井村徹
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井村 徹(いむら とおる、1924年9月25日 - 2013年7月29日 )は、日本の金属工学者。専門は、金属物理学・材料科学。学位は、理学博士(大阪大学・論文博士・1957年[1])。名古屋大学名誉教授。日本学士院賞受賞。
来歴・人物
[編集]三重県出身。旧制香川県立三豊中学校[2]、東京帝国大学第二工学部冶金学科卒業。
1957年(昭和32年)「発散X線を用いての単結晶の変形の研究」で、大阪大学より理学博士の学位を取得[1]。
1956年(昭和31年)藤田廣志(大阪大学名誉教授)との共同研究で、我国初の金属転位の直接観察に成功する。電子顕微鏡による格子欠陥の直接観察は、理論的研究が先行していた格子欠陥論に、初めて直接的な実証を与えた。1963年(昭和38年)より超高圧電子顕微鏡の開発に着手する[3]。金属の原子レベルでの変化の仕組みを、超高圧電子顕微鏡を用いて、材料の塑性変形を顕微鏡の中で起こさせ、転移の運動を実時間で観察・記録し、結晶の降伏と転位挙動、転位増殖並びに易動度、加工硬化、破壊における転位挙動、温度変化や高エネルギー粒子線照射の転位挙動に及ぼす効果、固一液界面の観察結果と結晶成長機構、転位の発生などに関した情報を得ることに勤めた[4]。1978年(昭和53年)「生きている金属」との題名で学術映画にまとめ、同年第16回チェコスロバキア国際科学技術映画大賞を受賞[5]。
1985年(昭和60年)4月2日から1986年(昭和61年)4月2日まで日本金属学会第34代会長を務めた[6]。
1994年(平成6年)「金属塑性変形の超高圧顕微鏡その場の観察による研究」(藤田廣志、大阪大学名誉教授との共同研究)で日本学士院賞を授与された[7]。
略歴
[編集]- 1946年 - 東京帝国大学第二工学部冶金学科卒業
- 1948年 - 大阪工業専門学校教授
- 1954年 - 大阪府立大学助教授
- 1957年‐59年 - ラトガース大学へ出張
- 1961年 - 東京大学物性研究所助教授
- 1967年 - 名古屋大学工学部教授[8]
- 1983年 - 名古屋大学工学電子光学実験施設長(兼任)
- 1988年 - 名古屋大学名誉教授
- 1988年 - 愛知工業大学教授
- 1998年 - 愛知工業大学客員教授
- 2006年 - 愛知工業大学退職
栄典
[編集]受賞歴
[編集]脚注
[編集]- ^ a b 井村徹『発散X線を用いての単結晶の変形の研究』大阪大学〈理学博士 報告番号不明〉、1957年。 NAID 500000492764 。
- ^ 『巨鼇 第2号』(観一高同窓会京阪神支部)(1998年) 37頁
- ^ 『「金属塑性変形の超高圧顕微鏡その場の観察による研究」(共同研究)対する授賞審査要旨』 2015年5月14日閲覧
- ^ 共通セッション」 社団法人日本顕微鏡学会 『顕微鏡』 41巻 Supplement1号 2006年 p.44-64, doi:10.11410/kenbikyo2004.41.Supplement1_44, 2020年4月17日閲覧。
お詫びと訂正 / [Correction] kenbikyo Vol.41 No.Supplement1 (2006) pp.e1-e1」『顕微鏡』 41巻 Supplement1号 2006年 p.e1, doi:10.11410/kenbikyo2004.41.Supplement1_e1。 - ^ 『名古屋大学超高圧電子顕微鏡研究による主な受賞リスト』 2015年5月14日閲覧
- ^ 『公益社団法人 日本金属学会 歴代会長』 2014年1月11日閲覧
- ^ 『恩賜賞・日本学士院賞・日本学士院エジンバラ公賞授賞一覧』 2013年9月5日閲覧
- ^ 『公益社団法人 日本工学アカデミー EAJ NEWS』 2014年1月11日閲覧
参考文献
[編集]- 『三重県人物・人材情報リスト 2007』(日外アソシエーツ)(2007年)