警察はアルコール濃度に関して12日の定例会見でこのように述べています。
続けて「一部のマスコミで血中アルコール濃度が具体的な数値(0.227%)まで記事化されたが、関連法上飲酒数値によって適用範囲が異なり、免許取り消し(0.08%以上)数値だとだけ申し上げることができる」とし…
会見での発言なので「かぎかっこ」に入ってますね。つまり警察の公式発表としては「免許取り消し水準(0.08%以上)」としか言っていません。
このあとの報道で繰り返し言及されている0.227%が、どの程度信憑性があるのか、警察に再確認した記事があるのか探しましたが、いずれもあいまいな書き方のためちょっと分かりません。あるいは、警察はこのあと「言えない」とするという方針になったのかもしれません。
推測記事④そのほか交通法規違反
ナンバープレートと保険
CCTVの誤報が明らかになって、距離や車種についての報道はなくなりましたが、その後も別の「疑惑」の記事は続きます。「疑惑」だと書けば根拠が薄弱でも書いていいんでしょうかね…?
8月20日【BTSシュガ、剥いても剥いても出てくる疑惑···飲酒運転だけではなかった】 ハンギョンドットコム 김소연
歩道の逆走→ナンバープレート未装着·保険未加入疑惑まで
あの車両で車道を走行したらその方が危なくないですかね?そして自宅に戻るためには車両の進行方向からみて逆走する必要があるわけで。
そして該当の場所は、歩行者専用道路ではなく自転車などとの兼用道路で、電動キックボードのシェアステーションもあるといった指摘もあります(未確認)。これらの記事に、そのあたりを「確認した」というものはありません。ただ「疑惑」を報じるのみ。
こちらも同じ。
8月21日【「飲酒運転」BTSのシュガ、スクーターナンバープレート未装着→義務保険務加入疑惑】(テンアシア)최지예
ナンバープレートに関しては、カウンターとなるこのような報道が出ます。
8月26日【「飲酒運転」BTSのシュガ 早ければ今週検察に送致】TVチョソン조유진 記者
警察の定例会見の記事です。
ナンバープレート未付着疑惑に対しては、国土部などに問い合わせた結果、本来付着対象ではないことが確認されたと明らかにした。
カギカッコに入ってはいませんが、定例会見の記事なので、確度は高いでしょう。
飲酒運転は「道路交通法」で警察の管轄、ナンバープレートの装着義務は「自動車管理法」で国土部の管轄ということで、警察から国土部に問い合わせたということのようです。
その自動車管理法によると、ナンバープレートがいらないのは、最高時速25キロ未満の二輪車でした。
(KEMS) 최고속도 25kmh 미만 이륜자동차 사용신고 대상 제외 _ '22.12.15 : 전기이륜차
推測記事⑤勤務態度など、飲酒運転とは無関係な事柄
そのほかほぼ言いがかりのような記事もたくさん。
8月21日【独自)BTSシュガの服務怠慢請願で分任長の特別休暇が中断されるか…「決定してない」】スポーツキョンヒャン 이선명
これは何かというと、社会服務要員として勤務中のSUGAが、職務怠慢な態度を取っているというネットコミュニティーの書き込みから、訓練中に「分任長」をしたSUGAが特別休暇を得たのは許せない→その制度をなくせ、という請願があり兵務長でも検討中だ、という報道です。
それに対し翌日の兵務庁の回答
8月22日 【兵務庁「社会服務要員 分任長の特別休暇中断について検討したことはない」】
○ 兵務庁は社会服務要員の教育関連の分任長の役割の重要性などについて強調しており、
○ 特別休暇の中断などについては検討したことはありません。
もうほぼ捏造じゃないでしょうか…
※「勤務怠慢」に関しては、「兵籍別管理制度」というものがあるそうです。高位公職者(の子も含め)、スポーツ選手、芸能人、高所得者の子どもが過去に兵役逃れをしたり、様々な「ズル」をする例があり、国民の批判が強かったため、このような属性の人に関しては、判定時と履行過程で公正さを一般人以上に厳格にモニタリングするものです。兵務庁「公正な兵役文化造成のための兵籍別管理制度ーYouTube
当然SUGAもこの対象としてモニタリングされているはずですね。
