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ジクロロ(1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ニッケル(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジクロロ(1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ニッケル(II)
識別情報
CAS登録番号 15629-92-2 チェック
特性
化学式 C27H26Cl2NiP2
モル質量 542.04 g mol−1
外観 橙色〜赤橙色の粉末
融点

213 °C, 486 K, 415 °F

への溶解度 不溶
危険性
安全データシート(外部リンク) [1]
Rフレーズ R49-36/37/38-42/43
Sフレーズ S53-26-36/37/39-45
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジクロロ[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II) (dichloro[1,3-bis(diphenylphosphino)propane]nickel(II)) は、化学式が NiCl2(dppp) で表される錯体である(dppp はジホスフィン;Ph2PCH2CH2CH2PPh2)。有機合成触媒として使われる。外見は鮮やかな赤橙色の結晶粉末。

構造と性質

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フェニル基を無視すれば理想的なC2v対称を持つ。ニッケル中心付近は平面四角形の構造である。非極性有機溶媒に溶け、反磁性である。

合成

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2-プロパノール中で等モル量の塩化ニッケル(II)1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを結合させて合成する[1]

反応

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アルキルアルケニルアリールおよびヘテロアリールグリニャール試薬とアリール、ヘテロアリールおよびアルケニルのハロゲン化物とを反応させる熊田・玉尾・コリューカップリング触媒として主に使用される[1]。ハロゲン化アリールとグリニャール試薬とのクロスカップリングでも使われる。その他、エノールエーテル、ジチオアセタールおよびビニルスルフィドからオレフィンへの変換の触媒にも使われる[2][3]

出典

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  1. ^ a b Kumada, Makota; Tamao, Kohei; Sumitani, Koji (1988). "Phosphine-Nickel Complex Catalyzed Cross-Coupling of Grignard Reagents with Aryl and Alkenyl Halides: 1,2-dibutylbenzene". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 6, p. 407
  2. ^ Tien-Yau Luh; Tien-Min Yuan. ”Cross-Coupling Reactions”. Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis. DOI: 10.1002/047084289X.rd100.pub2.
  3. ^ Ljungdahl, Thomas; Bennur, Timmanna; Dallas, Andrea; Emtenaes, Hans; Maartensson, Jerker (2008). “Two Competing Mechanisms for the Copper-Free Sonogashira Cross-Coupling Reaction”. Organometallics 27 (11): 2490–2498. doi:10.1021/om800251s.