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ガラス玉演戯

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ガラス玉演戯』(: Das Glasperlenspiel)は、ドイツの作家ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse)が、1946年ノーベル文学賞を受賞する直接の契機となった小説で、最も長編の作品である。初刊は亡命生活にあったヘッセが、第2次世界大戦の最中(1943年)に小部数で出している。

訳書は、ヘッセと交流のあった高橋健二訳(「ヘッセ全集」ほか)が長年絶版で、古書以外では入手困難だったが、2004年にブッキングで復刊した。

近年「日本ヘルマン・ヘッセ友の会・研究会編」の新訳(「ヘッセ全集15 ガラス玉遊戯」、臨川書店)が出版された。

主人公は、様々な遍歴と彷徨を経て、学芸の精粋を究め高い地位に就くが、“常に新しく始める覚悟がなければならない”と考え、つつましい仕事に向かってゆく。本作以降のヘッセは、小説をほとんど書かず、詩や随想が主となった。

作中において、易経の「蒙」卦について触れられている[1]

日本語訳

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  • 「ガラス玉遊戯」 井手賁夫訳、角川文庫(上下)、1955(復刊1990)
  • 「ガラス玉遊戯」 登張正実訳、「ヘルマン・ヘッセ全集」三笠書房、1958
  • 「ガラス玉演戯」 高橋健二訳、「ヘルマン・ヘッセ全集」新潮社、1958、他に新潮文庫(上下)
    • 新版「ヘルマン・ヘッセ全集9」、「新潮世界文学37 ヘッセⅡ」新潮社
  • 「ガラス玉遊戯」 日本ヘルマン・ヘッセ友の会・研究会 編訳、「ヘルマン・ヘッセ全集15」臨川書店、2007

脚注

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  1. ^ 黄小娥『黄小娥の易入門』サンマーク出版、62頁。