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太陽の黄金の林檎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
太陽の黄金の林檎
The Golden Apples of the Sun
著者 レイ・ブラッドベリ
訳者 小笠原豊樹
イラスト Joe Mugnaini
発行日 1953
発行元

US: Doubleday & Company

日本: 早川書房
ジャンル サイエンス・フィクションファンタジー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 English
形態 Print (hardback & paperback)
ページ数 192
コード ISBN 0-435-12360-2
ISBN 978-4150118709(文庫)
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太陽の黄金の林檎』(たいようのきんのりんご The Golden Apples of the Sun) は、アメリカの作家レイ・ブラッドベリによる22編の短編小説からなる短編集。1953年にDoubleday&Companyによって出版され、日本では小笠原豊樹の翻訳により1962年に早川書房よりハヤカワ・SF・シリーズとして出版され、2012年に新装版が文庫形式で出版された。

本のタイトルは、短編集最終話のタイトルでもある。「太陽の黄金の林檎」という言葉は、イェイツの詩『さまようイーンガスの歌』(1899年)の最終スタンザ最終行からとられている[1]

Though I am old with wandering
Through hollow lands and hilly lands,
I will find out where she has gone
And kiss her lips and take her hands;
And walk among long dappled grass,
And pluck till time and times are done
The silver apples of the moon,
The golden apples of the sun.[2]

私は谷を歩き、丘をさすらい、
すっかり年をとったが、
娘はどこへ行ったかきっと探し出そう、
口づけしてその両手を取ろう。
まだらの高い草の中を歩いて、
いつまでもいつまでも時の尽きるまで
摘み取ろう、月の銀のりんごを、
太陽の金のりんごを。
(尾島庄太郎・金子光晴訳)[3]

ブラッドベリはこの詩の最後の3行で彼の本の前置きをしている。何が彼を「太陽の黄金の林檎」に引き付けたのかと尋ねられたときに「[妻]マギーは私たちが付き合っているときにロマンチックな詩を紹介してくれました。 私はその詩のその行が好きで、太陽から火がいっぱい入ったコップをとることについての私の話の比喩でした」と語っている[1]

『太陽の黄金の林檎』は、ブラッドベリの3番目の短編小説集だった[4]。最初の『黒いカーニバル』は、1947年にアーカムハウスから公開され、日本では伊藤典夫訳で1972年に出版された。2番目の『刺青の男』は、1951年にDoubleday&Companyから出版され、日本版は小笠原豊樹の訳で1960年に刊行されている。

目次

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この短編集の表題作は、1953年11月の米国のパルプサイエンスフィクション誌であるPlanet Storiesの創刊号に掲載された。

1990年、バンタムブックは『ウは宇宙船のウ』 (1962)と『太陽の黄金の林檎』のほとんどの短編を収集し、 Classic Stories 1というタイトルのセミオムニバス版としてまとめた。1997年、エイボンブックスはオムニバスの新版を印刷し、The Golden Apples of the Sun and Other Stories と題した。 ハーパー・ピレニアルは、2005年版を Sound of Thunder and Other Stories と名付けた。

セミオムニバスエディションでは、『太陽の黄金の林檎』に登場する3つの短編が省略されている。「歩行者 The Pedestrian」(1951年)、「目に見えぬ少年 Invisible Boy」(1945年)、「歓迎と別離 Hail and Farewell」(1953年)の3篇である。

