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「ドラムンベース」の版間の差分

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2022年6月11日 (土) 08:49時点における版

ドラムンベース: Drum and bass)は、電子音楽ジャンルの内の1つ。主なBPMが160以上であり、高速で複雑なシンコペーションを用いたブレイクビーツサウンドにキックスネアベースを強調した重低音が特徴[1][2]。通常はサンプリングシンセサイザーを用いて制作される。略称としてDnBD&BD'n'Bなどがあり、別表記はDrum 'n' BassDrum & Bassなど。

概要

1990年代初頭にイングランドで生まれたジャングルが発展し1990年代半ばに生まれた。トラックはジャングルと同様にリズム、ベース、上音、ボーカルなどで構成されるがレコードからサンプリングされたドラムブレイクのみをリズムとして使用する事が大半だったジャングルと異なり、リズムマシンやサンプリングCD、ソフトウェアのクリアな音質のバスドラム(キック)やスネアも併用しリズムを構築しているのが大きな特徴でジャングルよりシンプルなリズムが多い。またベースの音色に多様性があるのも大きな特徴で、このリズムとベースの大きな変化、特に高音質化によってドラムンベースは音楽としての可能性を押し広げる事に成功した。

初期のプロデューサーは、LTJ Bukem英語版、The Invisible Man、DJ Hype英語版Goldie英語版、Fabio、Grooveriderなどが有名である[3][4][5][6][7]

ドラムンベースは主に160以上のBPMを用いているが、一拍(四分音符)を単位としてそのBPM通りに感じることでより上昇感・疾走感を強める方法と、二拍を単位としそのBPMの半分としてとらえることでゆったりとした感覚や空間的広がりを強める方法がある[3]

また1990年代半ばから後半にかけてドラムンベースのリズムを更に複雑化させたドリルンベースというジャンルも誕生している。ドリルンベースはSquarepusherが始めたとされ、Aphex Twinを始めとするコーンウォール一派が有名である。

2000年以降の動向

2000年以降になるとドラムンベースは新しい動向を見せるようになり、その要因として以下の3つに大別される[3]

一つ目はドラムンベース・アーティストの国際化。ブラジルからは DJ Marky & XRS が2002年に LK を大ヒットさせ、オーストラリアからは2003年以降 Pendulum が登場。その他にもニュージーランドからは MC Tali や Concord Dawn、オーストリアからは D.Kay、ドイツからはKabuki、オランダからはNoisia、そして日本からは Makoto がイギリスのドラムンベースシーンに台頭している[3]

二つ目は 「リキッド・ファンク」 と呼ばれるソフトなドラムンベースが新たなジャンルとして確立したこと。これには、2004年に大ブレイクした Artificial Intelligence、ロジスティクス、High Contrastといった新たな才能がリキッド・ファンクのスタイルを得意としていることが大きい。それまでは LTJ Bukem と FabioしかこのスタイルのドラムンベースをDJとして選曲しなかったが、今ではあらゆるDJがかけるようになっている。これを受けて、V Recordings が姉妹レーベルとして Liquid V を、さらにはハードな選曲で知られる DJ Hype が Liq-weed Ganja をリキッド・ファンク専門のレコードレーベルとして立ち上げている[3]

三つ目は、新しいアーティストによるスタイルの多様化である。Sub Focus、Chase and Status、Baron、Twisted Individualなどの登場により、上記のリキッド・ファンクだけでなく、レゲエ的要素、ラテン系音楽ジャズのようなベースラインを取り入れたものなどが導入されるようになった。

2007年以降は、もともとのドラムンベースの特徴である重低音ベースラインをより強調した音楽も見られるようになる。きっかけは、一般の家庭用スピーカーでは聞こえないほどの重低音ベースラインを得意とする Artificial Intelligence のブレイク。それ以降、ドラムンベースにおける低音域の下限がさらに下がり、クラブのスピーカーで聞かないと曲の良し悪しを味わえない度合いがさらに強まった[3]

2008年になるとペンデュラムがドラムンベースとロックの融合を打ち出し注目されている。

2009年、ドラムンベースの進化は遂にダーティ (dirty)、或いは、アシッド (acid) と形容されるものに達している。アシッドの形容詞が示すものは幻覚作用ある音色であるが、ハウスやジャズのアシッドと同様に変調させるものもあれば、より重低音を目指すもの、前述のドリルンベース様であったりするものもある。

2021年2月、ドラムンベースの楽曲の主なテンポである「1分間に174拍」にちなみ、4月17日を「ドラムンベースの日」として公式に承認することをイギリスのデジタル・文化・メディア・スポーツ省に求める署名活動が、ブリストルを拠点とするプロモーター The Blast によって開始された[8]

サブジャンル

アンビエント・ドラムンベース (Ambient drum & bass)
オーケストラル・ドラムンベース (Orchestral drum and bass)
サンベース (Sambass)、ブラジリアンドラムンベース (Brazilian drum and bass)
ドラムンベース特有のビートとベースに、ブラジルのサンバやソウルを組み合わせたジャンル。[9]
ジャズステップ (Jazzstep, Jazzy jungle)
ジャズの影響を受けたジャンルで、ジャズのメロディー・構成・楽器などを用いる。[10]
ジャングル (Jungle)[9]
ドラムンベースの起源となったジャンルではあるが、サブジャンルに含まれる場合がある。
ジャンプアップ (Jump Up)[9]
ダークステップ (Darkstep)
テックステップ (Techstep)[9]
ドラムステップ (Drumstep)、ハーフタイム (Halftime)[9]
ドリルンベース (Drill 'n' bass)
ニューロファンク (Neuro Funk)[9]
ハードステップ (Hardstep)
ラガ・ドラムンベース (Ragga drum & bass)
リキッドファンク (Liquid Funk)

