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アスクビクターモア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アスクビクターモア
2022年菊花賞(鞍上:田辺裕信)
欧字表記 Ask Victor More[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 2019年4月1日[1]
死没 2023年8月8日(4歳没)
抹消日 2023年8月8日
ディープインパクト[1]
カルティカ[1]
母の父 Rainbow Quest[1]
生国 日本の旗 日本北海道千歳市[1]
生産者 社台ファーム[1]
馬主 廣崎利洋吉田照哉
名義は「廣崎利洋HD(株)」[1][2]
調教師 田村康仁美浦[1]
競走成績
生涯成績 12戦4勝[1]
獲得賞金 3億4527万5000円[1]
WBRR E117 / 2022年[3]
勝ち鞍
GI 菊花賞 2022年
GII 弥生賞ディープインパクト記念 2022年
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アスクビクターモア(欧字名:Ask Victor More2019年4月1日 - 2023年8月8日)は、日本競走馬[1]。主な勝ち鞍は2022年菊花賞弥生賞ディープインパクト記念

馬名の意味は、冠名+「勝者」+「より多くの」(共同所有馬に用いる冠名)[2]

戦績

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デビュー前

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2019年4月1日、北海道千歳市社台ファームで誕生。2020年のセレクトセール1歳馬市場で廣崎利洋HD(株)に税込1億8,700万円で落札され、社台ファーム代表である吉田照哉と廣崎が共同で所有。育成の後、美浦田村康仁厩舎に入厩した。

2歳(2021年)

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6月26日の2歳新馬戦東京芝1800m)に戸崎圭太鞍上で出走。1番人気に推されたが、レースはのちに皐月賞を制するジオグリフの3着に敗れた[4]。その後、9月20日中山の2歳未勝利戦で1着となり初勝利を挙げた。

3戦目は10月23日に行われたアイビーステークス (L) を選択。ここでも1番人気に推されたが、結果はドウデュースの3着だった[5]

3歳(2022年)

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年明け初戦で、田辺裕信に乗り替わりとなった平場の1勝クラス戦は1番人気に応えて1着となり、2勝目を挙げた[6]

続いて3月6日の弥生賞ディープインパクト記念に引き続き田辺とのコンビで出走。アイビーステークスで自身を3着に下し、無敗で朝日杯フューチュリティステークスを勝利してJRA賞最優秀2歳牡馬に選ばれた先述のドウデュースが人気を集める中、3番人気に推された。レースではスローペースを2番手で折り合うと、直線で先頭に立ち、最後は好位から脚を伸ばすドウデュースの追撃をクビ差で凌ぎきり優勝、重賞初制覇を果たした[7][8]。本馬は同レース出走馬唯一のディープインパクト産駒であり[8]、父の産駒は弥生賞通算7勝目でサンデーサイレンスを超える最多勝となり、また産駒の出走機会6連勝となった[9]

続いて、4月17日の皐月賞に出走。6番人気に推されたレースでは、内枠から逃げる形。終始デシエルトのプレッシャーを受けながらも最後まで踏ん張って5着に入賞した。鞍上の田辺は「デシエルトが行くと思っていたが、ゲートの出が良く相手もいなかったのでハナへ。注文がつかない馬なので、先生とも逃げるのもありと話していた。馬の能力を改めて感じたので次につなげたい」と振り返った[10]

5月29日に行われた東京優駿に出走。7番人気で迎えたレースでは軽快に飛ばすデシエルトを見ながら離れた2番手を追走し、4角手前で進出を開始してラスト400メートルで先頭に立つ。最後は外からドウデュースイクイノックスにかわされたものの、しぶとく3着に食い込んだ[11]。鞍上の田辺は「切れ味勝負は分が悪いので、ある程度、積極的にと考えていました。直線で余力があり、チャンスはあるかと思ったが、坂を上がって差されてしまいました」「負けたけど収穫のあるレースでした」と振り返り、管理する田村康仁調教師は「作戦通りに乗ってくれました。例年のダービーならこの時計は勝っている。悔いはないです」と評価した[12]

3歳秋初戦として、9月19日に行われたGIIセントライト記念に出走。1番人気で迎えたレースでは、スタートを決めると好位3番手から手応えよく直線へ。3番人気ガイアフォースと馬体を併せ残り100メートルほどで前に出たが、ゴール前で差し返されアタマ差の2着に敗れた[13]

