コンテンツにスキップ

ウスリーシロマス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウスリーシロマス
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: サケ目 Salmoniformes
: サケ科 Salmonidae
: コレゴヌス属 Coregonus
: ウスリーシロマス C. ussuriensis
学名
Coregonus ussuriensis Berg, 1906[1]
和名
ウスリーシロマス
英名
Amur whitefish

ウスリーシロマス(ウスリー白鱒、学名:Coregonus ussuriensis)は、サケ科コレゴヌス属に分類される淡水魚の一種。

日本に導入されたシナノユキマス Coregonus maraenaアイヅユキマス Coregonus peled と同属。

別名ワカソ[2]。「ウスリーシロザケ」は誤り。

分布

[編集]

中華人民共和国東北部からロシア沿海地方、および樺太[3]アムール川水系を中心に分布する。日本にはいない。

形態

[編集]

最大で60cm、2.1kgになる。

背面は暗い橙灰色で、頭部と各鰭は黄色みを帯びる[4]。体側から腹部にかけては銀白色[5]。上下の顎はほぼ同じ長さであり、したがって口は頭部の先端に開く[4][6]

生態

[編集]

おもな餌は小魚、甲殻類、水生昆虫。

水温10℃程度の清浄な水域を好む。一つの水系内を季節的に移動する習性がある。

春、川の結氷が終わると、本流の浅瀬に移動して活発に摂食を行う。夏になり、水温が15℃を上回ると支流の小河川に入り、ほとんど食物を摂らずに上流へ上流へと遡上していく。水温が10℃を下回ると遡上をやめ、本流へ戻り、河川が結氷するまで活発に餌を食べる。河川が結氷すると本流の深みに集まり、そのまま越冬する。

繁殖期は10月下旬から11月上旬で、支流で行う。[7]

ダウリアシロマス

[編集]

アムール川水系には、本種のほかに近縁種のダウリアシロマス(Coregonus chadary)が分布する。

ダウリアシロマスは上顎が下顎より著しく突出し、したがって口は頭部の下面に開く[8]ので本種と区別できる。

また、アムール川ではこの2種間で大まかな棲み分けがなされており、本種は中流域から下流域を、ダウリアシロマスは上流域から中流域を生活圏とする[9]

近縁種

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ Coregonus ussuriensis Berg, 1906”. WoRMS (2017年8月18日). 2023年11月17日閲覧。
  2. ^ 宮地傳三郎、石井四郞 (1939). “樺太產ワカソ Coregonus ussuriensis BERG に就て”. 植物及動物 7 (1). 
  3. ^ “[https://www.burkemuseum.org/static/okhotskia/isip/Info/fishes.htm Freshwater and Anadromous Fishes of Sakhalin Island and Adjacent Regions]”. Burke Museum. 2021年3月11日閲覧。
  4. ^ a b 『原色満洲有用淡水魚類圖説』南満州鉄道、1939年、7頁。 
  5. ^ Coregonus ussuriensis”. FishBase. 2021年3月13日閲覧。
  6. ^ Nickolai A. Bochkarev , *, Elena I. Zuykova , Sergey A. Abramov , Elena V. Podorozhnyuk and Dmitry V. Politov (2017). “The sympatric whitefishes Coregonus ussuriensis and C. chadary from the Amur River basin: Morphology, biology and genetic diversity”. Fundamental and Applied Limnology 189: 194. 
  7. ^ “[www.kepu.net.cn/gb/lives/fish/rare/200210230082.html 黑龙江大白鱼――乌苏里白鲑]”. 中国科学院. 2021年3月18日閲覧。
  8. ^ 『原色満洲有用淡水魚類圖説』南満州鉄道、1939年、8頁。 
  9. ^ Nickolai A. Bochkarev , Elena I. Zuykova , Sergey A. Abramov , Elena V. Podorozhnyuk and Dmitry V. Politov (2017). “The sympatric whitefishes Coregonus ussuriensis and C. chadary from the Amur River basin: Morphology, biology and genetic diversity”. Fundamental and Applied Limnology 189: 195.