日本におけるドラムンベース

1996年より、Drum & Bass Sessionsが本場イギリスのドラムンベースDJを積極的に日本に招致してきた。2001年からは、渋谷にあるクラブでパーティーが開催されるようになる。

主なアーティスト

  • 4 Hero
  • Danny Byrd Hospital
  • Logistics Hospital
  • London Elektricity Hospital
  • Pendulum
  • Roni Size Full Cycle
  • Talvin Singh
  • Brainshocker
  • T.Kay(ティ.ケイ)
  • Phace & Misanthrop
  • Octane & DLR
  • Ed Rush & Optical
  • Fabio(ファビオ)Creative Source
  • Lemon D(レモン ディー)Valve
  • DJ DIE(ダイ)Clear Skyz
  • MC Moose(ムース)
  • DJ Friction(フリクション)Shogun Audio
  • Bryan Gee(ブライアン・ジー)V Recordings
  • Dillinja(ディリンジャ)Valve
  • Shy FX(シャイ エフエックス)Digital Soundboy
  • Mampi Swift(マンピ スイフト)Charge
  • Grooverider(グルーヴライダー)Prototype
  • Photek(フォーテック)Photek Productions
  • LTJ Bukem(LTJブケム)Good Looking
  • Goldie(ゴールディー)Metalheadz
  • Andy C(アンディー・シー)Ram Records
  • Total Science(トータルサイエンス)C.I.A.
  • pentagon(ペンタゴン)
  • KABUKI(カブキ)
  • DJ Hype(ハイプ)Trueplayaz
  • DJ Zinc(ジンク)Bingo Beats
  • Tayla(タイラ)
  • TC a.k.a. Tommy Boy(ティー・シー)
  • Furney(ファーニー)
  • Redeyes(レッドアイズ)
  • Lenzman(レンズマン)
  • Utah Jazz(ユタジャズ)
  • Electro soul system(エレクトロソウルシステム)
  • Concept&shnek(コンセプト&シュネック)
  • Netsky
  • Sigma
  • Metrik
  • Wilkinson
  • Sub Focus
  • Mutt
  • Nookie(ヌーキー)
  • Qumulus
  • Qemists(ケミスツ)
  • Pete rann(ピートラン)
  • J laze(ジェイレイズ)
  • Zero T(ゼロティー)
  • Calibre(カリバ)
  • Saburuko(サブルコ)
  • Raw q
  • zyon base(ザイオンベース)
  • Alix perez
  • Phat Playaz(ファット・プレイヤーズ)
  • blade(ブレード)
  • tidal(タイダル)
  • pfm(プログレッシブ・フューチャー・ミュージック)
  • aquasion(アクアジオン)
  • chris inperspective(クリス・インパースペクティブ)
  • atp(エーティーピー)
  • dramatic&dbaudio(ドラマティック&ディービーオーディオ)
  • steez(スティーズ)
  • place42(プレース42)
  • edword oberon(エドワード・オベロン)
  • paul t(ポール・ティー)
  • mr. joseph(ミスター・ジョセフ)
  • big bud(ビッグ・バド)
  • soultec(ソウル・テック)
  • dv8(ディーブイ8)
  • arp-1
  • pennygiles
  • jrumhand
  • balde
  • deeper connection
  • scott alen
  • mjt
  • DJ Fresh
  • Feint
  • Noisia
  • Chase & Status
  • The Prototypes
  • Malux
  • Crissy Criss
  • Erb n Dub
  • Urbandawn
  • DJ AKi

関連項目

ドラムンベースステップウクライナ語版(ドラムンベースに合わせたダンススタイル)

出典

  1. ^ Jungle/Drum'n'Bass Significant Albums, Artists and Songs” (英語). オールミュージック. 2015年6月8日閲覧。
  2. ^ Video explains the world's most important 6-sec drum loop - YouTube
  3. ^ a b c d e f ukadapta ドラムンベースコラム2015年11月29日閲覧。
  4. ^ The Invisible Man”. Discogs. 2007年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月13日閲覧。
  5. ^ Steve Kent. “The history of drum and bass”. London News. 2007年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月13日閲覧。
  6. ^ Drum & Bass History”. Uploud. 2019年10月13日閲覧。
  7. ^ Ben Gilman. “A short history of Drum and Bass”. GLOBAL DARKNESS. 2019年10月13日閲覧。
  8. ^ 174 BPMにちなみ、4月17日を「ドラムンベースの日」として英国および世界中の公式の祝日とするための嘆願書への署名活動が展開中”. iFLYER (2021年3月3日). 2021年9月13日閲覧。
  9. ^ a b c d e f Murphy, Ben (2018年1月19日). “ドラムンベース サブジャンル A to Z”. RedBull.com. 2019年5月10日閲覧。
  10. ^ Jazzstep  (aka Jazz and Bass) - Music Genres - Rate Your Music”. 2021年2月4日閲覧。