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オオカワウソ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オオカワウソ
オオカワウソ
オオカワウソ Pteronura brasiliensis
保全状況評価[1][a 1]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
: イタチ科 Mustelidae
亜科 : カワウソ亜科 Lutrinae
: オオカワウソ属
Pteronura Gray, 1837[2]
: オオカワウソ P. brasiliensis
学名
Pteronura brasiliensis
(Zimmermann, 1780)[2]
和名
オオカワウソ[3]
英名
Giant otter[2]
Giant river otter[4]
分布図
分布図

オオカワウソ(大獺、Pteronura brasiliensis)は、哺乳綱 食肉目イタチ科オオカワウソ属に分類される食肉類。本種のみでオオカワウソ属を構成する[2]

分布

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南アメリカ大陸のアマゾン川流域に分布する[2]。以前はより広範囲に分布していたが、個体数の減少に伴い分布域も断片的になっている[4]。アルゼンチンでは絶滅したと考えられていたが、2021年に再発見された[5]

形態

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体長(頭胴長)85–140cm[6]。尾長33–100cm[7]体重オス26–34kg、メス20–26kg[7][6]。尾は大型で、幅広く(中央部が最も幅広い[7][6])扁平[7]。全身は0.4cmの短い体毛で密に被われる[6]。鼻面や上唇、下顎から胸部にかけて白や黄白色の斑紋や斑点が入る[8][7][6]

眼と鼻孔は大型で、同時に水面に出せる位置にある[6]。吻端にある板状の皮膚(鼻鏡)は体毛で被われる[7][6]。歯列は門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上顎8本、下顎6本、大臼歯が上顎2本、下顎4本と計34本の歯を持つ[7]。指趾の先端まで水掻きが発達する[8][7][6]。指趾には鉤爪が発達する[8][7]

出産直後の幼獣は体重約0.2kg[7][6]。乳頭の数は4[7]

分類

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南北の2亜種に分ける説もあるが、遺伝子学的研究では支持されていない[2]

Pteronura brasiliensis brasiliensis (Zimmermann, 1780)
エクアドル東部、コロンビアブラジルベネズエラペルーボリビア[8][7][6][a 1]
Pteronura brasiliensis paranensis (Ranger, 1830)
パラグアイ、ブラジル南部[7]パラナ川水系)[a 1]アルゼンチンウルグアイでは絶滅したとされる[6][a 1]

生態

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流れの緩やかな大型河川[6]湿原などに生息する[7]昼行性[8][7][6]。雨期になると冠水林に産卵のために集まる魚類を求めて移動し、行動域も拡大する[8][7][6]。主にペアとその幼獣からなる4-10頭の群れを形成して生活する[6]。よく鳴き声をあげ、9種類の鳴き声を使い分けていると考えられている[7][6]。水辺の開けた場所に1.2-1.8mの長さがある寝床とトンネルからなる巣穴を作る[7][6]

食性は動物食で、主に魚類カラシンナマズ)、甲殻類などを食べる[8][7][6]。時に集団で小型のワニを襲うこともある[9](大型のワニは逆に天敵である)。獲物は口で捕え、肘を水底に付けて獲物を前肢で押さえながら頭部から食べる[8]。小型の獲物は水中で捕食するが、大型の獲物は陸上にあげてから食べる[6]

繁殖形態は胎生。妊娠期間は65–70日[8][7][6]。ガイアナの個体群は8–10月に、1回に1-6頭[8]の幼獣を産む[7]。幼獣は生後30日で開眼する[6]。生後3–4ヶ月で離乳し[4]、硬い食物も食べ始める[6]。生後2年で性成熟する[6]。飼育下では14年以上生きる[4]

人間との関係

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毛皮目的の乱獲により生息数は激減している[8][6]。1960年代にブラジルから輸出された本種の毛皮は20,000枚に達する[8][6]。ブラジルでは1970年代に法的に毛皮取引が禁止されたが、密猟されることもある[8][6]

関連項目

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参考文献

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  1. ^ Groenendijk, J., Leuchtenberger, C., Marmontel, M., Van Damme, P.A., Wallace, R. & Schenck, C. 2023. Pteronura brasiliensis (amended version of 2022 assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2023: e.T18711A244867206. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2023-1.RLTS.T18711A244867206.en. Accessed on 03 December 2024.
  2. ^ a b c d e f Paula Noonan, Siobhan Prout & Virginia Hayssen, “Pteronura brasiliensis (Carnivora: Mustelidae),” Mammalian Species, Volume 49, Issue 953, American Society of Mammalogists, 2017, Pages 97–108.
  3. ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  4. ^ a b c d Pat Morris & Amy-Jane Beer「オオカワウソ」『知られざる動物の世界 8 小型肉食獣のなかま』鈴木聡 訳・本川雅治 監訳、朝倉書店、2013年、62-63頁。
  5. ^ Caroline Leuchtenberger, Sebastián Di Martino, Augusto Distel, Matías Greco, Magalí Longo & Nicole Duplaix, “New Confirmed Records of the Giant Otter (Pteronura brasiliensis, Gmelin, 1788) in Argentina,”IUCN/SSC Otter Specialist Group Bulletin, Volume 40 Issue 3, IUCN/SCC Otter Specialist Group, 2023, Pages 131–136.
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ2 アマゾン』、講談社2001年、38-39、123-124頁。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、55頁。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編『動物大百科1 食肉類』、平凡社1986年、138-141、143頁。
  9. ^ ダーウィンが来た! 〜生きもの新伝説〜 「ワニと対決!オオカワウソ大家族」 (2013年2月3日放送)

外部リンク

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  1. ^ a b c d The IUCN Red List of Threatened Species
    • Duplaix, N., Waldemarin, H.F., Groenedijk, J., Evangelista, E., Munis, M., Valesco, M. & Botello, J.C. 2008. Pteronura brasiliensis. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.1.
  2. ^ CITES homepage