上田初美
上田初美 女流四段 | |
---|---|
名前 | 上田初美 |
生年月日 | 1988年11月16日(36歳) |
プロ入り年月日 | 2001年4月1日(12歳) |
女流棋士番号 | 26 |
出身地 | 東京都小平市 |
所属 | 日本将棋連盟(関東) |
師匠 | 伊藤果八段 |
段位 | 女流四段 |
女流棋士DB | 上田初美 |
戦績 | |
タイトル獲得合計 | 女王2期 |
一般棋戦優勝回数 | 1回 |
2013年3月17日現在 |
上田 初美(うえだ はつみ、1988年11月16日 - )は、日本将棋連盟所属の女流棋士。女流棋士番号は26(2011年3月31日までは50)。東京都小平市出身[1]。伊藤果八段門下。錦城高等学校卒業[2][3]。夫は将棋棋士の及川拓馬[4]。
経歴
2001年に12歳で女流棋士となる。
2006年度に行われた第1回白瀧あゆみ杯争奪戦(非公式戦)では、決勝で坂東香菜子を破って初代優勝者となった。
2008年度、第2回大和証券杯ネット将棋・女流最強戦で決勝戦に進出するが、中井広恵に敗れて準優勝。
2009年度、第20期女流王位戦で、挑戦者決定リーグ白組優勝、挑戦者決定戦に進出したが、紅組優勝の清水市代に敗れて挑戦権を逃した。第31期女流王将戦[注釈 1]で挑戦者決定トーナメントを勝ち抜き、初のタイトル挑戦を決めた。清水市代女流王将との三番勝負ではストレート負けを喫し、タイトル獲得はならなかった。しかし、2009年度の対局数は36局を数え(岩根忍も同数)、第37回将棋大賞の女流最多対局賞(第37回で新設)を受賞した[5]。
2011年度、5月10日の第4期マイナビ女子オープン五番勝負で甲斐智美女王に勝ち、ストレート勝ちで初タイトル「女王」を獲得。同日付で女流三段へ昇段し、また、「タイトル経験者」に該当したため日本将棋連盟正会員資格を得る。7月14日の第5回朝日杯将棋オープン戦で金沢孝史を破り、男性棋士に初勝利。
2012年度、第5期マイナビ女子オープン五番勝負で、プロ入り即タイトル獲得を目指す長谷川優貴をストレート勝ちで下し、タイトル初防衛。第39期女流名人位戦挑戦者決定プレーオフで清水市代に勝って挑戦権を獲得。里見香奈女流名人との五番勝負では2勝3敗で敗退したが[注釈 2]、このシリーズの第5局(2013年2月27日)は棋士・女流棋士・将棋記者らから高く評価され[6]、第40回将棋大賞の名局賞特別賞を女流の将棋として初めて受賞し[7][8]、『将棋世界』2012年6月号の「プレイバック2012」で4位に選出された[注釈 3]。第6回大和証券杯ネット将棋・女流最強戦の決勝戦で中井広恵を下して優勝し、2012年度限りで終了した本棋戦[9]の最後の優勝者となった。
2013年度、第6期マイナビ女子オープン五番勝負第3局で里見香奈にストレート負けし、失冠。
2013年6月17日に、同じ伊藤果八段門下の将棋棋士である及川拓馬と結婚[10]。
2014年度、第35期女流王将戦の挑戦者決定戦で香川愛生に敗れ、挑戦権の獲得ならず。第8期マイナビ女子オープン挑戦者決定戦では、長谷川同様にプロ入り即タイトル獲得を目指す和田あきを降し、加藤桃子女王への挑戦を決めた。
2015年度、第8期マイナビ女子オープン五番勝負では、2連敗の後で1勝を返すも、4局目で敗れて女王への復位ならず。第36期女流王将戦において、2年連続で挑戦者決定戦に進んだものの、清水市代に敗れてまたも挑戦権を逸す。第42期女流名人戦挑戦者決定リーグでは最終戦を前にして清水と首位で並んでいたが、第一子の出産のため休場を余儀なくされ(2015年10月-2016年2月)[11]、最終戦は不戦敗となり、リーグ2位に終わる。
2016年度、第43期女流名人戦挑戦者決定リーグを7勝2敗で制し、挑戦権獲得。五番勝負では連勝スタートで里見香奈女流名人(女流五冠)をカド番に追い込んだが、そこから3連敗して敗退。2017年2月22日に東京・将棋会館で行われた第5局は手数が200手を超え[12]、終盤で優劣が何度も入れ替わる熱戦であった[13]。検討陣から、名局賞に値するという声が出た[14](2017年03月31日に発表された第44回将棋大賞で、同局は名局賞特別賞を受賞[15]。また『将棋世界』2016年6月号の「プレイバック2016」で3位に選出された。)。6日後の2月28日、第10期マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦で里見に逆転勝ちし[16]、2期ぶりとなる加藤桃子女王への挑戦を決めた。
2017年度、第10期マイナビ女子オープン五番勝負では加藤桃子女王に3連敗を喫し、女王への復位を逸した。
