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ニシイワシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニシイワシ

保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 魚上綱 Pisciformes
: 条鰭綱 Actinopterygii
上目 : ニシン上目 Clupeiformes
: ニシン目 Clupeiformes
亜目 : ニシン亜目 Clupeoidei
: ニシン科 Clupeidae
: サルディナ属 Sardina
(Antipa,1904)
: ニシイワシ S. pilchardus
学名
Sardina pilchardus
(Walbaum,1792)
シノニム
  • Alosa pilchardus
  • Clupea pilchardus
  • Clupea harengus pilchardus
和名
ニシイワシ
ヨーロッパマイワシ
英名
European pilchard

ニシイワシまたはヨーロッパマイワシ(European pilchard)は、条鰭類で、サルディナ属単型である。若い個体は、サーディンと呼ばれる多くの種の一つである[2][3]大西洋北西部、地中海黒海の水深10-100mの範囲でみられる[1]プランクトン性の甲殻類を主な餌とし[4]、長さは27.5cmになる。生涯に何度か産卵し、各々のメスは合計で5万から6万個の卵を産む[4]

記載

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ニシイワシは小型から中型の長細い形で、ニシンに似た魚である。腹びれ背びれのすぐ下から始まる。尻びれ軟条の最後の2つは、残りのものよりも大きい。上半分は緑色かオリーブ色で、側面は金色、腹側は銀色である[2]

分布と生息

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大西洋北西部、地中海、黒海に分布する。アイスランドノルウェー南部、スウェーデンから、南は西アフリカセネガルまでに及んでいる。地中海では、西半分やアドリア海では一般的であるが、東半分や黒海では一般的ではない[5]。群れで移動し、多くは湾岸にいるが、外海に100kmも旅することもある。日中には、多くは水深22-55mにいるが、100mまで潜ることもある。夜間には、水深10-35mにまで浮上する[1]

生態

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日中、リグリア海の浅い海域で群れる若い個体

地中海では、秋には沖合に移動し、温度や塩分濃度が変化する湾内の水よりも、より冷たく塩分濃度が一定な外海の深い水を好む。冬には産卵が始まり、早春には幼体や若い成体、一部の成熟した成体が沖に向かって移動し、その他の成体は、年内のより遅い時期に湾内に移動する。長い繁殖期間に複数回産卵が行われ、総妊孕力は、5万から6万になる。1歳の時点では大部分がオスで、体長は13-14cmになる。約8年で完全に成長し、21cm程度に達する[6]

動物性プランクトン植物性プランクトンの両方を食べる。動物性プランクトンの多くはカイアシ類やその幼体であり、日周鉛直移動を行って、夜間には海面近くに移動し、成熟した成体はこの時に餌を食べる。若い個体は、日中にも餌を食べる[6]モトカタクチイワシとともに、プランクトンの消費者や、ヨーロッパヘイクヨーロッパアナゴ等の底生捕食者の餌として、地中海の生態系において重要な位置を占める。この役割は、水深が浅くて食物連鎖が短く、エネルギーが海底に留まりやすいアドリア海では、より顕著である。そのため、イワシの乱獲は生態系の劇的な変化を引き起こしうる[6]

利用

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シラクサのこの露店では、中央右のニシイワシが最も安い値段で売られている。

分布域の多くでは、重要な漁獲資源となっている。主にきんちゃく網ランパラ網で獲られるが、底引網が使われることもある。合計で、年間100万トン程度が漁獲され、モロッコポルトガルスペインは漁獲量が多い。国際連合食糧農業機関(FAO)は、モロッコでは乱獲されていると考えている[5]

成熟したものはピルチャード、若いものはサーディンとして販売されるが[2]、これらの使い分けは厳密ではなく、地域にも依る。例えばイギリスのSea fish Industry Authorityでは、若いピルチャードをサーディンと分類している[7]。ある基準では、体長15cmに満たないものをサーディン、それ以上のものをピルチャードとするものもある[8]。FAO/WHOコーデックス委員会の規格では、サーディンの缶詰には、21種類が用いられうるとしている[3]

生、冷凍、缶詰、塩漬け、燻製、乾燥等の携帯で販売される。生のものは価格が低く、釣り用の餌や肥料にされたり、魚粉に加工されることもある[1]

出典

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  1. ^ a b c d Tous, P.; Sidibe, A.; Mbye, E.; de Morais, L.; Camara, Y.H.; Adeofe, T.A.; Munroe, T.; Camara, K. et al. (2015). Sardina pilchardus. IUCN Red List of Threatened Species 2015. https://www.iucnredlist.org/details/198580/0 19 August 2018閲覧。. 
  2. ^ a b c European pilchard (Sardina pilchardus)”. Fishes of the NE Atlantic and the Mediterranean. Marine Species Identification Portal. 20 August 2018閲覧。
  3. ^ a b Codex standard for canned sardines and sardine-type products codex stan 94 –1981 REV. 1–1995”. Codex Alimentarius. FAO/WHO Codex Alimentarius Commission. pp. 1–7. 25 March 2007時点のオリジナルよりアーカイブJanuary 18, 2007閲覧。
  4. ^ a b Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2006). "Sardina pilchardus" in FishBase. April 2006 version.
  5. ^ a b Sardina pilchardus (Walbaum, 1792)”. Species Fact Sheet. FAO. 19 August 2018閲覧。
  6. ^ a b c Gibson, R.N.; Atkinson, R.J.A.; Gordon, J.D.M. (2016). Oceanography and Marine Biology: An Annual Review. CRC Press. pp. 209–226. ISBN 978-1-4200-9422-0. https://books.google.com/books?id=PDlCjy30WKkC&pg=PA209 
  7. ^ FAQs”. Seafish. 22 July 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。February 22, 2010閲覧。
  8. ^ Stummer, Robin (17 August 2003). “Who are you calling pilchard? It's 'Cornish sardine' to you...”. The Independent. オリジナルの12 September 2010時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100912070106/http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/who-are-you-calling-pilchard-its-cornish-sardine-to-you-536136.html November 1, 2009閲覧。