10月23日に阪神競馬場で行われたクラシック最終戦であるGI菊花賞(阪神11R・芝内3000m)に出走。65年ぶりに皐月賞と東京優駿の連対馬が不在のレースとなり、先述のガイアフォースに次ぐ2番人気に支持された。レースでは58秒7のハイラップで逃げたセイウンハーデスの2番手につけ、2周目の3・4コーナー中間で先頭に立ち、7番人気ボルドグフーシュの追い上げをハナ差凌ぎGI初制覇を果たした。鞍上の田辺裕信、本馬を管理する田村康仁調教師は共に菊花賞初制覇であった。勝ちタイム3分02秒4は2001年の阪神大賞典ナリタトップロードが記録した時計を0.1秒上回るコースレコードとなった[14]ディープインパクト産駒は種牡馬歴代最多となる菊花賞5勝目かつ、種牡馬歴代最多となるクラシック競走24勝目となった[15]。鞍上の田辺は「今日は目標とされる立場で、馬の力を信じて自分で動かしていったので、よく凌ぎ切ってくれました。抑え込むよりもマイペースでいたいと思い、ついていくにしては速いペースでしたが、馬が力まないように気をつけて走りました。」「まだ若い馬ですし、これから強い相手と戦うことも多々あると思うので、まだまだパワーアップして、もっともっとGIを勝ってほしいです」とコメントした[16]

4歳(2023年)

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明け4歳は3月25日に中山競馬場で行われる日経賞で始動し、4月30日に京都競馬場で行われる春の天皇賞に向かうローテーションを田村調教師が2月22日に明らかにした[17]。田村調教師は「きょう(22日)入厩しました。馬体は20キロほど増えていますが、全然重くない。全体的にボリュームアップしています。山元(トレーニングセンター)の場長からも〝自信を持って送り出せます〟と。状態はいいですね。有馬記念を意識して中山芝2500メートルを使いたかった」とコメントしている[17]

しかし、日経賞は9着、その後の春の天皇賞は11着と敗れ、宝塚記念11着を最後に休養となった。

秋への再起に向けて英気を養っていたものの、8月8日、休養中の放牧先で熱中症による多臓器不全を発症し、死亡した[18][19]

競走成績

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以下の内容は、JBISサーチ[20]およびnetkeiba.com[21]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順 タイム
(上がり3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬(2着馬) 馬体重
[kg]
2021.06.26 東京 2歳新馬 芝1800m(良) 10 8 10 001.90(1人) 03着 R1:48.5(33.8) -0.3 0戸崎圭太 54 ジオグリフ 468
0000.09.20 中山 2歳未勝利 芝1800m(良) 13 7 10 002.30(2人) 01着 R1:49.1(34.1) -0.2 0戸崎圭太 54 (アサヒ) 468
0000.10.23 東京 アイビーS L 芝1800m(良) 8 2 2 002.20(1人) 03着 R1:49.4(34.2) -0.1 0戸崎圭太 55 ドウデュース 468
2022.01.05 中山 3歳1勝クラス 芝2000m(良) 9 8 8 001.90(1人) 01着 R2:01.9(34.1) -0.0 0田辺裕信 56 (レヴァンジル) 478
0000.03.06 中山 弥生賞ディープ記念 GII 芝2000m(良) 11 8 10 006.70(3人) 01着 R2:00.5(35.2) -0.0 0田辺裕信 56 (ドウデュース) 474
0000.04.17 中山 皐月賞 GI 芝2000m(良) 18 1 2 009.90(6人) 05着 R2:00.1(35.3) -0.4 0田辺裕信 57 ジオグリフ 474
0000.05.29 東京 東京優駿 GI 芝2400m(良) 18 2 3 024.70(7人) 03着 R2:22.2(35.3) -0.3 0田辺裕信 57 ドウデュース 472
0000.09.19 中山 セントライト記念 GII 芝2200m(稍) 13 5 7 002.60(1人) 02着 R2:11.8(35.0) -0.0 0田辺裕信 56 ガイアフォース 476
0000.10.23 阪神 菊花賞 GI 芝3000m(良) 18 7 14 004.10(2人) 01着 R3:02.4(36.9) -0.0 0田辺裕信 57 ボルドグフーシュ 476
2023.03.25 中山 日経賞 GII 芝2500m(不) 12 7 9 002.30(1人) 09着 R2:39.4(38.2) -2.6 0田辺裕信 58 タイトルホルダー 482
0000.04.30 京都 天皇賞(春) GI 芝3200m(稍) 17 3 6 006.90(4人) 11着 R3:18.0(36.7) -1.9 0横山武史 58 ジャスティンパレス 482
0000.06.25 阪神 宝塚記念 GI 芝2200m(良) 17 6 12 014.30(4人) 11着 R2:12.3(36.5) -1.1 0横山武史 58 イクイノックス 480
  • タイム欄のRはレコード勝ちを示す

血統表

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アスクビクターモア血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サンデーサイレンス系
ヘイロー系
[§ 2]

ディープインパクト
鹿毛 2002 北海道早来町
父の父
*サンデーサイレンス
青鹿毛 1986
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
父の母
*ウインドインハーヘア
鹿毛 1991
Alzao Lyphard
Lady Rebecca
Burghclere Busted
Highclere