2018年度、5月21日に女流四段に昇段(勝数規定、女流三段昇段後120勝)[17]。第45期女流名人戦挑戦者決定リーグでは、第2子の出産を挟みながらリーグ戦を戦った[18]。6月までに同リーグで4勝0敗の成績で出産による休場に入り、出産から2か月後の10月に早くも対局に復帰した[18]。同リーグでは最終一斉対局が11月13日に行われるため、4対局を17日間で行う強行日程の中で2勝を挙げた[18]。上田は6勝2敗でプレーオフ進出・女流名人戦挑戦の可能性を残して最終一斉対局を迎え[19]、同じく6勝2敗の[19]香川愛生に勝ち[20]、プレーオフ進出はならなかったが7勝2敗で同リーグを終えた[20]。
棋風・人物
- もともとは振飛車党[21]。その後、居飛車も指しこなすようになった[21]。
- 2011年度に初タイトルの女王を獲得して以来、タイトル戦では和服を着用している。
- 詰将棋創作を趣味とし、2017年の4月から9月まで、朝日新聞木曜日夕刊の詰将棋欄を担当した[22][23]。夫の及川は詰将棋作家として著名であり[24]、『将棋世界』の「詰将棋サロン」を担当している(2018年10月号現在)。
- 2014年より出身地である小平市観光まちづくり大使[25][26]。
昇段履歴
- 1995年女流育成会入会 -
- 2001年 4月 1日 - 女流2級 [27][28]
- 2002年 4月 1日 - 女流1級(年間13局指し分け以上〈7勝以上〉/2001年度 8勝5敗)[29][30]
- 2003年 4月 1日 - 女流初段(年間13局指し分け以上〈7勝以上〉/2002年度 7勝6敗、女流通算15勝11敗)[30][31]
- 2008年 6月30日 - 女流二段(勝数規定/女流初段昇段後公式戦60勝、女流通算75勝)[32]
- 2011年 5月10日 - 女流三段(タイトル1期獲得 = 第4期マイナビ女子オープン)[33]
- 2018年 5月21日 - 女流四段(勝数規定/女流三段昇段後公式戦120勝)[34]
主な成績
獲得タイトル
- 女王 2期 (2011年〈第4期〉- 2012年)
タイトル獲得 合計2期
- タイトル挑戦
- 清麗:1回(2020年度〈第2期〉)
- 女王:5回(2011年〈第4期〉- 2013年・2015年・2017年)
- 女流名人:2回(2012年度〈第39期〉・2016年)
- 女流王将:1回(2009年度〈第31期〉)
登場回数 9回
一般棋戦優勝
- 大和証券杯ネット将棋・女流最強戦 1回(2012年度 = 第6回)
非公式戦優勝
- 白瀧あゆみ杯争奪戦 1回(2006年 = 第1回)
将棋大賞
- 第37回(2009年度)- 女流最多対局賞
- 第40回(2012年度)- 女流棋士賞、名局賞特別賞(第39期女流名人位戦第5局、対里見香奈女流名人)
- 第44回(2016年度)- 女流棋士賞、名局賞特別賞(第43期女流名人戦第5局、対里見香奈女流名人)
- 第46回(2018年度)- 名局賞特別賞(第45期女流名人リーグ、対渡部愛女流二段)
棋歴等
- 2006年度、第1回白瀧あゆみ杯争奪戦 優勝
- 2008年度、第2回大和証券杯ネット将棋・女流最強戦 準優勝
- 2009年度、第20期女流王位戦挑戦者決定リーグ 白組優勝
- 2009年度、第31期女流王将戦 挑戦
- 2011年度、第4期マイナビ女子オープン五番勝負を制して「女王」獲得
- 2012年度、第5期マイナビ女子オープン五番勝負を制して「女王」防衛
- 2012年度、第39期女流名人位戦 挑戦
- 2012年度、第6回大和証券杯ネット将棋・女流最強戦 優勝
- 2013年度、第6期マイナビ女子オープン 挑戦
- 2015年度、第8期マイナビ女子オープン 挑戦
- 2016年度、第43期女流名人戦 挑戦
- 2017年度、第10期マイナビ女子オープン 挑戦
- 2020年度、第2期清麗戦 挑戦
年度別成績
この節の加筆が望まれています。 |
年度 | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | |
---|---|---|---|---|---|
2001年度 | 13 | 8 | 5 | 0.6153 | [35] |
2002年度 | 13 | 7 | 6 | 0.5384 | [36] |
2003年度 | |||||
2004年度 | |||||
2005年度 | |||||
2006年度 | |||||
2007年度 | |||||
2008年度 | |||||
2009年度 | |||||
2010年度 | |||||
小計 2001-2010 |
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年度 | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | |
2011年度 | |||||
2012年度 | |||||
2013年度 | |||||
2014年度 | |||||
2015年度 | |||||
2016年度 | |||||
2017年度 | |||||
2018年度 | |||||
