バスク神話
バスク神話(バスク語: Euskal mitologia, スペイン語: Mitología vasca)は、スペインとフランスの2か国にまたがるバスク地方における神話。
内容
[編集]ゲルマン神話、ギリシア神話、カレワラ(フィンランド神話)、日本神話のような創造神話はバスク神話には存在しない。バスク神話の神や精は、馬、雄牛(Aatxe, Aatxegorri)、イノシシ、雄ヤギ(Akerbeltz)、雄ヘビ、ハゲタカなどの姿で現れる。古代にはケルト人がバスク地方に自然信仰を持ちこんでおり、太陽(Ekhi)・月(Ilazki, Illargi, Iretargi, Irargi)・大地(Lur)・天空(Ortzi, Urtzi, Ostri, Ostiri)などについての神話も存在する。マリという女神が最高神であり、雨天や豊作をもたらしたり、旅人を導いたりする。ラミア(Lamia)という女性は魔女(Sorgin)または子どもの血を吸う鬼として現れる。シュガール(Sugaar)という男性神は雷神であり、雄蛇の化身である。エレンスゲ(Herensuge)と呼ばれる竜伝承なども知られている。
研究史
[編集]スペインの考古学者・民俗学者であるホセ・ミゲル・デ・バランディアランは1960年に『バスク神話』(Mitología vasca)を著している。ハンス=ヴィルヘルム・ハウシヒ(Hans-Wilhelm Haussig)が1973年に編集した『古代ヨーロッパにおける神々と神話』(Götter und Mythen im Alten Europa)の中でも、バランディアランがバスク神話について1章を割いている。1972年にはバスク大百科事典(La Gran Enciclopedia Vasca)の第7巻として『バスク神話絵入り辞典』(Diccionario ilustrado de mitología vasca)が刊行され、同年バランディアラン全集の刊行が開始され、第1巻は前述の絵入り辞典となっている[1]。
脚注
[編集]- ^ “Bibliografía, De 1967 a 1982” (スペイン語). Jose Miguel de Barandiaran Fundazioa. 2015年2月20日閲覧。
参考文献
[編集]- 下宮忠雄『バスク語入門』パチ・アルトゥナ監修、大修館書店、1979年「神話・伝説」pp.67-82
- 竹原威滋・丸山顕徳編『世界の龍の話』(世界民間文芸叢書)三弥井書店、1998年、pp.200-208