3式機龍
3式機龍 | |
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ゴジラシリーズのキャラクター | |
初登場 | 『ゴジラ×メカゴジラ』 |
最後の登場 | 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』 |
作者 | 西川伸司(機龍) |
演 |
(『ゴジラ×メカゴジラ』制作当時における)現実でのロボット工学技術や、バイオテクノロジーなどの向上を反映した設定となっている[1][2]。また、特生自衛隊の所有兵器であるという設定から、機体コードだけでなく兵装の名称にも現実での自衛隊の装備品を意識した設定が用いられている。
概要
3式機龍(重武装タイプ) 3式多目的戦闘システム[出典 1] | |
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英字表記 | MFS-3 KIRYU[6] |
全長 | 60 m[出典 2][注釈 1] |
総重量 | 4万 t[出典 3] |
(高機動タイプ) | |
総重量 | 3万6千 t[出典 4] |
『ゴジラ×メカゴジラ』、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』に登場。
特生自衛隊が2003年に完成させたという設定ゆえ、「3式」の名を持つ。正式名称は「3式多目的戦闘システム」 (MFS-3 : Multi-purpose Fighting System - 3)。単に「
日本政府により、極秘裏に東京湾の千葉県館山沖の海底から1999年に引き揚げられた初代ゴジラの骨格[注釈 2]をメインフレームとして八王子・防衛庁技術研究所で製作された生体ロボット[出典 5][注釈 3]。操縦は、支援航空機「AC-3 しらさぎ」からの遠隔操作によって行われる[21]。首と腰部にある3か所のメンテナンスハッチ(それぞれMB1・MB2・MB3と呼ばれる)から本体に乗り込み、メンテナンスブースからの直接操縦もできるが、戦闘時に生じる加速や内部にかかるGは殺人的なレベルであり、直接操縦による任務遂行は事実上不可能である。
最大稼働可能時間は2時間程度で[10][4]、それを越える場合やエネルギーが尽きた場合、もっとも近い自衛隊基地からエネルギーをマイクロウェーブ方式で「しらさぎ」を経由して供給される。現場での応急修理が必要となった時のために前述のメンテナンスハッチとメンテナンスブースが備わっており、出入り口には搭乗者のための放射能除去装置が取り付けられている。この放射能除去装置は2003年時には備え付けのボタンで起動させる手動仕様だが、2004年時には新たに取り付けられた赤外線に触れることで起動する自動仕様に改修されている。
伝達システムには、DNAコンピュータが利用されている[出典 6]。このDNAコンピュータは当初、骨に残留していたゴジラの骨髄間質細胞を使用していたため、初陣ではゴジラの咆哮に共鳴したことで暴走し、しらさぎ3号機を墜落させてアブソリュート・ゼロ以外の全武装を使った結果、八景島周辺をエネルギーが尽きるまで破壊し尽くす大被害をもたらす。この反省から、のちにDNAコンピュータの塩基を修飾塩基に変えてゴジラと違うものにすることにより、暴走を回避する。改修前は目の表面はフラットであったが[24]、改修後はラインが細かく入れられている[23]。
ゴジラとの初戦ではゴジラの咆哮でDNAコンピュータが暴走するトラブルが発生するが、品川での決戦では右腕とアブソリュート・ゼロなど機体の37パーセントを失いながらも、引き分けた(『ゴジラ×メカゴジラ』)。また、その翌年には1年かけて改修が行われ、同時に大破したアブソリュート・ゼロから3連装ハイパーメーサー砲への換装、発射できるように改良された新型バックユニットの装備、そして右手にスパイラル・クロウを内蔵するなどの大幅な武装の見直しも図られ、高機動性能が向上した3式機龍〈改〉[出典 7][注釈 4]となる[注釈 5]。モスラを交えた戦いでの終盤、自我に目覚めてコントロールを離れ、幼虫モスラの糸で動けなくなったゴジラを抱えたまま飛行を開始すると、修理を行った整備員の中條義人にはメンテナンスブースのモニターを介して「SAYONARA YOSHITO」という最後のメッセージを送り、そのままゴジラと共に日本海溝深くに沈んでいった(『東京SOS』)。