*カルティカ
鹿毛 2007 イギリス
Rainbow Quest
鹿毛 1981
Blushing Groom Red God
Runaway Bride
I Will Follow Herbager
Where You Lead
母の母
Cayman Sunset
栗毛 1997
Night Shift Northern Dancer
Ciboulette
Robinia Roberto
Royal Graustark
母系(F-No.) (FN:1-l) [§ 3]
5代内の近親交配 Hail to Reason 4×5, Northern Dancer 5×4 [§ 4]
出典
  1. ^ [22][23]
  2. ^ [24][23]
  3. ^ [22][23]
  4. ^ [22][23]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o アスクビクターモア”. JBISサーチ. 2023年6月25日閲覧。
  2. ^ a b 【日本ダービー われかく戦う】アスク・廣崎利洋オーナーが初ダービーに2頭で挑む 「今が一番幸せ」サンケイスポーツ、2022年5月23日、同日閲覧
  3. ^ The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2022”. 国際競馬統括機関連盟. 2023年1月18日閲覧。
  4. ^ “【東京5R新馬戦結果】ジオグリフが差し切り新馬勝ち”. netkeiba.com. https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=189488 2022年3月6日閲覧。 
  5. ^ “【アイビーS結果】武豊騎手騎乗ドウデュースが抜け出して出世レースを制す”. netkeiba.com. https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=194715 2022年3月6日閲覧。 
  6. ^ “【3歳1勝クラス】(中山5R) アスクビクターモアが人気に応えて2勝目”. 競馬実況web (ラジオNIKKEI). https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/post_25448.html 2022年3月6日閲覧。 
  7. ^ “【弥生賞ディープ記念結果】アスクビクターモアがドウデュースを振り切って重賞初V”. netkeiba.com. https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=200503 2022年3月6日閲覧。 
  8. ^ a b “唯一のディープ産駒アスクビクターモアが重賞初制覇 田辺騎手「まだまだ成長途上」/弥生賞”. 日刊スポーツ. https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=4&id=202203060000542&year=2022&month=03&day=06 2022年3月6日閲覧。 
  9. ^ “【弥生賞】ディープインパクト産駒が父サンデー超え7勝目&出走機会6連覇達成”. netkeiba.com. https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=200509 2022年3月6日閲覧。 
  10. ^ “【皐月賞】アスクビクターモア5着 内枠から逃げて意地、田辺は手応え”. スポーツニッポン. https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2022/04/18/kiji/20220417s00004000806000c.html 2022年4月20日閲覧。 
  11. ^ “【日本ダービー結果】ドウデュースがV!武豊騎手は前人未到6度目のダービー制覇!”. netkeiba.com. https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=203596 2022年9月21日閲覧。 
  12. ^ “【日本ダービー】アスクビクターモア 胸張る3着 田辺「収穫のあるレース」”. デイリースポーツ. https://www.daily.co.jp/horse/2022/05/30/0015343597.shtml 2022年9月21日閲覧。 
  13. ^ “【セントライト記念結果】ガイアフォースがアスクビクターモアとの競り合いを制す 父キタサンブラックと父子制覇”. netkeiba.com. https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=207846 2022年9月21日閲覧。 
  14. ^ “【菊花賞】迷わず行けよ! 超ハイペースを2番手で進んだアスクビクターモア田辺の〝覚悟〟”. 東スポ競馬. https://tospo-keiba.jp/breaking_news/22089 2022年10月24日閲覧。 
  15. ^ “【菊花賞結果】アスクビクターモアが横綱相撲で押し切りV!ディープ産駒はクラシック歴代最多24勝目”. 株式会社ネットドリーマーズ. https://news.sp.netkeiba.com/?pid=news_view&no=210870 2022年10月24日閲覧。 
  16. ^ “【菊花賞レース後コメント】アスクビクターモア田辺裕信騎手ら”. 株式会社ネットドリーマーズ. https://news.sp.netkeiba.com/?pid=news_view&no=210889 2022年10月24日閲覧。 
  17. ^ a b アスクビクターモアは日経賞から天皇賞・春へ 年末の有馬記念も意識」『サンケイスポーツ』2023年2月22日。2023年2月22日閲覧。
  18. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2023年8月9日). “昨年の菊花賞馬アスクビクターモアが急死”. サンスポZBAT!. 2023年8月9日閲覧。
  19. ^ 昨年の菊花賞馬アスクビクターモアが熱中症による多臓器不全で急死”. 日刊スポーツ (2023年8月9日). 2022年8月9日閲覧。
  20. ^ 競走成績:全競走成績|アスクビクターモア”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2023年6月25日閲覧。
  21. ^ アスクビクターモアの競走成績”. netkeiba.com. Net Dreamers Co., Ltd.. 2023年6月25日閲覧。
  22. ^ a b c 血統情報:5代血統表|アスクビクターモア”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年2月27日閲覧。
  23. ^ a b c d アスクビクターモアの血統表”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2022年2月27日閲覧。
  24. ^ アスクビクターモア - Ask Victor More - 競走馬データベース”. 競馬ラボ. 2022年3月11日閲覧。

外部リンク

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