アミ関連のフレームアップ記事
BTSのファンダムであるARMY(アミ)に関しても様々な記事が配信されました。こちら詳細を書き始めると陰謀論の沼にはまりそうなので詳しくは書きませんが、主なところで言うと
- 車の中で酒瓶を写してSNSにあげる「SUGAチャレンジ」で支持表明
- →ほかのファンダムの嫌がらせ
- ファンの脱退要求の花輪やトラック
- 韓国のアミと海外アミの対立
- →韓国アミは「マスコミにエサをやるな」ということで、静かにしていたのが実情
などがありました。
マスコミが描きたいフレームとしてはこんなところだったのでしょうか。
- 高まる脱退要求(BTSはどうなる)
- 庇うファンはけしからん(アイドルファンの浅はかさ)
- ファンダム内での分断(高みの見物)
過剰報道への批判
日に数十本という記事が配信される状況が続き、フォトラインや脱退要求などにヒートアップするなかで、過剰報道への指摘が特に海外から相次ぎました。韓国内でも数は少ないながらも指摘があったほか、海外報道を引用する形で記事が配信されました。
過剰報道と「フォトライン」への苦言
最も早かったのは、TVデイリーの김지현 記者
8月 12日 TVデイリー
訳)なぜSUGAに「フォトラインの恥辱」を強要するのか/TVデイリー記事
欧米メディアでKカルチャーの記事を書いているキム・ジェハさん
8月19日に自身の個人メディアに執筆
キム・ジェハさんはこのあとのフォローアップ記事も書いています。
SUGAの 「パープ・ウォーク 」は必要なかった/キム・ジェハさんコラム
8月22日 パリマッチ
フランスの有力老舗メディア(写真週刊誌)から記事が出ました。
訳)偽情報、圧力...BTSのSUGAに何が起きているのか?/PARIS MATCH 記事訳
同日、韓国内で、スポーツキョンヒャン 강주일記者
【「イ・ソンギュンを忘れた?」BTSのシュガ加熱する取材競争に注がれた懸念】
こちらの記事は、韓国内の一般世論としても過剰報道だという声があることを指摘しています。
多くのネチズンはSNSとコミュニティに今回のシュガの飲酒運転事件と関連した過熱取材競争、過度な苦情提起と非難世論に懸念を示している。 シュガがスクーターに乗って飲酒運転をしたのはもちろん誤ったことだが、確認されていない誤報が飛び交い、むしろ捜査と報道に混乱を与えかねないという意見だ。
8月22日コリアヘラルド 主な論点はフォトラインの是非。
訳)有名人のフォトライン 恥の散歩か、平等な扱いか?/コリア・ヘラルド
インドは特にSUGAに同情的な記事が多かった印象です。
8月27日Elle India
訳)K-POPアイドルが直面する非現実的な期待と視線/ELLE インド版
同日 INDIA TODAY
海外記事の引用記事
海外での報道を受けて、「海外では~」という記事が韓国内で複数出ました。特に「パリ・マッチ」の記事のインパクトは大きかったようです。
8月23日【「誤報・圧力…BTSのシュガ、韓国マスコミの過度な標的になった」】ニューシス 이재훈記者
8.月30日【「SUGAの報道、韓国メディア裁判が過ぎる」…全世界から懸念の声】スポーツトゥデイ 김태형 기자
韓国社会論
最初の報道から3週間が過ぎ、過剰報道批判から韓国社会批判の声が出てきました。昨年末にあった「パラサイト」の俳優、イ・ソンギュンさんの自死も、このような声が出る背景にあるようです。
8月30日 国内新聞でコラム
韓国でKカルチャーの連載を一般紙で持っている韓国外大のイ・ジヨン教授が取り上げました。
訳)SUGAは誰のためのフォトラインに立ったのか/イ・ジヨン教授コラム
KPOPとは関わりが薄そうな筆者からも批判が出てきました
9月1日 地方紙
9月3日 朝鮮日報
9月4日 自動車専門家のコラム(既出)*7
訳)BTS・SUGAの飲酒運転、公平性を基にした規定が必要/キホ日報 コラム訳
「誤報」JTBC、制裁へ
【JTBC「シュガ飲酒スクーターCCTV」の誤報、放送通信審議委員会が重い懲戒手続き】メディア・オヌル 박재령 記者