バックユニットを装備した状態は「重武装タイプ」、切り離した状態は「高機動タイプ」と設定されているが[31][4][注釈 6]、劇中でこれらの呼称が用いられることはない。
- スーツアクターは『ゴジラ×メカゴジラ』では石垣広文[出典 8]、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では中川素州[35][3]。
- 予告編などで用いられた表現「超攻撃型メカゴジラ」は、後年の立体化の際[37]や衛星放送の際[38]、有料配信の際[39]にも用いられている。
- 『東京SOS』のラストシーンでは、特生自衛隊特殊生物研究本部のDNA貯蔵庫に多数の怪獣のDNAが保管されている様子が描写されており、書籍『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS超全集』ではメカゴジラ以外にも生体ロボットが開発可能であると記述している[40]。
- 『×メカゴジラ』でのオペレーターである家城茜役を演じた釈由美子にとっては最も思い入れのあるメカゴジラであり、その旨の発言は後年にもたびたび報じられている[出典 9]。
武装
- 99式2連装メーサー砲[24][44]
- 口内に装備されている小型メーサー砲[24]。単体での出力は低いが、メーサービームの共振作用によって90式メーサー車の240パーセントの破壊力に達する[22]。その威力は、顔や傷口などの急所に浴びせればゴジラでも大きくひるむほどである。
- 光線の色はゴジラの熱線との差別化で黄色に設定された[45]。
- 0式レールガン[24]
- 下腕部に装備される、高速連射が可能な電磁砲。改修後には、改良型の4式レールガンが同箇所に装備されている。威力は低く、おもに先制攻撃や牽制に使用される。
- メーサー・ブレード[24]
- 0式レールガンユニット内に格納されている小型の刃。突き刺して内部から電流を浴びせる。改修後の電磁砲からは削除された。
- バックユニット[44]
- 背部に装備される、重火器と大出力ブースターを内蔵したユニット。改修後はブルーからグレーのカラーリングに変わり、改修前を上下反転したようなイメージに変わっている[46][47]。茜の機転により、破損したユニットを強制排除する際にゴジラにぶつけた戦法が有効と評価されたため、改修後には大きく屈まなくても射出できるうえ、左右の片方ずつ撃ち出せるようにもなっており、自爆させることができる。1発目はゴジラの放射熱線で撃ち落とされるが、時間差で撃ち出された2発目が直撃して大爆発を起こし、ゴジラを一時ダウンさせた。
- 多連装ロケット弾
- バックユニットに内蔵されている大型噴進弾。MRL・2MkIVとも呼ばれる680ミリロケット弾、改修後には改良型が装備されている。『ゴジラ×メカゴジラ』では87式[24]、『東京SOS』では04式をそれぞれ装備。
- 95式470mm多目的誘導弾[24]
- バックユニットに内蔵されている、曲射弾道タイプの小型誘導弾。零距離で組み合いながら発射したり、ビルを盾にしながら発射するなどの曲射でゴジラを翻弄する。改修後には、98式320ミリ多目的誘導弾も装備される。
- 3式絶対零度砲(アブソリュート・ゼロ[出典 10])
- 胸部ハッチ内に装備されている、機龍の最終兵器。-273.15℃という絶対零度の光弾を発射し、直撃した物体を一瞬で凍結するうえ、わずかな衝撃で分子規模まで破砕する[22]。きわめて強力であるが、発射にはエネルギーの約40パーセントを消費することから[22]、多用はできない。ゴジラと組み合ったまま零距離で発射され、殲滅には失敗するものの胸に大きな傷を負わせ、撃退に成功する。ただし、右腕もろとも心臓部である巨大な共有結合性結晶(人工ダイヤモンド)をこの戦闘で破損したうえに防衛予算の都合が付かなくなったため、修復は断念される。
- 4式対獣掘削装置(スパイラル・クロウ)[出典 11]
- 改修後の追加武装。ゴジラとの戦いで大破した右手を完全に機械化して修復する際、追加された。指がまとまり、さらに変形してドリルとなる。ゴジラの皮膚を貫き、高速回転でえぐることで大ダメージを与えた。