2019年度 | |||||
2020年度 | |||||
小計 2011-2020 |
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年度 | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | |
2021年度 | |||||
2022年度 | |||||
2023年度 | |||||
小計 2021-2023 |
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通算 2001-2023 |
601 | 375 | 226 | 0.6239 | [37] |
2023年度分までの通算成績 |
テレビ出演
- 銀河戦(囲碁・将棋チャンネル 過去に記録を担当)
- 囲碁・将棋ジャーナル(NHK衛星第2テレビジョン 司会/2010年1月~3月)
- 将棋界の一番長い日~A級順位戦最終局(NHK衛星第2テレビジョン 聞き手/2010年3月)
脚注
- ^ この年の女流王将戦は、一旦休止した後に再開した変則日程のため予選を行わず、挑戦者決定トーナメントの出場棋士を選抜することになった。上田はポイントランキング(前年度の各棋戦実績をポイントに換算したランキング)1位によりトーナメント出場権を得た。
- ^ 初タイトルの倉敷藤花を獲得して以来、タイトル戦で敗退したことのなかった里見[6]を、五番勝負の第5局までもつれ込ませたのは上田が初めてであった。
- ^ 『プレイバック2012』(棋士・女流棋士の投票で決定)は7回目の企画であったが、女流の将棋がベスト5入りするのは初めてだった。豊島将之、宮田敦史、村田顕弘の3人の棋士は、上田-里見のこの対局を第1位に推した[6]。
出典
- ^ “小平市観光まちづくり大使[1|東京都小平市公式ホームページ]”. www.city.kodaira.tokyo.jp. 2021年1月17日閲覧。
- ^ “卒業生一覧 | 錦城高等学校”. www.kinjo-highschool.ed.jp (2018年1月18日). 2021年1月17日閲覧。
- ^ “将棋部 地元ラジオ番組出演 | 錦城高等学校”. www.kinjo-highschool.ed.jp (2018年4月20日). 2021年1月17日閲覧。
- ^ 敬史, 岡部 (2019年10月31日). “「一緒にめっちゃ指しました」リアル将棋ラブコメだった及川拓馬、上田初美夫妻の青春時代 | 観る将棋、読む将棋”. 文春オンライン. 2020年8月23日閲覧。
- ^ 「女流最多対局賞を新設」『日本将棋連盟』2010年4月6日。オリジナルの2018年9月20日時点におけるアーカイブ。2018年9月20日閲覧。
- ^ a b c 『将棋世界』2013年6月号、p.42、pp.130-132
- ^ “女流名人戦五番勝負第1局、上田女流三段が先勝…最強名人逆転で沈めた”. スポーツ報知 (2017年1月16日). 2017年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月18日閲覧。
- ^ “第43期五番勝負第1局 「前夜祭 開会」 岡田美術館杯女流名人戦中継サイト 中継ブログ”. 日本将棋連盟 (2017年1月14日). 2018年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月16日閲覧。
- ^ “終了・休止棋戦-大和証券杯ネット将棋・女流最強戦”. 日本将棋連盟. 2017年1月17日閲覧。
- ^ “及川拓馬五段と上田初美女流三段が入籍”. 日本将棋連盟 (2016年9月3日). 2018年5月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月16日閲覧。
- ^ “上田初美女流三段インタビュー。一児のママとして挑む女流名人戦、その意気込みとは?”. 日本将棋連盟 (2017年1月14日). 2017年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月14日閲覧。
- ^ “里見、200手超す死闘制し2連敗後の3連勝で8連覇…将棋女流名人戦最終局”. スポーツ報知 (2017年2月22日). 2017年2月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月23日閲覧。
- ^ “上田女流三段、終盤優位も「勝てなかったのは弱さ」”. スポーツ報知 (2017年2月23日). 2017年2月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月23日閲覧。