邦題 原題 初出年 収録順
『太陽の黄金の林檎』(日本版) The Golden Apples
of the Sun
Classic Stories 1
霧笛 "The Fog Horn" 1952 1 1 1
歩行者 "The Pedestrian" 1951 2 2 非収録
四月の魔女 "The April Witch" 1951 3 3 2
荒野 "The Wilderness" 1952 4 4 3
鉢の底の果物 "The Fruit at the Bottom of the Bowl" 1948 5 5 4
目に見えぬ少年 "Invisible Boy" 1945 6 6 非収録
空飛ぶ器械 "The Flying Machine" 1953 7 7 5
人殺し "The Murderer" 1953 8 8 6
金の凧、銀の風 "The Golden Kite, the Silver Wind" 1953 9 9 7
二度と見えない "I See You Never" 1947 10 10 8
ぬいとり "Embroidery" 1951 11 11 9
白黒対抗戦 "The Big Black and White Game" 1945 12 12 10
雷のような音 "A Sound of Thunder" 1952 13 13 23
山のあなたに "The Great Wide World Over There" 1953 14 14 11
発電所 "Powerhouse" 1948 15 15 12
夜の出来事 "En la Noche" 1952 16 16 13
日と影 "Sun and Shadow" 1953 17 17 14
草地 "The Meadow" 1947 18 18 15
ごみ屋 "The Garbage Collector" 1953 19 19 16
大火事 "The Great Fire" 1949 20 20 17
歓迎と別離 "Hail and Farewell" 1953 21 21 非収録
太陽の黄金の林檎 "The Golden Apples of the Sun" 1953 22 22 18
「ウ」は宇宙船の略号さ "R Is for Rocket" 19
初期の終わり "The End of the Beginning" 20
宇宙船 "The Rocket" 21
宇宙船乗組員 "The Rocket Man" 22
長雨 "The Long Rain" 24
亡命した人々 "The Exiles" 25
この地には虎数匹おれり "Here There Be Tygers" 26
いちご色の窓 "The Strawberry Window" 27
"The Dragon" 28
霜と炎 "Frost and Fire" 29
アンクル・エナー "Uncle Einar" 30
タイム・マシン "The Time Machine" 31
駆けまわる夏の足音 "The Sound of Summer Running" 32

評価

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チャールズ・プーアはニューヨーク・タイムズにブラッドベリは「アイルランド文学ルネサンスの詩人や伝道者に養われているように見えるスタイルで書いている」と報告し、彼は「彼の物語の核心とその周辺について一日中話すことなくたどり着くのに驚いた」と述べている[5]

ファンタジー・アンド・サイエンスフィクション誌アントニー・バウチャーとJ.フランシス・マッコマスは『黄金の林檎』に「最も不確かな読書体験...多くの場合、単純かつ知覚的に動く[そして]悲しいことに特定の強さや色が欠けていることが多い文章」を発見した。

イマジネーション誌の評論家マーク・ラインスバーグはブラッドベリを「才能のある作家」と呼んだが、「無気力なテーマを養うスタイルの力を過大評価する傾向があった」と不満を述べた。

ギャラクシー・サイエンス・フィクション誌のグロフ・コンクリンは、「この短編集には、[ブラッドベリ]でもほかの誰かでもこれまでに書いた中で最高の想像力に富んだストーリーが含まれている。これらの楽しみを説明することすらできません」と述べている。

参考資料

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脚注

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  1. ^ a b Weller, Sam, ed (2014). Ray Bradbury: The Last Interview and Other Conversations. Melville House Publishing. p. 76. ISBN 978-1-61219-422-6. OCLC 883302084. https://books.google.com/books?id=iKLEAwAAQBAJ&pg=PT76 2017年6月6日閲覧。 
  2. ^ Yeats, W. B. (1903). “The Song of Wandering Aengus”. The Wind Among the Reeds (4th ed.). London: Elkin Mathews. http://www.gutenberg.org/files/32233/32233-h/32233-h.htm#Page_15 20151222閲覧。 
  3. ^ さまよえるオェングスの歌 W.B. Yeats The Song of Wandering Aengus”. 21, Aug, 2020閲覧。
  4. ^ Gronert Ellerhoff, Steve (2016). Post-Jungian Psychology and the Short Stories of Ray Bradbury and Kurt Vonnegut. Routledge. p. 172. ISBN 978-1-31-738491-5. https://books.google.com/books?id=NmGaCwAAQBAJ&pg=PT172 2017年6月6日閲覧。 
  5. ^ Poore, Charles (March 19, 1953). “Books of the Times”. The New York Times 

出典

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参考

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外部リンク

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  • The Golden Apples of the Sun title listing at the Internet Speculative Fiction Database