- 3連装ハイパーメーサー砲[出典 12](4式3連装ハイパーメーサー砲[25])
- 改修後の追加武装。アブソリュート・ゼロの代用として胸部に装備された。総合的な攻撃力は大幅に低下したものの、2連装メーサー砲と同時発射し、スパイラル・クロウでえぐった傷口を集中的に攻撃することでゴジラを戦意喪失にまで追い込み、結果的には雌雄を決する決定打につながる。なお、ハッチにはクローが装備されており、ゴジラを抱える際に用いられた。
- ワイヤー
- 『東京SOS』で使用。機体各部から射出されるアンカー付きのワイヤー[46]。ゴジラを自身に束縛する際に用いられた。
制作
製作の富山省吾によれば、メカゴジラはvsシリーズのころからキングギドラやモスラに次ぐ人気怪獣であったといい、2000年ごろからメカゴジラのリニューアルを検討していた[52]。その後、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)が大ヒットとなったものの、様々な要因から次回作の製作がすぐには決定せず、富山は以前から温めていたメカゴジラで勝負に出ることにしたと語っている[52]。
『×メカゴジラ』で脚本を務めていた三村渉が当時企画していたアンドロイドの娼婦もの『機械娼館』の中での造語「機娼」を流用して機械の龍である「機龍」となった[53]。シナリオ準備稿での正式名称は「03式機龍」であったが、陸自方式に従うと読みが「マルサン式機龍」になることから、いささか座りが悪いと思い、「3式機龍」となった[48]。
富山は、メカゴジラがゴジラの姿をしている理由をきちんと説明できるものにしたいと考え、「ゴジラの骨」を用いるという案に至った[52]。このアイデアは、『ゴジラvsスペースゴジラ』の準備稿であった『ゴーストゴジラ』にもあり、富山もそれが面白いと思っていたため、ゴジラの骨を基にした機龍につながった部分はあるという[54]。当初は『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(2000年)の続編とする案も存在したが、同作品では初代ゴジラが死んでおらず、ゴジラの骨の設定が使えないため、不採用となった[52]。
富山は、メカゴジラに搭乗して操縦するのはありがちでアニメ的になってしまうとの考えから、遠隔操縦という設定とした[52]。また、三村は『vsメカゴジラ』との差別化も意図していたことを語っている[55]。
デザイン
デザインは西川伸司[出典 13]。西川は『vsメカゴジラ』でもメカゴジラのデザイン案を提出している[58][63]。『×メカゴジラ』のデザイン選考はコンペ形式で行われ、ほかに山中和成や若狭新一が依頼した酉澤安施、丸山浩、三枝徹らが参加していた[出典 14][注釈 7]。西川のデザインは、自身の長男が複数の中から選んだものであるという[60]。初稿は直立姿勢だったために監督の手塚から人間っぽいと言われ[51]、第2稿は前傾姿勢で描かれたが、第3稿も顔のチューブが酸素吸入器のようだと言われ、第4稿の頭部デザインを丸山が変更したものが最終決定稿となった[60]。
以前のメカゴジラよりもさらに機械的なデザインだが、先代2種との形状での一番の大きな違いは、尾が短く基本的に無可動だった以前のメカゴジラに比べてより長くなっている[出典 15]。西川は、『vs』のメカゴジラが全体の印象を初代と変えていながら細部が共通していたのに対し、機龍では初代を思わせる顔つきでありながら角の向きや尾の長さなど細部を変えることで差別化を図っている[61]。『vsメカゴジラ』のメカゴジラが曲線を多用していた体表で構成されていたが、『×メカゴジラ』にて特殊技術を務めた菊地は昭和のメカゴジラが好きであったため、西川には直線的かつシャープで動きやすそうな感じにしてほしいといったとい、菊地が自ら作った粘土製の頭部の原型を打ち合わせに持参したという[57][68]。当初は尾の先端を回転兵器としてデザインしていたが、リアリティを考慮してオミットされた[69]。
