ハルシャ
ハルシャ | |
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種類 | フラットブレッド |
発祥地 | モロッコ |
主な材料 | セモリナ粉、バター、水か牛乳、ベーキングパウダー |
ハルシャ(アラビア語: حرشة、ラテン文字:Harcha)は、セモリナ粉でできたフラットブレッドの一種である。モロッコの中央アトラス発祥で[1][2][3][4]、アルジェリアでも食される[5]。
作り方
[編集]セモリナ粉、バター、牛乳(もしくは水)、塩、ベーキングパウダーを混ぜて生地を作る。ここに砂糖を入れる場合もある。生地をボール状にして鉄板かフライパンにのせ、1センチほどの厚さになるように平らに伸ばしながら焼く[6]。
セモリナ粉を使うことで、コーンブレッドに近い食感になる[7]。モロッコのリーフ地方では、バターミルクあるいはヨーグルトを水で薄めたものを牛乳の代わりに使う[1]。
ハルシャやムスンメンを売る小さな専門店では、40センチほどの巨大なものも売られている[8]。
食べ方
[編集]蜂蜜やバターを塗って食べるのが一般的である。朝食やおやつとして、ミントティーとともに食べる[1]。ラマダン期間中に食べるパンのひとつでもある[9]。チーズや肉のコンフィを挟んでサンドイッチのようにして食べることもある。崩して、煮込み料理に使うこともできる[1]。
他の種類
[編集]呼び名はモロッコとアルジェリアで異なる場合がある。農学者のマイク・シソンズ(Mike Sissons)[10]は、ハルシャの一種として「ムベセス(Mbesses)」を挙げている [11]。ただし、ムベセスはアルジェリアの甘いケーキを指す場合もあるため、「ホブズ・ムベセス(Khobz Mbesses)」とも呼ばれる。ハルシャと材料は似ているが、同一ではない[12]。
19世紀後半、アルジェリアのパン職人らが「アル・ホブズ・アル・ハルシャ」と呼ばれる種類のパンを作ったが、これはオーブンに入れる前にセモリナ粉をまぶして作るものである。ハルシャとは明確に異なるものであり、混同してはならない[13]。
アルジェの内陸部では一般的にharchâyaと呼ばれ、アルジェリアの他の地域ではragdaという名称が使われる[14]。
脚注
[編集]- ^ a b c d Wolfert, Paula (2011). The Food of Morocco. Bloomsbury. p. 116. ISBN 9781408827468
- ^ Benkabbou, Nargisse (2018). Casablanca: Authentische Rezepte aus Marokko. Südwest. ISBN 9783517097336
- ^ Honnor, Julius (2012). Morocco Handbook: 6th Edition. Footprint Handbooks. p. 472. ISBN 978-1907263316
- ^ Sewerd, Pat et al. (2016). Morocco: 3rd Edition. Cavendish Square. p. 131. ISBN 978-1502616999
- ^ Kezih, R., F. Bekhouche and A. Merazka. “Some traditional Algerian products from durum wheat”. 2023年10月2日閲覧。
- ^ エットハミ・ムライ・アメド、寺田なほ『モロッコの食卓』PARCO出版、2010年、49頁。
- ^ Benlafquih, Christine (21 July 2021). “Moroccan Harcha Semolina Flatbread Recipe”. The Spruce Eats. 2023年10月2日閲覧。
- ^ エットハミ・ムライ・アメド、寺田なほ『モロッコの台所』アノニマ・スタジオ、2015年、54頁。
- ^ Maroc: 10e édition. Lonely Planet. (2017). p. 448. ISBN 978-2816163889
- ^ “NSW Government, Department of Primary Industries, SISSONS, Mike”. 8 May 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月2日閲覧。
- ^ Sissons, Mike (2012). Durum Wheat: Chemistry and Technology. American Associate of Cereal Chemists International. p. 194. ISBN 978-1-891127-65-6
- ^ “Mbesses”. Taste Atlas. 2023年10月2日閲覧。
- ^ Archive Marocaines: Publication de la Mission Scientifique du Maroc. 11. (1907). p. 25
- ^ Université d'Alger. Institut d'études orientales (1955). Annales de l'Institut d'études orientales. 13-14. Librairie d'Amérique et d'Orient. pp. 20, 332