- ^ “「名局賞」の声 第43期五番勝負第5局 岡田美術館杯女流名人戦中継ブログ”. 日本将棋連盟 (2017年2月22日). 2017年2月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月23日閲覧。
- ^ 「第44回将棋大賞受賞者のお知らせ」『日本将棋連盟』2017年3月31日。オリジナルの2018年5月3日時点におけるアーカイブ。2018年5月3日閲覧。
- ^ “終局直後 第10期-挑戦者決定戦 マイナビ女子オープン中継ブログ”. マイナビ出版 (2017年2月28日). 2018年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月1日閲覧。
- ^ 「上田初美女流三段が女流四段に昇段」『日本将棋連盟』2018年5月22日。オリジナルの2018年5月22日時点におけるアーカイブ。2018年5月22日閲覧。
- ^ a b c “勝負師のママ・上田初美女流四段「将棋を頑張ったと言える30代に」リーグ中に第2子出産” (日本語). スポーツ報知. (2018年11月17日). オリジナルの2018年11月18日時点におけるアーカイブ。 2018年11月18日閲覧。
- ^ a b 「里見香奈女流名人へ挑戦するのは? 岡田美術館杯女流名人戦 女流名人リーグ 最終戦一斉対局|棋戦トピックス|日本将棋連盟」『日本将棋連盟』。オリジナルの2018年11月18日時点におけるアーカイブ。2018年11月18日閲覧。
- ^ a b 「伊藤沙恵女流二段が女流名人挑戦を決める 岡田美術館杯女流名人戦 女流名人リーグ|棋戦トピックス|日本将棋連盟」『日本将棋連盟』。オリジナルの2018年11月18日時点におけるアーカイブ。2018年11月18日閲覧。
- ^ a b “第43期五番勝負第1局 6手目コメント”. 岡田美術館杯女流名人戦中継サイト 棋譜中継 (2017年1月15日). 2017年1月16日閲覧。
- ^ 上田初美「ueda823 on Twitter」『Twitter』2017年4月6日。オリジナルの2018年9月20日時点におけるアーカイブ。2018年9月20日閲覧。
- ^ 上田初美「@ueda823 on Twitter」『Twitter』2017年9月21日。オリジナルの2018年9月20日時点におけるアーカイブ。2018年9月20日閲覧。
- ^ 及川拓馬「どちらが詰み!? 及川拓馬六段の詰将棋講座がスタート」『エキサイト(NHK将棋講座テキスト 2017年7月号より)』2017年7月31日。オリジナルの2018年9月20日時点におけるアーカイブ。2018年9月20日閲覧。
- ^ “上田初美女流三段、「小平市観光まちづくり大使」に|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2021年1月17日閲覧。
- ^ “小平市観光まちづくり大使が語る 私たちのまちこだいらの魅力(1)|マイ広報紙”. マイ広報紙. 2022年7月11日閲覧。
- ^ 「新女流2級の紹介」『日本将棋連盟』。2001年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「2000年度後期女流育成会Aクラス」『日本将棋連盟』。
- ^ 「4月1日付・昇段昇級者」『日本将棋連盟』。2003年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b 「女流棋士昇段規定」『日本将棋連盟』。2001年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「棋士の昇段など(日本将棋連盟からのお知らせ)」『日本将棋連盟』。2003年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「上田初美女流初段が女流二段に昇段(2008年6月30日付)」『日本将棋連盟』2008年6月30日。
- ^ 「上田初美 新女王誕生」『日本将棋連盟』2011年5月10日。
- ^ 「上田初美女流三段が女流四段に昇段」『日本将棋連盟』2018年5月22日。
- ^ 2001年度女流棋士成績一覧 - 日本将棋連盟(2016年8月7日時点のアーカイブ)
- ^ 2002年度女流棋士成績一覧 - 日本将棋連盟(2016年8月7日時点のアーカイブ)
- ^ 女流棋士通算成績(2024年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2024年4月1日時点のアーカイブ)
関連項目
外部リンク
- 日本将棋連盟-女流棋士データベース-上田初美
- ブログだよ 本人によるブログ
- 上田初美 (@ueda823) - X(旧Twitter)
- 上田初美 (shogi823) - note
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