西川は、設定にある素体の筋肉や骨は直接的に見せず、骨格のイメージを外装の形や配置にも反映させており、脊椎や肋骨のイメージを取り入れている[出典 16]。腰部は人型に見えないようパイプによりボリューム感を出しつつ、アクションの要ともなるため動きの邪魔にならないよう考慮している[62]。また、内部に生体組織が詰まっていることから、旧来のような内蔵型の武装は無理だと考え、バックパックユニットを設定し、バーニヤも足の裏ではなく空間が取れる太腿部に設置した[出典 17]。バックユニットはパトリオットミサイル、腕部レールガンはアサルトライフルをイメージしていた[70][62]。装甲が外れた骨と筋肉で構成される内部構造もデザインされていたが、これを見たプロデューサーの富山省吾からは、「グロテスクにならずに気持ち悪くせず純粋にかっこいいメカにしてくれ」と要望されたという[60][70]。
頭部は、当初耳から鼻にかけてパイプが這うデザインとなっていたが却下され、それにカバーをかけたような形状に修正された[57][61]。歯は、初代ゴジラの頭蓋骨のものが露出している構造となっており、口を閉じた時は初代メカゴジラのような直線的な歯に見えるよう側面に溝が掘られている[69]。首元には、可動式のパイプを設置し、首の動きを強調している[70]。また、その受け部分を末広がりにすることで、ミレニアムゴジラの特徴である首元のヒダを模している[70]。目の下の赤いラインは、暴走時に赤く目の色を変えることで、血の涙が流れるように見せたかったという[60]。検討デザインでは、ゾイドのようなテイストが入った顔も描かれた[60]。
『東京SOS』でも、西川によるデザインが起こされている[出典 18]。ただし、この時はコンペではなかったという[46]。設定上の改修部だけでなく、肩の構造の修正やゴジラ捕獲用アンカーの追加なども行われた[71][73]。右目を中心に破損した状態の頭部も西川によってデザインが描かれている[71][46]。右手には骨が入っていないため、ゴツくないと力や強度が出せないと思い、強化パーツを付けたという[46]。胸部を換装式カートリッジにする案[72]や、右腕に銃器を装備する案なども存在した[73]。0式レールガンはデザイン段階では実弾銃という想定であったため、新規にデザインされた4式レールガンはよりレールガンらしいものとして描かれた[73][62]。西川は、ゴジラ以外の怪獣で初めて同一キャラクターのデザインや造形を見直すことができたといい、一般の人から見てわかりにくいものでも細かいところまで修正し、デザイナーとして納得のいく作業ができたと語っている[71]。
『東京SOS』の劇中での内部3面図は、酉澤安施が執筆した[46][74]。図解はスーツの写真を元に描き起こし、外装があるものも描かれた[60]。酉澤は、機龍とゴジラの背びれの形状が一致しないため、苦心したという[46]。
機龍〈改〉のデザイン画は逆版することを前提に描かれ、左胸の「MFS-3」のマークも左右反転した形で右胸に書かれている[75]。
造形
- 『ゴジラ×メカゴジラ』
- スーツは頭部と胸部などはFRP製[77][19]で、そのほかはアクションに特化するように硬質ウレタンが使用された[77][47]。動きの少ないシーンやアップシーンなどで主に使われたメインスーツと、動きの激しいシーンやバトルシーンなどで主に使われたアクション用の2種類が制作された[出典 20]。アクション用ではウレタンの比率を多く使用し、動きやすくしている[出典 21]。上半身、下半身、脚部が分割された構造となっており、機動性が高くなっている[49][59]。アームユニットとバックユニットは取り外しが可能だが造形物は重く、スーツアクターの石垣はこれらを取り外すまでは動きづらかったという[出典 22]。ダメージパーツはあらかじめ準備されており、部分的に撮影スケジュールに応じて差し替えられる[77][47]。アブソリュート・ゼロ発射時の胸パーツも別造形となっている[77]。検討用モデルでは、バックユニットもボディと同色であった[56]。
- ジャイアントスイングの回転シーンやゴジラを抱えて飛行するシーンでは、1/2モデルが使用された[82][77]。操演の鳴海聡によれば、当初はジャイアントスイングをスーツで撮影しようとしていたが、撮影を行った第9スタジオの広さでは無理だったと述べている[83]。