- 9.2. 放送通信審議委員会がJTBCに関係者の意見陳述を満場一致で議決
- JTBCの製作陣が出席して質疑を受け、制裁が決定
- 法定制裁の可能性が高い。法定制裁は「注意」「警告」「プログラム訂正·修正·中止および関係者懲戒」「課徴金」等。放送局の再許可・再承認時の減点理由になる。
該当放送には放送審議規定14条「客観性違反」など苦情が多数……
審議委員らは、「明白な誤報だ」と強硬な立場を示した。 リュ·ヒリム委員長は「昨年、キム·マンベ録音記録を引用した放送局を審議する際、法定制裁を下した。 その後も確認されていないものを使った時は重い懲戒を議決している」と話した。 キム·ジョンス委員も「確認されなかった時は放送を出さないことが原則」とし「予測して報道するのは危険な行動」と話した。
参考情報
「飲酒運転」報道の比較
SUGAの報道が続いている最中にも、別の有名人などの飲酒運転事故についての報道は続きました。比較すると、報道、そして警察の手続きのうえでもダブルスタンダードが見えます。
8月19日【「飲酒運転」チャン·ウォンサム、「軽率だった」公開謝罪··· 飲酒後いつから運転してもいいのか】ヘルスチョソン
「この程度」って言ってもらえるし、謝罪を「弁明」って意地悪な見方されないし、メディアに「噓じゃないか」って疑われて捏造記事出されないんだもんな
— honeysoju⁷🍉 (@honeysoju7) 2024年8月19日
この人に恨みはありませんが、反応があまりに違いました。
8月20日【「飲酒運転」転覆事故の40代 地上波公開採用コメディアン送致···容疑認める】ニュース1
- 乗用車を運転し横転、ガードレールにぶつかる
- 病院の集中治療室に入院
芸能人の飲酒運転ですが、これで「匿名」報道。
8月22日【「第2のBTSシュガ?」電動キックボードに乗って事故に遭った現職警察、飲酒運転「ばれた」】ニューシス
- 現職警官による「電動キックボード」の飲酒運転。
- 倒れたまま発見→通報を受けて別の警察官が出動し、病院へ
- 酒の臭いがしたので測定「免許取り消し」レベル。
- 「匿名」報道。道路交通法違反で罰金(10万ウォン)賦課と運転免許取り消し処分
こちらは「事故」のなかみとしてはSUGAのケースとほぼ同じなのですが、処分が当日なのか翌日に出ているようで、SUGAの件での警察の処分手続きの遅さ、異常さも分かると思います。
8月26日【キム・ホジュン、来月30日に保釈審問…それまで拘束維持される見通し】聯合ニュース
こちらは5月に起きた相当な悪質事例で、ユンギの話の前にニュースを賑わせていました。
- 人気歌手の乗用車の飲酒運転
- 中央線を越えて反対車線のタクシーに衝突、逃走
- マネージャーを身代わりに自首させた
- 飲酒運転を否認していたが10日後に犯行認める
- 数値は測定できなかったので不明
- 身柄は拘束
このケースは「噓つき」って非難されても仕方がない。
ちなみに、5月の取り調べ時の「フォトライン」はこんな感じだったらしい。
この日、キム氏は取材陣が待機中の正門玄関を避けて地下駐車場に降りた。 一部の取材陣が接近してキム氏の姿を捉えようとしたが、警察は「ここに入ってきてはならない」と制止した。 調査は2時間ほど後の午後4時頃に終わったにもかかわらず、キム氏は「取材陣が撤収しなければ出ない」と話したという。
前例のない「被疑者帰宅拒否」を警察は6時間以上放置した。 江南署の関係者はキム氏がこの日、地下駐車場から非公開に出頭したことについて「いつも通りに進めたもの」と話した。
警察がやろうと思えば、取材陣の制止もできたんですね。
SUGAへのサポート
最後は少しでも気分良く終わろうと思います。この間、Weverseでの投稿やファンレター以外のサポートの動きです。
チャート
8月22日 Snoozeがデジタルチャートで返り咲き
23日【BTSのSugaがファンのお気に入りのヒット曲の波でiTunes侵入】
このチャートインはアミたちがSUGAへの応援の意味で呼びかけて実現したものですが、Forbesはその「事件」については一切言及していません。報道するに値しないという判断なんでしょうかね…?
