吉田あつし
生誕 |
1958年 日本・茨城県 |
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死没 |
2012年3月19日(満53歳没) 日本・茨城県つくば市 |
研究機関 |
大阪府立大学 (1994-2001年) 筑波大学 (2001-2012年) |
研究分野 |
医療経済学 教育経済学 |
母校 |
京都大学 (学士) 大阪大学 (博士) |
学位 | 博士(経済学) |
影響を 受けた人物 | 伴金美[1] |
吉田 あつし(よしだ あつし、1958年 - 2012年3月19日)は日本の経済学者。専門は医療経済学、教育経済学。元・筑波大学教授。
来歴
[編集]1958年生まれ[2]。1983年に京都大学を卒業後、大阪府庁に入庁[2]。1995年、大阪大学より博士(経済学)を授与される[3]。大阪府立大学教授[2][4]、筑波大学システム情報系教授、東京大大学院公共政策学連携研究部特任教授[5][6]などを歴任。
2012年3月19日につくば市内の病院で53年間の生涯を閉じる[5][7]。
医療経済学の研究
[編集]大阪府立大学時代には高木真吾と医療保険に関する共同研究[8]を行い、1997年の制度改革を自然実験とみなして需要の価格弾力性に関する推定を行った[9]。『経済セミナー』では「後期高齢者医療制度をどう見るか」と題する記事で高齢者医療制度について解説を行い、担当医制度の導入と医療費の包括化は合理的である一方、地方自治体の財政上の理由から過度の医療費抑制が起こる危険性を指摘した[10]。
著書『日本の医療のなにが問題か』[11][12]は日経・経済図書文化賞(第52回)の選考対象となり、日本の医療制度に関する問題を経済学的観点から解説した点が評価されたものの、日米の制度的な相違が分析結果に反映されていないと評されて受賞を逃した[13]。
2012年4月からは吉田が代表を務める共同研究「高齢者医療システムの計量分析:証拠に基づいた政策評価と制度設計」(基盤研究 (A)・科研費)が実施される予定だった[14]。
学会活動
[編集]日本経済学会の理事で、2011年10月に筑波大学で開催された年次大会では運営委員長を務めた[15]。
2007年度から2009年度までは学術雑誌「季刊住宅土地経済」の編集委員を務めた[16]。2012年の逝去後同誌に金本良嗣による追悼文が掲載され、吉田の研究には「重要な政策課題に対して、きちんとした理論的枠組みと高度な計量経済学的手法を用いて切り込んでいくという一貫した特長」[16]があったと評した。
社会・委員会活動
[編集]2009年から2011年には民間有識者として内閣府の行政刷新会議評価者を務め、第2ワーキンググループの事業仕分けを担当した[5][18]。日本の診療報酬について診療所に支払われる額が病院の場合より高くなるメカニズムを指摘し、その合理性に疑問を呈した[19]。
年譜
[編集]- 1958年 出生
- 1983年 京都大学経済学部 卒業、大阪府庁に入庁[20]
- 1991年 大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程 中退、大阪大学 助手[20]
- 1994年 大阪府立大学 助教授[20]
- 1999年 大阪府立大学 教授[20]
- 2001年 筑波大学社会工学系 教授[20]
- 2012年 逝去
主な著作
[編集]書籍
[編集]- 佐藤伸彦、吉田あつし『患者様とお医者様―必要とする人に適切な医療を』日本評論社、2008年。ISBN 978-4535982994。
- 吉田あつし『日本の医療のなにが問題か』NTT出版、2009年。ISBN 978-4757122284。
論文
[編集]- Atsushi Yoshida (1999). “Tests for the Poolability of Panel Data in the Presence of Unknown Heteroskedasticity: an Asymptotic Extension of ANOVA”. Japanese Economic Review 50 (3): 253-265. doi:10.1111/1468-5876.00118.
- Takatoshi Tabuchi; Atsushi Yoshida (2000). “Separating Urban Agglomeration Economies in Consumption and Production”. Journal of Urban Economics 48 (1): 70-84. doi:10.1006/juec.1999.2157.