- 飛行シーンなどではフルCGの機龍が使用された[1][84]。また、ブースターなど部分的にもCGが使用されている[1][84]。バックユニットから発射されるミサイルやロケット弾は、フルCGで描写された[84][48]。3DCGは、マリンポストが担当[83]。同社の粟津順は、表面がツルッとしているので前作のゴジラよりはポリゴン数が少なかったものの、構造が複雑であることから苦労したという[83]。
- 本編セットでは、操縦席となるメンテナンスブースと、乗り込み口、その間の通路が制作された[85]。美術の瀬下幸治は、胸部にはアブソリュート・ゼロを内蔵していることから、メンテナンスブースは首にあるものと想定し、2畳ほどの狭いセットとした[85]。手塚からはあくまで点検のための設備であるとして簡易的な椅子とシステムを要望され、瀬下は『機動警察パトレイバー』のレイバーをイメージして制作したが、手塚の希望はもっとアナログなものであったようだと述懐している[85]。
- 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』
- 『東京SOS』のスーツは前作のものを改修している[出典 23][注釈 8]。武装やバックパックはデザインを一新しているため、完全新規造形となっており、右腕、胸、尻尾の先なども改良が加えられた[64]。改修部のデザインも西川が担当しており[46][88]、格闘戦を重視するため、前作よりも軽量化が図られた[76][86]。配色は、ガンメタリック系となった[88]。メンテナンスブースのハッチ付近には、実物大の首部分のセットが用いられた[89]。ドックのミニチュアも前作の流用である[出典 24]。ドック用のスーツは前作のメインスーツを改造しており、中には人が入らずマネキン人形を入れている[91]。飛行シーンでは、1/2サイズの遠景用モデルを用いている[91]。
- 機龍隊の控え室に飾られていたのは、スーツ製作前に検討用マケットとしてスタートレインが製作した雛形である[78]。
- 3DCGは、前作のデータを流用しつつも、デザインの変更部分を改修しているほか、前作ではロング用のみであったのに対し、本作品ではアップが多いためテクスチャーを作り直している[92]。CG製作を担当したマリンポストの道木伸隆は、苦労した点としてスーツと切り替えるカットで質感を合わせることを挙げている[92]。また、機龍の着地シーンの合成を担当した日本映像クリエイティブの松岡勇二は、前作のノウハウは活かせたものの、カットごとにバーニアの演出が異なり、数も多かったため苦労した旨を語っている[92]。
- 本編セットでは、メンテナンスブースと通路のほか、義人が修理を行う目元や作業ハッチなども制作された[93]。メンテナンスブースのモニターは大きくなり、通路の放射能除去装置に人感センサーを設けるなど、前作よりもディテールを強化している[93]。
撮影・演出
- 『ゴジラ×メカゴジラ』
- 富山や菊地は、『×メカゴジラ』でのゴジラと機龍の戦いを宮本武蔵と佐々木小次郎に例えている[52][94]。また、菊地はゴジラと機龍の戦いでウルトラマンもイメージしたといい[94]、石垣は撮影でウルトラマンのポーズを要求されて戸惑ったこともあったと述べている[77]。
- セットの照明でグリーンのライティングを用いていたことなどから、合成ではデジタルに適したグリーンバックではなく、ブルーバックを用いている[83]。機龍には青いパーツも存在するが、厳密には濃いパープル系であったことから、問題はなかったという[83]。
- バストショットなどのアップ撮影の場合は、ボディの下部分や脚部を外している[48][49]。
- 暴走した機龍がビルに突っ込むシーンでは、石垣がビルの破片を踏みそうになって手をついてしまっている[77]。石垣は、体だけで思いっきり突っ込みたかったが、スタッフが10日ほどかけて準備しているのを見ていたため、つまずいてNGを出さないことを優先したといい、その後の自身がスーツに入っていない停止した機龍のカットが良かったため、余計に悔しかったと述懐している[77]。一方、ゴジラ役の喜多川務は、この時の石垣の演技を高く評価している[77]。
