コンテンツにスキップ

アメリカン・イディオット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『アメリカン・イディオット』
グリーン・デイスタジオ・アルバム
リリース
録音 2003年 - 2004年
オーシャン・ウェイ・レコーディング
ジャンル パンク・ロック
ポップ・パンク
オルタナティブ・ロック
時間
レーベル リプリーズ・レコード
ワーナーミュージック(国内盤)
プロデュース ロブ・カヴァロ
グリーン・デイ
グリーン・デイ アルバム 年表
シェナニガンズ〜スーパー・ウラ・ベスト!
2002年
アメリカン・イディオット
2004年
21世紀のブレイクダウン
2009年
テンプレートを表示

アメリカン・イディオット(American Idiot)は、アメリカ合衆国パンクバンドグリーン・デイGreen Day)の7作目のスタジオ・アルバムである。全14曲所収(アメリカ本国では13曲)。

概要

[編集]

テーマは「反戦」。アルバム製作中に起こったイラク戦争に対するメンバーの激怒がロックという形で表現されている。本来は、全く別のコンセプトで作られる予定(シガレット・アンド・ヴァレンタインというタイトルであったとされる[1])であったが、マスターテープの盗難に遭った。しかし、それらは再録せず一から作り直している。全米(Billboard 200など)・全英(UK Albums Chartなど[2])、ともに1位を獲得。また、全米で6xプラチナム(600万枚)、全英で7xプラチナム(210万枚)を獲得するなど、大きな売上をあげた。

ウォーニング』以来4年ぶりとなる、バンド史上最長のインターバルを挟んで発表され、グリーン・デイの第二章の始まりを告げるアルバムとされる。短い曲を繋ぎ合わせた組曲形式の楽曲が2曲収録され、グリーン・デイの新境地を開いたアルバム。ローリング・ストーンの今作のレヴュー[要曖昧さ回避]が「Tell the truth: did anybody think Green Day would still be around in 2004?:正直に言うと、一体誰が2004年までグリーン・デイが生き残っていると想像しただろうか?」(この年は、1994年に発表したメジャーデビュー・アルバム『ドゥーキー』から10年目にあたる年である)という一文で始まっているように、今作を発表する以前のグリーン・デイに対する音楽関係者の評価は、グラミー賞は獲得したもののそれほど高くなかった。しかし今作は、アルバム全体がひとつのコンセプトを帯びて制作されている「パンクオペラ」として、今まで批判的だった人達を脱帽させる形となった。2005年には、グラミー賞のロック部門で最優秀賞を受賞している。

また、2006年にはアルバムからの2ndシングル「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」でパンク史上初グラミー賞の最高賞「最優秀レコード賞」を輩出した。

『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、225位にランクイン[3]。また、『ローリング・ストーン誌が選ぶ 2000s・ベストアルバム』では、22位にランクイン[4]

2024年には、発売20周年を記念したコンピレーション・アルバム「アメリカン・イディオット:20周年記念デラックス・エディション」が発売された。

コンセプト

[編集]

夢を見て故郷を飛び出した主人公、ジーザス・オブ・サバービア(Jesus of Suburbia)と彼のもうひとつの人格、セイント・ジミー(St.Jimmy)との葛藤の日々を描く。アルバムの大部分の作詞を手がけたバンドのボーカリスト、ビリー・ジョー・アームストロングは、本作のコンセプトについて"自己破滅するのか、自分の倫理を選ぶのか、その選択"と述べている[5]

パンクオペラ

[編集]

収録曲「ジーザス・オブ・サバービア」「ホームカミング」は複数の曲を繋げて構成される形式の組曲となっており、これらは「パンクオペラ」と称されることがある[6]。本作収録の2曲は、それぞれ5部の構成を持った組曲となっている。

収録曲

[編集]

作詞はビリー・ジョー・アームストロング、作曲はグリーン・デイ。ただし、組曲、ホームカミングのうち、"Nobody Likes You"はマイク・ダーント作詞、"Rock and Roll Girlfriend"はトレ・クール作詞。

  1. アメリカン・イディオット - "American Idiot" - 2:54
  2. ジーザス・オブ・サバービア - "Jesus of Suburbia" - 9:08
    Ⅰ. Jesus of Suburbia
    Ⅱ. City of the Damned
    Ⅲ. I Don't Care
    Ⅳ. Dearly Beloved
    Ⅴ. Tales of Another Broken Home
  3. ホリデイ - "Holiday" - 3:52
  4. ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス - "Boulevard of Broken Dreams" - 4:20
  5. アー・ウィー・ザ・ウェイティング - "Are We the Waiting" - 2:42
  6. セイント・ジミー - "St. Jimmy" - 2:55
  7. ギヴ・ミー・ノバカイン - "Give Me Novacaine" - 3:25
  8. シーズ・ア・レベル - "She's a Rebel" - 2:00
  9. エクストラオーディナリー・ガール - "Extraordinary Girl" - 3:33
  10. レター・ボム - "Letter Bomb" - 4:06
  11. ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ - "Wake Me Up When September Ends" -4:45
  12. ホームカミング - "Homecoming" - 9:18
    Ⅰ. The Death of St. Jimmy
    Ⅱ. East 12th St.
    Ⅲ. Nobody Likes You (ベーシストのマイク・ダーントがボーカルをとっている)
    Ⅳ. Rock and Roll Girlfriend (ドラムスのトレ・クールがボーカルをとっている)
    Ⅴ. We're Coming Home Again
  13. ワッツァーネイム - "Whatsername" - 4:12
  14. フェイヴァリット・サン - "Favorite Son" - 2:13 ※日本盤ボーナス・トラック

シングル・カット

[編集]
  • アメリカン・イディオット(2004年9月14日リリース)
  • ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス(2004年11月29日リリース) - グラミー賞最優秀レコード賞受賞
  • ホリデイ(2005年3月28日リリース)
  • ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ(2005年7月13日リリース)
  • ジーザス・オブ・サバービア(2005年10月25日リリース)

担当

[編集]

ミュージカル

[編集]

2009年9月に、本作の楽曲を中心とするミュージカル『アメリカン・イディオット』が公開された。本作からの楽曲のほか、次作21世紀のブレイクダウンからの楽曲などが使用されている。2010年4月には、ニューヨークの有名劇場街、ブロードウェイに進出した。また、同時にミュージカルのサウンドトラック「アメリカン・イディオット(ブロードウェイ・ミュージカル・キャスト・ヴァージョン)(American Idiot: The Original Broadway Cast Recording)」も発売された(日本盤は6月発売)。

2011年2月第53回グラミー賞にて上記のアルバムで「最優秀ミュージカル・ショー・アルバム賞(Best Musical Show Album)」を受賞した。

脚注

[編集]
  1. ^ Lost Music
  2. ^ ChartArchive - Green Day - American Idiot
  3. ^ 500 Greatest Albums of All Time: Green Day, 'American Idiot' | Rolling Stone
  4. ^ [1]
  5. ^ BARKS インタヴュー
  6. ^ rockin'on BEST500DISC p.295

外部リンク

[編集]