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ローマ筆記体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
古ローマ筆記体と新ローマ筆記体

ローマ筆記体(ローマひっきたい)は、ラテン筆記体ともいい、古代ローマおよび中世の一部の時代に使われた手書きの書体である。通常は古筆記体と新筆記体に分けられる。

古ローマ筆記体

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古ローマ筆記体は、大文字の筆記体とも呼ばれ、日常的な手書き書体で、商人が帳簿をつけたり、学校の生徒がラテン文字を習うのに使ったり、あるいはローマ皇帝が詔勅を書くのにも使われた。

より正式の書き方はローマ大文字体であったが、筆記体は急いで非公式に書くときに使われた。

紀元前1世紀から西暦3世紀にかけて最も一般的に使われたが、おそらくそれ以前から存在したと思われる。

紀元前2世紀初めに、プラウトゥスプセウドールスにおいて、筆記体の読みにくさについて以下のように記している。

クラウディウス時代(西暦41-54年)の筆記体

釈文
uobis · ujdetur · p · c · décernám[us · ut · etiam]
prólátis · rebus ijs · júdicibus · n[ecessitas · judicandj]
imponátur quj · jntrá rerum [· agendárum · dies]
jncoháta · judicia · non · per[egerint · nec]
defuturas · ignoro · fraudes · m[onstrósa · agentibus]
multas · aduersus · quas · exc[ogitáuimus]...

古ローマ筆記体は、原型が分からないほど変化しており、同じ「ラテン文字」である今の筆記体に慣れた現代人にとっては、きわめて読みづらい。多くの合字を使用しており、いくつかの文字は互いに区別しがたい。a はアンシャル体の a に似ているが、左画はまだまっすぐである。bd は区別が難しく、e は(s と同様)上まで使って書かれており、pt は非常によく似ており、v はベースラインより上に書かれて、シェブロンに似た形になっている[1]

新ローマ筆記体

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4世紀初頭の新ローマ筆記体。Achilius という総督に宛てられた手紙。大文字のように文頭が大きく書かれている。

釈文
domino suo      achillio, uitalis.
cum in omnibus bonis benignitas tua sit praedita, tum
etiam scholasticos et maxime, qui a me cultore tuo hono-
rificentiae tuae traduntur, quod honeste respicere velit,
non dubito, domine praedicabilis. Quapropter Theofanen...

新ローマ筆記体は、小文字筆記体または後期ローマ筆記体とも呼び、古ローマ筆記体から発展した。西暦3世紀から7世紀ごろに使われ、現代人にとって、より見分けやすい文字を使用している。

abde は、今の人間に親しみやすい形をしており、それ以外の文字もベースラインの上で大きくサイズや位置を変えることなく、互いの比率を保って書かれる。

この書体を部分的には元にして「カロリング小文字体」として知られる書体が発明され、9世紀にアーヘントゥールで発達し、カール大帝の帝国において手書き書体を統一する目的で普及された。

カロリング小文字体は、その後、読みにくいブラックレターに発展して使われなくなっていたが、ルネサンスで復興され、現代の小文字の元になった。

アンシャル体と半アンシャル体もおそらく新ローマ筆記体から発達したものと考えられ、agrs の形が特によく似ている[2]

Jan-Olaf Tjäder によると、新ローマ筆記体はアンシャル体だけではなく、中世に使われた全ての書体に影響した[3][4]ゲール文字は、アンシャル体が後世まで使われた例である。

関連項目

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脚注

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参考文献

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  • Jan-Olaf Tjäder (1955). Die nichtliterarischen lateinischen Papyri Italiens aus der Zeit 445–700. Lund 
  • Centre for the Study of Ancient Documents and the Academic Computing Development Team. “Vindolanda Tablets Online”. Oxford University. 2009年3月22日閲覧。

関連文献

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