- ゴジラをジャイアントスイングで振り回すシーンはミニチュアによるが、放り投げる瞬間は、スーツの機龍が回転盤の上に乗り、人が入らずに吊られたゴジラのスーツを掴んでブルーバックで撮影している[77]。石垣は、動きが上手くいかず、回転盤から落ちたり、ワイヤーにスーツの部品が引っかかって飛んでしまうなど、苦労した撮影であったことを語っている[77]。また、合成を担当した日本映像クリエイティブの松岡勇二によれば、当初はCGで竜巻のエフェクトを作る予定であったが、ファンタジーすぎてしまうため、リアリティのある描写に改められた[83]。
- 最もNGが多かったのはゴジラが咥えたしらさぎをもぎ取るシーンで、石垣によればゴジラの口を開ける操作とスーツの動きのタイミングが合わず、撮影に20時間ほどかかってしまったという[77]。
- クライマックスでは、高機動型がゴジラへ空中で縦回転しながら体当たりを放つシーンが撮影されたが、イメージに合わずカットされた[95][48]。手塚は、当初は機龍は飛行しない予定であったと証言している[96]。
- 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』
- 特殊技術の浅田英一は、生体ロボットであることから、機械的なイメージで描きたかったが、どういうふうに内包されているDNAが作用するのかを最後に見せたかったという[97]。
- ドックは、大きさを出すために機龍本体を少し暗くしてよくわからないようにしており、周囲は小さなライトを下から継ぎはぎで当てている[32]。
- 機龍の攻撃はミサイルがメインで、口内メーサーは単独での発射は1回のみとなっている[92]。絵コンテを担当した西川は、劇中の経過時間が半日程度のため、装備をじっくり見せることができず、次から次に新兵器を出していくというかたちになったと述べている[62]。
- ラストの「SAYONARA YOSHITO」の表示は決定稿にはなく、手塚により追加された[98]。手塚は、このメッセージがなければ義人は機龍を手放せなかっただろうと語っている[98]。共同脚本の横谷昌宏によれば、義人が機龍に乗り込んでからのシーンはプロットでも詳細が描かれず、脚本でも二転三転し手塚とともに悩んだが、手塚がこのような描写にしたことに意表を突かれ、ベタな演出ながら泣いてしまったという[99]。義人役の金子昇も演じていてぐっときたと述べている[100]。
備考
現実における商品名や表記には揺れがあり、メカゴジラ2002 / メカゴジラ2003との商品名[101][102]や、三式機龍との表記[出典 25]も見られる。
デザインや設定については、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』からの影響が指摘されている[62]。西川は、歴代のメカゴジラでも『マジンガーZ』や『機動戦士ガンダム』などロボットアニメにおけるデザインの進歩の影響を受けていたといい、この時期の作品が『エヴァ』に行くのは必然であったと述べている[62]。なお、フィギュアなどでは、エヴァンゲリオンとのコラボカラーも発売されている[102]。
脚注
注釈
- ^ 書籍『東宝特撮メカニック大全』では、「66メートル」と記述している[19]。
- ^ シリーズ第1作『ゴジラ』(1954年)で、オキシジェン・デストロイヤーによって倒された初代ゴジラの骨をベースにしたという設定[3]。同作品では、初代ゴジラは骨まで溶けて跡形もなくなるという描写もあるが、『ゴジラ×メカゴジラ』では全身の骨格が残っていたという設定に改変されている[2]。
- ^ 書籍『ゴジラ×メカゴジラ超全集』では、サイボーグ兵器と記述している[22]。
- ^ 書籍によっては「改修型」と記述している[29][30]。
- ^ ただし、本体のDNAコンピュータの修復はまだ未完の状態だったため、動作の反応が鈍くなっているなどの不具合が起きている。
- ^ 当初は「ノーマルタイプ」「武装タイプ」という名称案であったが、助監督の清水俊文は武装を外すと弱くなったように思われると考え、「高機動型」「重武装型」を提案して採用された[32][31]。
- ^ ただし、書籍によっては、三枝のデザインはコンペとは別の機会に出したとされるものもある[64]。
- ^ 造形プロデューサーの若狭新一は、頭部のみ前作の型から作られ、それ以外は新規造形であると証言している[47][87]。
出典
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