『煙草』(たばこ)は、三島由紀夫の短編小説。三島が戦後に書いた短編小説で最も古いものである。学習院中等科に通っていた少年時代の「感覚的記憶」を題材・背景に、初めて吸った煙草の感覚と、その煙草をくれた上級生に同性愛的な恋心を抱く「私」の大人への精神構造変換の心境を綴った短編作品。終戦前に執筆した『中世』と共に川端康成の推薦を受け、戦後文壇への足がかりとなった作品である。また三島が自身の「四つの処女作」の一つとしている作品でもある。