韓国での報道はこちら
【BTS、シュガがビルボードチャートに再進入···「BTS is 7」応援】8月28日
9月4日 ビルボードのデジタルソングセールスで一位に「The Last」
Agust D's "The Last" re-enters this week's #WorldDigitalSongSales chart at No. 1. The song last appeared on the chart in March 2018.
— billboard charts (@billboardcharts) 2024年9月4日
It earns Agust D his 6th No. 1 on the chart and first since "Haegeum" in April 2023.
トップ10のうち7曲がユンギのソロとBTS
9月5日【「SUGA応援」ARMYたち、ビルボードに結集…逆走でチャート掌握】
グループBTSメンバーシュガの曲が逆走してビルボードチャートを掌握した。 電動スクーター飲酒運転事件で苦戦しているシュガを応援するために、グローバルファンクラブのARMYが集まって作った結果だ。
… 最近、ソウル龍山区に位置したハイブ社屋付近にもシュガーを応援する内容を盛り込んだ垂れ幕を掲げ、電光掲示板トラックを送って気持ちを表現した。
他のアーティストのファンという疑いを受けている一部の国内ネチズンが、ハイブにシュガの脱退を促すトラックデモを送ったことへの対抗…シュガを応援し、7人のBTSを応援するこの垂れ幕やトラックなどで…応援を続けている。
応援広告/チャリティー
9月2日【「ARMY、7人完全体を支持する」 ‘BTS is 7’】반경림記者
BTSファンダム「ARMY」が心を一つにして彼らの完全体を待ちながら惜しみない支持を送っている。
記事でも一部紹介されていますが、世界中のアミがBTSとSUGAのために様々な応援企画やチャリティープロジェクトを進行しました。こちらまとめ。
all the projects ARMY are doing for BTS and yoongi
— ✿❀cam❀✿⁷ loves yoongi (@camlovesyoongi) 2024年8月30日
🍊a thread🍊
↓
有名人たちの支持表明
EL CAPITXN/チャン・イジョン、PSY、ミン・ジン・リー(作家)、坂本美雨さん、レア・サロンガさんほかが、SNSなどで直接、間接にSUGAの支持を表明しています。
Billboardは2度目の謝罪を知らせる記事で直接応援。
Tetris Kelly:SUGA、君に失望なんて決してしないよ。ベストを尽くして兵役を全うすることを祈っています。
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9月1日【SUGA、信頼回復するのか…南米の広告に登場、ファンたちの応援続く】
こちらは、サムソンがBTSのアンバサダー契約を解除するのではないかという推測記事が出ていたのに対してのカウンター記事です。
BTS人気に影響なし
渦中に実施されたアンケート。
8月29日【歌王よりもBTS…防弾少年団、21世紀「最高の国民歌手」に】
スターニュースがリサーチ専門業者の韓国ギャラップに依頼し、19日から23日まで全国満19歳以上69歳以下の男女1052人を対象に実施したアンケート調査結果によれば、BTSは「最高の国民歌手·グループは誰」アンケート(2つ複数回答)で43%の得票率を得て1位を占めた。
… BTSは「国民グループ」というタイトルにふさわしく性別、年齢別、地域別、職業別に均等な支持を受けた。 特に年齢別では19~29歳(44%)、30代(39%)、40代(53%)に最も高い支持を受けた。
9月6日【BTSにライバルはいない..BTS、「21世紀最も受けたボーイグループ」第1位 (創刊20周年アンケート)】
同じアンケート
「最も愛されたKポップボーイグループは誰(21世紀デビュー基準)」アンケート(2つ複数回答)で74%の得票率を得て1位
2位と2倍以上の支持を得てトップ(2位BIGBANG 33%、3位SUPER JUNIOR 15%)
性別得票率は男女それぞれ74% 年齢別でも19~29歳67%、30代66%、40代76%、50代83%、60代74%と均等
後書き
冷静に事件を振り返ろう。 重罪でも犯したのか? 一人で数百メートル移動していて、人身事故を起こしたわけでもなく、直接自動車の飲酒運転でもない事件だ。 まだ若く、これに対する規定を知らずに行った事故ではないか。電動スクーターに関する規定を知っている国民は果たしてどれくらいいるだろうか?
