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ミツデカエデ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミツデカエデ
雄花序 福島県会津地方 2013年5月
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: ムクロジ目 Sapindales
: ムクロジ科 Sapindaceae
: カエデ属 Acer
: ミツデカエデ A. cissifolium
学名
Acer cissifolium (Siebold et Zucc.) K.Koch (1864)[1]
和名
ミツデカエデ(三手楓)
英名
Vine-leafed Maple, Vineleaf Maple

ミツデカエデ(三手楓[2]学名: Acer cissifolium)はムクロジ科[注 1]カエデ属落葉高木。日本固有種で山地に生える。雌雄異種[3][4]小葉が3枚ついて1枚の葉を構成する3出複葉が特徴のカエデである。中国名は蘞葉槭[1]

分布と生育環境

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日本固有種北海道日高地方夕張地方渡島半島)、本州四国および九州に分布し[2]、温帯の山地の湿り気のある肥沃な谷間などに生育する。渓流沿いや林道わきなどの比較的日のあたる場所に多い。関東地方では標高200 - 1300メートル (m) に見られる[3][4]。人為的に植えられることは稀である[2]

形態・生態

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落葉広葉樹小高木[2]から高木。樹高は20メートル (m) に[3]の直径は10 - 20センチメートル (cm) になる[4]。樹皮は灰褐色で滑らかだが、のちに縦に裂ける[5]は紫褐色または赤褐色で、今年枝(一年枝)には上向きの白い短毛が生える[4][5]

は花がつく枝に1 - 3対、花のつかない枝に1 - 7対、対生する[3]3出複葉になり、小葉は、長さ4 - 8 cm、幅2 - 4 cmの卵状楕円形で、先端は尾状に鋭くとがり、基部はくさび形になり、縁には欠刻状の粗い鋸歯がある[2]。葉の両面にまばらに白い毛が生え、裏面の脈腋には毛が密生する。葉柄は長さ3 - 8 cmあり、紅色で、白色の毛がある[4]。頂小葉の小葉柄は長さ0.3 - 1.5 cm、側小葉の小葉柄は、頂小葉のものより短い[3]。秋に紅葉してから落葉し、黄色や橙色から赤色に色づくが、色が褐色にくすむことも多い[2][6]

花期は5月。葉の展開後に、長さ5 - 15 cmの総状花序が有花枝の先端から垂れ下がる。は淡黄色で4数性、花序に20 - 50個つく。花柄は長さ2 - 5ミリメートル (mm) 、萼片は4個で、長さ約1 mmになる卵形、花弁は4個で、長さ約2.5 mmになる線形。雄花の雄蕊はふつう4個で、長さ約2 mmになり花糸の下部がふくらむ。雌花には退化雄蕊はなく、子房は毛が散生するかまたは無毛、花柱は短く花柱分枝は長く広く開出する[3][4]

果期は6 - 7月。果実翼果で、房状に多数つき、冬でも枝に残る[5]。分果の長さは2.5 - 3 cmになり、翼果は平行または鋭角に開く。果実は7 - 10月に熟す[3][4]

冬芽は卵形や広卵形の鱗芽で、芽鱗は4枚、毛が多く枝と同色である[5]。枝先につく頂芽側芽よりも大きく、頂生側芽を伴う[5]。枝の側芽は対生する[5]。鱗片葉は長さ約1.2 cmになる楕円形で、背面には伏軟毛が密生する[3]。葉痕はV字形やU字形で、維管束痕が3個つく[5]

利用

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材は、器具材、薪炭材として利用される。また、庭木、公園樹、街路樹として植栽される[4]

脚注

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注釈

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  1. ^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではムクロジ科(Sapindaceae)に分類されるが、古いクロンキスト体系新エングラー体系ではカエデ科(Aceraceae)に分類される[1]

出典

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参考文献

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  • 猪狩貴史『カエデ識別ハンドブック』文一総合出版、2010年11月。ISBN 978-4-82991175-4 
  • 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本Ⅱ』平凡社、1989年2月。ISBN 4582535054 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、114頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4-8299-0187-8 
  • 茂木透、石井英美ほか『樹に咲く花(離弁花2)』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑4〉、2000年10月。ISBN 4635070042