- Yoshida, Atsushi; Takagi, Shingo (2002), “Effects of the Reform of the Social Medical Insurance System in Japan”, Japanese Economic Review 53 (4): 444-465, doi:10.1111/1468-5876.00238
- Atsushi Yoshida; Alessandra Guariglia (2002). “Estimating saving functions in the presence of excessive-zeros problems”. The Econometrics Journal 5 (2): 435-456. doi:10.1111/1368-423X.t01-1-00092.
脚注
[編集]- ^ 大阪大学時代の指導教員。参照:“博士号取得者” 伴 金美 研究室 (2014年11月8日閲覧)。
- ^ a b c 「佐藤・吉田(2008)」 (Amazon.co.jp) に掲載されている「BOOK著者紹介情報」などを参照。
- ^ 吉田あつし、「Econometrics for empirical analyses based on individual preferences. / 個人の選好に基づいた実証分析のための計量経済学」『大阪大学 博士論文』 14401乙第06798号 1995年、NAID 500000130559、 「... Empirical Analysis ...」と記載されている。
- ^ 都市経済ワークショップとシンポジウム「都市地域システム解析のための空間情報データ基盤の形成」 - 東京大学空間情報科学研究センター (1998年7月開催)
- ^ a b c “訃報:吉田あつしさん 53歳=筑波大システム情報系教授、東京大大学院公共政策学連携研究部特任教授、都市経済学専攻/茨城”. 毎日jp (2012年3月20日). 2012年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月22日閲覧。
- ^ “ERES スタッフ”. 東京大学公共政策大学院 (三井不動産・寄付講座「不動産証券化の明日を開く」). 2014年9月22日閲覧。
- ^ “吉田 あつし”. weblog 死亡欄. 2014年9月22日閲覧。
- ^ Yoshida & Takagi 2002.
- ^ Kan, Mari; Suzuki, Wataru (2006). “The demand for medical care in Japan: initial findings from a Japanese natural experiment”. Applied Economics Letters 13 (5): 273-277. doi:10.1080/13504850500398583.
- ^ 吉田あつし「後期高齢者医療制度をどう見るか」『経済セミナー』第640巻、日本評論社、2008年8月号。
- ^ 吉田 2009.
- ^ 日本経済新聞 「日本の医療のなにが問題か、単純な理解・理屈の弊害を示唆―吉田あつし著(読書)」 2009年5月10日 朝刊、p. 21。
- ^ 日本経済新聞 「特集―第52回日経・経済図書文化賞、受賞3作品を読む、総評、吉川洋氏。」 2009年11月3日 朝刊、p. 22。
- ^ “高齢者医療システムの計量分析:証拠に基づいた政策評価と制度設計”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2015年1月7日閲覧。
- ^ “日本経済学会2011年度秋季大会のご案内”. 日本経済学会 (2011年7月31日). 2014年12月10日閲覧。
- ^ a b 追悼・吉田あつし先生 (PDF) - 季刊 住宅土地経済 2012年夏季号 No. 58(2012年7月) p. 40。
- ^ “Annual Report 2007-2008” (PDF). 筑波大学社会システム・マネジメント専攻. p. 59 (2008年). 2014年12月10日閲覧。
- ^ 行政刷新会議ワーキンググループ評価者名簿 民間有識者 (PDF) - 内閣府
- ^ 日本経済新聞 「事業仕分け、ムダ削減強気の出足、官の説明、防戦一方。」 2009年11月12日 朝刊、p. 3。
- ^ a b c d e “経歴”. Researchmap (2012年5月21日). 2015年4月18日閲覧。
外部リンク
[編集]- 教員プロファイル 吉田あつし - 筑波大学 社会システム・マネジメント専攻
- 吉田あつし - researchmap
- 吉田あつし - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
- 対談「医療システムと倫理」 (PDF) - 『学術の新しい風』 2007年11月 pp. 2-3 (日本学術振興会)、清水哲郎との対談。
学職 | ||
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先代 細江守紀 2011年度春季大会 熊本学園大学 |
日本経済学会 年次大会 運営委員長 2011年度秋季大会 筑波大学 |
次代 板谷淳一 2012年度春季大会 北海道大学 |
先代 高木英明 2006年 - 2009年 |
筑波大学 経営・政策科学専攻 専攻長 2009年 - 2011年 |
次代 浅野皙 2011年 - 2013年 |