キム・ピルス教授のこの結論に至るまで1カ月弱。時間がかかりすぎました。
まず、JTBCの「誤報」がありえません。この誤報のせいで印象が決まった部分があるのではないかと思います。なぜこんな誤報になったのか、きちんと説明して欲しいと思います。
また「電動キックボードではなく電動スクーターかもしれない」という話が出たときに、マスコミが本来するべきまともな仕事をして、「法的な分類はどうなっているのか」「一般の人も混乱してるのではないか」という記事が出るべきでした。
そういうファクトに対する取材をする代わりに「あいつは噓をついているのではないか」と推測記事ばかりが出たのが理解できません。
そしてその推測と煽りに乗った一部の世論やアンチに対して、私はとても怒っています。あとになってみればどれだけバカバカしい騒ぎであっても、当事者であるユンギにとっては大変つらい1カ月*8だったはずだからです。
この悔しさと怒りは忘れられそうにありませんが、本人はとにかく2025年に堂々と戻って来て、7人のBTSでまた活躍してほしいと思います。
★★★ 放送審議委員会の「制裁」追記(10/8追記)
JTBCの誤報について韓国の放送通信審議委員会で審議され、10/7に法定制裁である「注意」が議決されました。
방심위, JTBC 슈가 오보 법정제재…KBS '기미가요'는 행정지도 | 연합뉴스
放送通信審議委員会は7日、ソウル陽川区木洞の放送会館で全体会議を開き、BTS(BTS)シュガーの飲酒運転と関連して誤った内容を放送したJTBC「JTBCニュースルーム」に対して法定制裁である「注意」を議決した。
「JTBCニュースルーム」は8月7日の放送で他人の閉鎖回路(CC)TV映像をシュガの事故映像であるかのように報道し苦情が提起された。
JTBC側はこの日、意見陳述過程で「明らかに私たちの誤りによる誤報」として「二度とこのようなことが起きないよう三重に確認し、確認ができなければ報道しない」と謝った。
しかしカン·ギョンピル委員は「事実確認が不十分な程度ではなく、最初からなかったのではないかと思う」とし、キム·ジョンス委員は「再発防止対策も出てこなかった」と指摘した。
リュ·ヒリム委員長も「確認されていない映像が本物であるかのように放送したことは明白な誤り」とし「放送会社が謝罪したので法廷制裁の中で最も低い『注意』意見を出す」と話した。
★★追記ここまで
*1:例えば飲酒運転の被害者やその関係者が、このSUGAのケースに対しても「『許せない』という感情を持つべきではない」と言うつもりはありませんが、それはあくまで個人的な感情として対処すべき問題だと思います
*2:2020年、韓国記者協会の記事 「25年目の現職ジャーナリスト、チョン·ジェフンCBS記者だった。 政治部、経済部、社会部など様々な部署を経て法曹チーム長と文化体育部長などを歴任」
*3:韓国記事はほぼすべて記者名が出ていて、どんな記事を書いているかが一覧できますが、警察取材をしている社会部の記者なのか、芸能関連の記事を書いている記者なのかは、記事を読む上で参考になると思います。今回の「事件」の場合、警察からの情報が大切なのですが、芸能記者はほとんど警察取材をしていないうえ、法規についてもあまり詳しくないのではないかと感じました。本来は編集者(デスク)がそこを確認するものなんですけどね…
*4:独自の調査や取材を行わず、テレビ番組やSNS上の情報などのみで構成される記事
*5:こちらはメディアの報道ではなく、韓国政府の発表
*6:【「シュガ脱退」の総攻撃アカウント、実は「ARMY」を詐称したNCT·ミン·ヒジンのファン?】9月2日ミニトゥデイ
*7:ちらのキム・ピルスさんは、大きな交通事故などがあるとメディアで解説するなど、よく知られた方のようです。このコラムとJTBCへの懲戒の見通しの報道のあと、ネガティブな報道はほとんど出てこなくなりました。
*8:あまり言及できませんでしたが、どうも警察がこのような世論を横目にしてだらだらと処分を出すのを引き延ばしているのが気になります。どう考えても1カ月もかかる話ではないですから